1. トップ
  2. 最終回直前なのに“あえて明かされた事実”「もっと凄い盛り上がりがあるのか」“巧みな脚本”の最終回に視聴者ら期待【日曜劇場】

最終回直前なのに“あえて明かされた事実”「もっと凄い盛り上がりがあるのか」“巧みな脚本”の最終回に視聴者ら期待【日曜劇場】

  • 2026.3.28

冬クールドラマの中で一番の盛り上がりを見せた『リブート』が最終回を迎える。

※以下本文には放送内容が含まれます。

undefined
日曜劇場『リブート』第9話より(C)TBS

日曜劇場(TBS系日曜夜9時枠)で放送されている本作は、妻の命を奪った犯人を捜すために、顔を変えて別人として生きる男の物語だ。
洋菓子店を営むパティシエの早瀬陸(松山ケンイチ)は、妻の夏海(山口紗弥加)の命を奪った容疑で警察に追われる身となる。そして、逃亡の手助けをしてくれた刑事・儀堂歩(鈴木亮平)と合流しようとするが、儀堂も何者かによって命を奪われてしまう。
儀堂の最期の言葉を聞いて、彼のマンションに向かった早瀬は、儀堂の恋人で妻の夏海と同じ職場で働いている公認会計士の幸後一香(戸田恵梨香)と出会う。
早瀬から事情を聞かされた一香は、夏海と儀堂の命を奪った真犯人を見つけ出すために、整形をして儀堂として生きるリブート(再起動)を提案。
早瀬は、半年かけて顔を整形し、身体を鍛えて、警察としての知識、体術、銃の扱いを学び、筆跡や喋り方といった儀堂の癖を身に付け、刑事として復帰する。 そして、一香が働いているゴーシックスコーポレーションの代表・合六亘(北村有起哉)に会いに行く。
実業家として働く合六には、違法な手段で儲けた莫大な金を資金洗浄する裏社会の金融機関(ダークバンカー)という裏の顔があり、儀堂は合六のことを内偵捜査していた。そのため早瀬たちは合六が事件に関わっているのではないかと疑っていたが、合六は儀堂が組織から10億円を横領したと疑っており、24時間以内に真犯人を見つけ出さないと命はないと、儀堂になりすました早瀬を脅迫する。

大ネタを出し惜しみしない大胆な脚本

undefined
日曜劇場『リブート』第9話より(C)TBS

物語はタイムリミット内に儀堂に成りすました早瀬が正体を隠しながら、トラブルを解決するために悪戦苦闘する様子が、緊張感のあるクライムサスペンスとして繰り返し描かれる。
脚本家の黒岩勉は、出世作となった『僕のヤバイ妻』を筆頭に、タイムリミットのある中で展開される心理サスペンスを得意としている。 追い詰められた主人公が制限時間内で必死になって解決方法を模索して危機的状況から脱出する姿を描くことで、黒岩勉はドラマ脚本家として高い評価を獲得してきた。
今回の『リブート』は、その作劇手法をより発展させたものとなっており、謎が謎を呼ぶ考察ドラマとして視聴者の期待に応えた上で、予想外の展開を提示して翻弄する物語となっていた。

何よりそれは、リブートの扱いに強く表れていた。
まず驚いたのが、第3話の終わりで本物の儀堂が生きていたことが明らかとなる展開である。
その後、劇中では、本物の儀堂と儀堂にリブートした早瀬という本物と偽物の対決との共闘が描かれる。毎週クライマックスとでも言うような盛り上がりを見せた本作だが、序盤の盛り上がりを支えたのは間違いなく、本物の儀堂の登場だろう。
鈴木亮平が一人二役を演じているため、儀堂と早瀬の対峙は、どこかであるとは思っていたが、まさか前半で出してくるとは驚きだった。
また、第8話では一香の正体が、リブートした早瀬の妻・夏海だったことが判明する。 第1話で夏海の葬儀に一香が参列し、息子の早瀬拓海(矢崎滉)に話しかける場面を観た時から「彼女もリブートしているのではないか?」という疑念はあったが、第6話で一香が、自分が合六の組織を乗っとると宣言したため、彼女がラスボス的な存在になるのだと思っていた。そのため、正体が判明した時は予想通りというよりは「ここで彼女の正体を明かすということは、最終回はもっと凄い盛り上がりがあるのか?」という期待の方が大きかった。
本物の儀堂の登場も、一香の正体が夏海だったことも、決して予想外というわけではない。
ただ本来ならクライマックスの大ネタといえる二つのアイデアを最終話直前で出し惜しみせずに展開した大胆な駒運びは想定外で、黒岩勉の作劇手法の巧みさに改めて驚かされた。

夫婦を軸にした家族の物語

undefined
日曜劇場『リブート』第9話より(C)TBS

一香が夏海だと判明する一方、これまでゴーシックスコーポレーションで起こった10億円の横領や100億円相当の商品の盗難事件といった事件はすべて合六の自作自演で、夏海と早瀬がリブートしたことも、すべて合六が仕組んだことだと判明する。
合六は横領の罪を他の人間に擦り付けることでその金を着服し、野党第一党の党首・真北弥一(市川團十郎)を首相の座に据えるための軍資金として闇献金をおこなっていた。
合六と真北の繋がりを知った早瀬は、真北の弟で警視庁警務部・監察官の真北正親(伊藤英明)に相談し二人を逮捕しようとする。しかし早瀬は、合六の部下で汚れ仕事を請け負っていた冬橋航(永瀬廉)に協力を求めたところ、逆に捕まってしまう。
一方、合六の顧問弁護士・海江田勇(酒向芳)に接触した夏海は、合六が真北弥一に100億円の闇献金を渡す場所と時間を聞き出すが、実は情報は筒抜けで味方に思えた真北監察官が、警察の情報を合六にリークしていた内通者だったことが判明する。
早瀬が捕まり、夏海も危機的状況に陥る中、第9話は終了した。
おそらく最終話では、早瀬たちが逆転勝利するのではないかと期待しているが、海江田が組織から横領した金の一部を元妻に送り息子の養育費に充てていたことや、真北監察官の妻が12年前にひき逃げ事故を起こしたことで警察内での出世の芽がなくなったことに負い目を感じて夫婦関係がぎくしゃくしているといった、各登場人物の夫婦や家族のエピソードが増えているのが気になるポイントである。

最終的に早瀬陸と夏海の夫婦が協力して家族のために戦う物語となった本作だが、第6話では敵対する合六にも妻と子がいて、家族を大切にしている姿が描かれていた。
つまり、敵もまた家族のために戦っているのだ。 クライムサスペンスとしての面白さを徹底的に追及してきた本作だったが、最後に全面化するのが愛する妻と家族を守るために戦う男たちのヒューマンドラマだというのは、家族の物語を描き続けてきた日曜劇場らしいと言える。

果たして、家族の物語としての『リブート』は、どのような結末を迎えるのか?
最終話が楽しみである。


TBS系 日曜劇場『リブート』 毎週日曜よる9時

ライター:成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)、『テレビドラマクロニクル 1990→2020』(PLANETS)がある。