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『歯が無くなりやすい人』には“共通点”があった…歯科医が明かす、寝ている間にやっている「無意識なNG行動」とは?

  • 2026.3.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「毎日しっかり歯磨きをしているのに、なぜか虫歯ができやすい」「歯のトラブルが絶えない」。そんな風に悩んでいませんか?

実は、その原因は日中のお手入れ不足ではなく、「睡眠中」にあるかもしれません。寝ている間に無意識に行っている「NG行動」が、お口の健康を密かに脅かしているケースが非常に多いのです。

なぜ無意識の行動が歯を失うリスクに直結してしまうのでしょうか?そして、大切な歯を守るための対策とは?歯科医師の鷹巣多紀さんに詳しく解説していただきました。

歯磨きをしても虫歯になる? 睡眠中の「NG行動」とは

---毎日きちんと歯を磨いているのに虫歯ができやすいと悩む人が多いようです。睡眠中の無意識の行動が関係しているというのは本当でしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「毎日しっかり歯磨きをしているのに、なぜか虫歯ができやすかったり、歯のトラブルが絶えなかったりすると不安になるものですよね。実は、睡眠中の『歯ぎしり』や『食いしばり』『口呼吸』といった無意識のNG行動が、お口の健康を密かに脅かしているケースは非常に多く存在します。

これらの行動を引き起こす最大の背景には、『日中のストレス』と『生活習慣の乱れ』が深く関わっているのをご存知でしょうか。現代人は、仕事や人間関係、日々の情報過多など、多くのストレスにさらされる環境にあります。人は強いストレスや不安を感じると自律神経の交感神経が優位になり、睡眠中にもその緊張状態が続く傾向があるのです。その結果、無意識のうちに歯を強く噛み締めることで、ストレスを発散しようとするメカニズムが働くと言われています。

また、就寝直前までのスマートフォン操作、カフェインやアルコールの摂取なども要注意な行動のひとつ。これらは脳を覚醒させ、睡眠の質を低下させる原因となってしまいます。睡眠医学の分野でも、睡眠が浅くなるタイミングで歯ぎしりや食いしばりが起こりやすいことが指摘されてきました。つまり、日中の心の緊張や、リラックスできていない生活習慣こそが、夜の無意識なNG行動の引き金になっていると考えられます。」

「歯ぎしり」と「口呼吸」が将来の抜歯リスクに直結する理由

---睡眠中の「歯ぎしり」や「口呼吸」が、将来的に歯を失うリスクにまで繋がってしまうのはなぜでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「では、なぜ睡眠中の無意識な行動が『将来歯を失うリスク』に直結するのでしょうか。理由は大きく分けて2つ挙げられます。

まず1つ目は、歯ぎしりや食いしばりによる『物理的な破壊力』です。
起きている時の食事などでは、私たちは無意識に力をセーブしていますが、睡眠中には体重の数倍(数十キロ〜100キロ以上)もの異常な力が歯や顎に直接かかり続けることがあります。毎晩このように巨大な負荷がかかると、歯に亀裂が入ったり、根元から割れてしまったりする(歯根破折)リスクが飛躍的に高まるのです。歯の根が割れてしまうと、多くの場合において抜歯を避けられません。さらに、歯を支える骨にも過度な負担がかかるため、歯周病を急速に悪化させる原因にも繋がります。

2つ目は、『口呼吸』による『お口の乾燥』のリスクがあげられます。
睡眠中に口が開いていると、お口の中がカラカラに乾いてしまうのは想像に難くないでしょう。本来、唾液には汚れを洗い流し、細菌の増殖を抑える『自浄作用』という優れた働きがあります。しかし、口呼吸で唾液が減ると、虫歯菌や歯周病菌が爆発的に増殖しやすい環境となり、結果として歯を失う大きな原因となるわけです。

日常での対策として、まずは起きている時に『上下の歯がくっついていないか』を意識し、気づいたら離すよう心がけることや、こまめな水分補給でお口の潤いを保つことが非常に大切になってきます。」

大切な歯を守る! 今夜から始められる3つの対策

---無意識の行動を防いで大切な歯を守るために、私たちが自分でできる具体的な対策を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「大切な歯を守るために、今夜からすぐに始められる具体的な対策を3つご紹介しますね。

1つ目は『就寝前のリラックスタイムの確保(睡眠衛生の改善)』です。ベッドに入る1〜2時間前にはスマホやパソコンの画面を見るのをやめ、部屋の照明を少し暗くしてみましょう。ぬるめのお湯にゆっくり浸かったり、好きな香りを嗅いだりして、心身の緊張を解きほぐすことが、歯ぎしり軽減の第一歩となります。

2つ目は『顎周りの筋肉のマッサージ』を取り入れること。耳の少し下からエラにかけての筋肉(咬筋)や、こめかみ周辺を、指の腹で優しく円を描くようにほぐしてみてください。日中に無意識に力が入ってこわばった筋肉を寝る前にゆるめることで、夜間の強い食いしばりを和らげる効果が期待できるでしょう。

3つ目は『寝る姿勢の工夫』が挙げられます。うつ伏せや横向きで寝ると、下顎に不自然な圧力がかかり、歯並びへの悪影響や食いしばりを誘発しやすくなる点に注意が必要です。できるだけ仰向けで、首や肩に負担の少ない枕を使ってリラックスした姿勢で眠るように心がけてください。

これらを実践しても、朝起きた時に顎が疲れていたり、歯が浮くような感覚があったりする場合は、無理をせず歯科医院へご相談いただくのが一番です。専用のマウスピース(ナイトガード)を作製し就寝時に装着することで、睡眠中の巨大な力から確実に歯を守ることができます。

ご自身のペースで、まずは今夜できることから取り入れてみましょう。」

無意識の「NG行動」を見直し、一生モノの歯を守ろう

「毎日しっかり歯磨きをしているのに」という悩みの裏には、睡眠中の無意識な「歯ぎしり」や「口呼吸」が潜んでいることがわかりました。日中のストレスや生活習慣の乱れが、夜のお口の環境にこれほど大きな影響を与えているとは驚きですね。

しかし、原因が生活習慣の中にあるということは、毎日のちょっとした心がけで改善できるということでもあります。スマホを早めに置く、お風呂にゆっくり浸かる、顎をほぐすといったリラックス習慣は、今日からすぐに始められるものばかりです。

大切な歯は、一生のパートナー。日々のケアに「睡眠中の対策」もプラスして、将来の健康な歯と笑顔を守っていきましょう。


監修者:鷹巣 多紀
歯科口腔外科で研修後、一般歯科に勤務。1児の母として子育て・仕事に奮闘するママさん歯科医師です。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw