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「救急隊の態度が悪かった」迅速に搬送したはずの家族から、後日“予想外の苦情”が…元隊員が痛感した盲点

  • 2026.3.24
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元救急隊員ライターのとしです。

60代男性の意識障害で出場した際、活動自体は適切に進んだものの後日、家族から「救急隊の態度が悪かった」と苦情が入ったことがありました。

現場対応ができていても、それだけで十分とは言えない。

そんなことを考えさせられた出来事を紹介します。

意識障害の要請で脳卒中を疑う現場だった

その出場は、60代男性の意識障害でした。

現場で状態を確認すると意識状態やバイタルサイン、心電図、既往症などから脳卒中の可能性を考える状況でした。

状態が悪化する前に、必要な観察を進め、搬送先の判断もしなければならない。

現場はかなり緊張感があり、救急隊としては傷病者対応を最優先に動いていました。

家族もそばで見守っていましたが、その時の私は家族への対応まで気を回す余裕が十分にはなかったと思います。

活動はスムーズに進んだが、家族対応には反省が残った

現場での活動そのものは、大きな混乱なく進みました。

必要な観察を行い、適応する医療機関へ速やかに搬送することもできました。

医療的に見れば、やるべきことはきちんと進められていた現場だったと思います。

ただ、その一方で、家族への説明や受け答えはかなり短くなっていました。

現場が切迫していたこともあり、言葉を選ぶ余裕がなく、強い口調になってしまった場面もあったと思います。

こちらとしては急いで対応していたつもりでも、家族から見ればぶっきらぼうで、突き放されたように感じられたのかもしれません。

後日入った苦情で、家族には別の伝わり方をしていたと知った

傷病者は適応する医療機関へ搬送され、活動自体は無事に終わりました。

だからこそ、後日「救急隊の態度が悪かった」という苦情が入ったと聞いた時は、重く受け止めました。

必要な医療的対応ができていたとしても、それだけで家族に安心してもらえるとは限らない。

現場では適切に動けていたつもりでも、家族にどう映ったかはまた別の問題なのだと感じました。

家族にとっては、大切な人が突然倒れた時間です。

その不安の中では、救急隊の表情や声の調子、短い返答の一つひとつが強く残ることもあるのだと思います。

急ぐ場面ほど家族への一言を後回しにしない

救急現場では、まず傷病者の状態を守ることが最優先です。

今回も、その判断自体が間違っていたとは思っていません。

ただ、急ぐあまり家族対応をないがしろにしてはいけない。

そのことを強く感じた現場でもありました。

「今、対応を急いでいますので少々お待ちください」そんな短い一言があるだけでも、家族の受け取り方は違ったかもしれません。

切迫している場面ほど、説明は短くなり、口調も強くなりやすいものです。

だからこそ、家族への接し方や言葉の選び方がより大事になる。現場活動が適切でも、それだけで十分とは言えないことをあらためて考えさせられた出来事でした。


ライター:とし
元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。