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「こんな人いません」住所は合っているはずなのに…→元宅配員が語る春の時期に“ありがちな落とし穴”

  • 2026.3.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

「置き配」という言葉が、すっかり日常に定着してきましたね。
不在でも受け取れる便利なサービスとして、多くの方に利用されているのではないでしょうか。

しかし、春先の引っ越しシーズンでは、住所も部屋番号もきちんと合っているのに、思いがけず『誤配』となってしまうケースが増えてきます。

今回は、私が実際に経験したそんな出来事をご紹介します。

事務員からの電話

それは数年前の3月の夜のことでした。

19時半過ぎだったでしょうか。
突然、営業所の事務員から私の携帯電話に連絡が入りました。

「お忙しいところすみません!あの…この後、E町エリア行けますか?」

この日、私はC町エリアを担当していました。
電話を受けた時点で残り10件ほど、そのうち3件は18時~20時指定の荷物です。

基本的に電話に出るときは、道路の端に寄るか安全な場所に停車してから対応します。
ただ、電話に出るということは、その分だけ配達時間が削られることでもあります。

気持ちとしては早く電話を切って届けに行きたい。
それでも、大事な用件だからこそかかってきたであろう電話を無視することはできません。

「え?E町のドライバーはもう営業所に戻ってきてしまったんですか?」
「それが電話が繋がらなくて…」
「あ、なるほど」

時刻は19時半過ぎです。
私はすぐに、そのドライバーが電話を転送設定にしてしまったのだと察しました。

19時以降、ドライバーに繋がらない理由

多くの運送会社では「ドライバーへの直通電話は19時まで」と決められており、19時以降の電話受付は担当営業所やコールセンターへ転送するルールになっているようです。

わが社でも例外ではありませんでした。

その理由は、19時〜21時が配達の最後の指定時間であり、帰宅者が増えて非常に忙しい時間帯になるからです。
仕事を終えて家に帰り、不在票を見つけて慌てて電話をしたものの、19時を過ぎていたために「本日の受付は終了しました」という案内が流れた。

当時はまだ移行期で対応が任されている部分もあり、私はお客様と直接やり取りをした方が効率が良かったため、自身の判断で電話を受けられるようにしておくことがありました。

ただ、この転送の仕組みは、営業所からの連絡や同僚同士のやり取りにも影響してしまうことがあり、少し問題になっていました。

そのため私は、この転送設定をしていませんでした。

運行中はなるべくお客様からの電話に対応し、翌日以降の再配達を直接相談したうえで納得して受け取っていただくような案内を心がけていたからです。

そして、事務員は私が転送設定をしていないことを知っていました。
担当エリアが違ったとしても、私だったら繋がる。

この連絡は最後の頼みの綱だったのだと思います。

誤配の回収指示と、勤務時間

私自身も時間がなくて焦っていましたが、電話の向こうの事務員は私以上に焦り、困っているような声色でした。

「E町で何かありましたか?」
「それが先ほど誤配の回収の指示があったんです。住所もアパートの部屋番号も合ってるんですけど、この部屋の住人から「こんな人はいない」とサービスセンターに連絡があったので、早めに回収に行ってもらいたいんです」

状況は把握できました。
ただ、私自身まだC町エリアの荷物が残っています。

E町エリアの夜の配達分はそれほど多くなかったはずで、担当ドライバーはすでに営業所に戻っている可能性もありました。

もどかしい思いはありましたが、まず自分の仕事を終わらせることを優先しました。

「私もまだC町の荷物が残っているので、こちらが終わったらまた連絡します。それでもいいですか?」
「わかりました。こちらでもE町のドライバーの個人携帯に連絡してみます」

お互いやや早口でしたが、用件は伝わりました。
私は再び夜の配達へ向かいました。

自分の仕事を終えると…

全ての配達を終えたのは20時30分。

いつもならそのまま営業所に戻るところですが、まず営業所話を入れました。

「遅くなりました。E町の件、どうなりましたか?」
「ありがとうございます!実はあの後すぐに、E町のドライバーさんが営業所に戻ってきたんですが、端末も締めてしまっていて…」

ドライバーの端末は、一日の仕事を管理するシステムでもあります。
この端末を締めるというのは、業務を終了し、すみやかに退勤する準備に入ったということでもあります。

事務員も頼むに頼めなくなったのでしょう。

「じゃあ、回収はまだ誰も行っていない状況ですか?」
「そうなんです!連絡してきたお客様によると、今日の夕方に置き配として玄関前に置いてあって、うちにはこの名前の人が居ないため、同じように置いておくので回収してほしいとのご指示でした」
「わかりました。これから向かいますので、住所を教えてください」

営業所から住所を聞き、荷物の回収に向かうことにしました。
C町エリアから今回の場所のE町まで、車で15分ほどです。

見慣れた場所での住人の入れ替わり

E町エリアはもともと私が長く担当していたエリアです。
時々担当することがあったので、地図を確認することも、迷うこともなく目的地に到着できました。

指示通りのアパートの2階の部屋の前に行くと、確かに荷物が一つ置いてあります。
一見すると、置き配で届いた荷物を住人が回収し忘れただけのようにも見えました。

荷物を手に取り伝票を確認すると、確かに自社の伝票で、住所もアパートの部屋番号も目の前の部屋と一致していました。

考えられる原因のひとつは、前の住人が引っ越し後も住所変更をうっかり忘れ、いつも通りにネット注文をしてしまったということでした。

この時は3月。アパートなどは出入りが目立つ季節です。
最近このアパートの住人の顔触れも、少し変わっていたことに気がつきました。

数軒ですが入れ替わりがあったのは知っていましたが、この部屋も最近住人が替わったのだとこの時初めて知ったのです。

時計は夜21時に近づいていました。
あまり足音を立てないよう気をつけながら、荷物をそのまま回収してトラックに乗り込み、営業所へ戻りました。

営業所に戻ると、事務員がほっとした笑顔で出迎えてくれました。
早速、回収した荷物を渡します。

「助かりました!他のドライバーの皆さん、今日は帰りが早くて…」
「そういう日もありますよ。帰れるときに帰った方がいいですから。ちょうどこの住所は何度も行ったことがあるので、そんなに大変ではなかったです。この部屋の方が引っ越されていたのは気がつきませんでした」
「今ちょうど3月末で引っ越しが多いからか、営業所でも転送したり、センター保管する荷物が最近増えてるんですよ」

そう言って、ちょっと困り顔を見せながら、新しい伝票の準備を始めていました。

「置き配もこういう場合困りますね。特にアパートって表札を出さない方が多いですし、置き配のときは部屋番号で置くしかないから、引っ越したのに住所を直すの忘れてたって気づいたお客様、きっとヒヤヒヤしてるでしょうね」

「そうなんですよ!さっき、このお荷物のお客様から連絡があって、やっぱり「住所を変え忘れてました」って言ってました。無事連絡が取れたので、この後、着払いで転送します。回収ありがとうございました」

引っ越しシーズンに潜む「旧住所注文」のリスク

春先は引っ越しが増える時期です。

引っ越し前後は何かと物入りで、ふとネット注文をする機会も増えるのでしょうが、そこで発生しやすいのが「旧住所のままでの注文」です。

原因のひとつとして挙げられるのが、ブラウザやショッピングサイト(Amazon、楽天など)に保存された「自動入力」の見落としです。

旧住所が残ったままになっていて、確認せずに注文してしまったという経験はありませんか?

また、数ヶ月前に予約した商品が、引っ越しをまたいで発送され、旧住所に届いてしまうケースや、サプリメントや日用品などの定期購入(サブスク)の住所変更をうっかり忘れてしまうケースも少なくありません。

特に表札を出すことが少ない集合住宅での置き配は、部屋番号を頼りに置くしかなく、住人が入れ替わったばかりのタイミングではドライバー側も気づくことができません。

注文前に確認を

今回のようなトラブルを防ぐために、いくつかのポイントを意識してみてください。

まず、引っ越し後は各ショッピングサイトに古い住所が残っていないか確認しましょう。
注文時は決済直前の最終確認画面で、送り先の住所を必ずチェックする習慣をつけることも大切です。

また、荷物は郵便局からも届くことがあります。
郵便局で転居届を出したり「e転居」を利用すると、手紙や荷物などの郵便物を1年間、転居先へ転送してもらえるので、早めに手続きしておくと安心です。

万が一、旧住所に届いてしまったと気づいたときは、早めにショップや担当宅配業者の営業所に連絡してください。

旧住所へ発送されてしまった場合、配送業者によっては専用の会員サービス等を通じて、配達前に最寄りの営業所や宅配便ロッカーでの受け取りに変更できる場合があります。ただし、荷物の種類や発送状況によっては転送が有料(着払い)となったり、変更自体ができないこともあるため、早めに各社の規定を確認し、速やかに連絡を入れることが重要です。

ただし、配達前かつ旧住所の管轄エリア内であることが条件になるケースが多いので、事前に確認してみてください。

新生活とともに、荷物も無事に新居へ

春は新しいことが始まる、期待の季節です。

引っ越しは何かと物入りで、急いで欲しいものもあれば、そこまで急がなくてもいいものもあるかもしれません。

そんな慌ただしい時期だからこそ、注文のときにひと呼吸おいて、送り先の住所をさっと確認する習慣をつけていただけると嬉しいです。

大事な荷物がちゃんと新しい住まいに届き、心地よく生活できますように。

宅配員たちは、今日も皆さまの新生活を陰ながら応援しながら、真心を込めて走り続けています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた“宅配のリアル”を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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