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コロナ禍で在宅勤務に→「さすがに痩せなきゃ」と朝食を抜き始めるが…数年後、50代男性を待ち受けていた“恐ろしい症状”

  • 2026.3.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。管理栄養士として、日々さまざまな相談に向き合っている工藤まりえです。 

今回は、52歳男性・Sさん(仮名)の実体験をご紹介します。

2020年、突如として在宅勤務に変わり、運動量が減ったことで体重が増えたSさん。

さすがに痩せなきゃいかん、と考えた結果「朝食を抜けば痩せるんじゃないか」と考え、その後数年間にわたり朝食を抜く生活を続けていました。幸か不幸か、朝食を抜いても空腹感を感じることもなかったので続けていましたが、体重が徐々に増え始めてしまいました。そんな彼の驚きの変化についてご紹介します。

朝ごはん抜き生活の誤算。体重が減らない本当の理由

2020年、コロナ禍に突入したタイミングで突然始まった在宅勤務。通勤がなくなり外出も減り、気づけば1日の歩数は激減していました。そんな生活の変化の中で、体重がじわじわと増えていった52歳男性のSさん。

在宅勤務が始まって数か月、体重の増加をきっかけに「運動量が減ったなら、食べる量を減らせばいい」と考えます。そこで選んだのが、“朝食を抜く”というシンプルな方法でした。

もともと朝は食欲が強い方ではなく、抜いてもつらさは感じない。「これなら続けられる」と思い、その習慣は数年にわたって定着していきました。実際、最初のうちは体重も少し落ち、「やはり食べなければ痩せる」という手応えもあったといいます。

ところが次第に、体重は思うように減らなくなり、むしろじわじわと増加。「食事量は減らしているのに、なぜ?」と感じながらも、決定的な原因はわからないまま、その生活を続けていました。

転機が訪れたのは、およそ2年後。出勤の機会が徐々に増え始めた頃、通い慣れたはずの通勤途中の階段や坂道で、これまでにない“きつさ”を感じたのです。これをきっかけにジムに通い始めたSさんは、そこで思いもよらない指摘を受けることになります。

体力低下の正体は?朝食抜きが招いた“見えない変化”

ジムに通い始めたSさんがまず驚いたのは、想像以上に落ちていた自分の体力でした。

体力が低下している自覚はあったものの、軽いトレーニングでもすぐに息が上がり、思うように体が動かない。以前なら問題なくこなせていた運動が、明らかにきつく感じられたのです。

トレーナーから指摘されたのは、「筋肉量の低下」と「体力のベースが落ちている状態」でした。さらに「フレイル(虚弱)の一歩手前のような状態」と説明を受け、大きな衝撃を受けたといいます。

フレイルとは、加齢に伴って筋力や体力が低下し、心身が弱った状態のこと。健康と要介護の中間に位置するとされる段階です。

Sさんにとってフレイルは「高齢者の問題」という認識でした。それが自分に当てはまるかもしれないと言われ、強い戸惑いを感じたといいます。

「体重はそこまで増えていないのに、なぜここまで体力が落ちているのか」

トレーナーとの会話の中でかけられた「まずは3食しっかり食べて、運動しながら少しずつ筋力をつけていきましょう」という言葉。

その一言で、長年続けてきた“朝食を抜く生活”が頭をよぎりました。

もしかすると、この習慣が影響しているのではないか・・・?そう感じたSさんは、管理栄養士による食事指導を受けることを決めたのです。

朝食抜きが招くリスクと、今日からできる体力を守る食習慣

Sさんのケースで見えてきたのは、「食事回数の減少」が体に与える影響でした。朝食を抜くことで1日の摂取量は減っているつもりでも、実際には体に必要なエネルギーやたんぱく質が不足しやすくなります。

特に中高年では、筋肉を維持する力が若い頃よりも低下しているため、同じ食事内容でも筋肉は減りやすい状態にあります。

そこに朝食の欠食が重なることで、1日に必要なたんぱく質量が不足しやすくなり、気づかないうちに筋肉量が減少。結果として、体力の低下や疲れやすさにつながっていきます。

さらに、食事間隔が長く空くことで、体はエネルギーを節約しようとする方向に働きやすくなります。これが続くと、消費エネルギーが落ち、思うように体重が減らず増えやすくなるという悪循環に陥ることもあります。

では、フレイルを防ぎ、体力を維持するためにはどのような食習慣が必要なのでしょうか。

ポイントは「3食しっかり食べること」「たんぱく質を分けてとること」です。

「たんぱく質というと、プロテインってやつを飲まなきゃいけないのか?」

と質問されました。というのも、1度飲んだことがあって、とても苦手だったとのこと。

無理に嫌いなプロテインを飲む必要はありません。ゆで卵やヨーグルト、納豆、チーズなど、手軽に食べられるたんぱく質食品を一品プラスするだけでも十分ですよとお伝えすると、とてもホッとされていました。

今回のSさんの場合、奥様の協力もあり、相談のあとからすぐに朝食を食べる食生活に戻すことができ、1日の食事のバランスを理想に近づけることができました。トレーニングも継続して行うことで、徐々に体力の回復を実感できるようになったそうです。

私との栄養相談はほんの数回でしたが、「朝食を食べるようになってから太ってしまうかな、と思ったけど全く変わらないよ!むしろ体調がいい!」と声をかけていただいた時はとてもうれしかったです。

「食べる量を減らす」だけではなく、「どう食べるか」を見直すこと。これが、将来のフレイルを防ぐための第一歩です。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。