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医師「発症から72時間以内が勝負」→放置すると“一生モノの後遺症”に… 帯状疱疹を見逃さないための「重要なサイン」とは?

  • 2026.3.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「帯状疱疹は高齢者がかかる病気」そんなイメージを持っていませんか?実は近年、働き盛りの世代でも帯状疱疹に悩まされるケースが増えています。「ただの筋肉痛だと思っていたら、後から発疹が出てきた」「もっと早く病院に行けばよかった」と後悔する声も少なくありません。

なぜ若い世代でも発症するのか?そして、将来にわたるつらい後遺症を防ぐためには、どのような初期サインを見逃してはいけないのか。

今回は、帯状疱疹が発症するメカニズムや、絶対に知っておくべき「受診のタイムリミット」について、皮膚科医の竹内さんに詳しく解説していただきました。

若い世代もひと事ではない?発症を引き起こす意外な要因

---帯状疱疹と聞くと「年を取ってからなる病気」というイメージがありますが、若い世代でも発症するというのは本当でしょうか?

竹内さん:

「帯状疱疹は、水ぼうそうの原因でもある水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が、過去の感染後に体内の神経節へ潜伏し、何らかのきっかけで再活性化することで起こります。

加齢は代表的な要因ですが、それ以外にも、疲労、精神的ストレス、睡眠不足、過密な仕事や介護による心身の消耗などは、体の免疫バランスを崩し、発症の引き金になりえます。さらに注意したいのは、病気や治療による免疫低下です。

たとえば、がん、糖尿病、膠原病、HIV感染、臓器移植後、あるいは治療薬としてステロイド、免疫抑制薬、抗がん剤、JAK阻害薬などの使用中は、帯状疱疹のリスクが高まります。日常生活の範囲でも、食事の偏り、過度の飲酒、回復時間の足りない働き方などが重なると、体調を崩したタイミングで発症しやすくなります。そのため、50歳未満の比較的若い方でも『最近かなり無理をしていた』『寝不足が続いていた』『大きなストレスを抱えていた』『免疫に影響する持病や治療がある』という方では、十分に起こりえます。

つまり帯状疱疹は、単に『年を取ったから起こる病気』ではなく、その時点の体力・免疫状態を映すサインとして出てくることがあるのです。」

「少し痛いだけ」の放置が危険な理由と、後遺症の恐怖

---初期の段階で「少し痛いけれど、発疹も少ないから様子を見よう」と自己判断してしまう読者も多そうです。受診が遅れると、どのようなリスクがあるのでしょうか?

竹内さん:

「帯状疱疹で最もよく知られる後遺症は、帯状疱疹後神経痛です。これは発疹が治った後も痛みだけが長く残る状態で、衣服が触れるだけでも痛い、風に当たるだけでつらい、眠れない、といった生活の質を大きく下げる症状につながります。帯状疱疹の痛みは、皮膚表面の炎症だけでなく、神経そのものに起こるダメージが関係するため、初期対応が遅れると痛みが慢性化しやすくなります。このような帯状疱疹関連痛に対する重要な治療は、発症から72時間以内の抗ウイルス薬投与とされています。

また、後遺症は神経痛だけではありません。発症部位によっては、目の周囲なら視力障害や角膜障害、耳の周囲なら顔面神経麻痺、難聴、めまいなどにつながることがあります。日本皮膚科学会の帯状疱疹診療ガイドラインでも、神経障害が高度になると、顔面神経麻痺だけでなく聴覚や平衡機能の後遺障害に悩まされる患者が多く、後遺症軽減には早期治療が重要とされています。つまり『少し痛いけど発疹が少ないから様子見』で数日過ごしてしまうことは、単なる治療開始の遅れではなく、将来のつらさを長引かせる可能性があるのです。

とくに受診遅れが起こりやすいのは、発疹が出る前のピリピリ感、刺すような痛み、しびれ、違和感だけの段階です。この時期は筋肉痛、寝違え、虫刺され、湿疹、肋間神経痛などと誤解されやすいのですが、帯状疱疹ではその後に体の左右どちらか一方に沿って発疹が出ることが多く、これが重要な手がかりになります。市販の鎮痛薬で一時的に痛みが軽くなっても、原因であるウイルスの活動は止まりません。したがって、自己判断で様子を見るより、『片側性の痛み+発疹や違和感』という組み合わせを見たら早めに皮膚科などを受診することが、後遺症を減らすうえで大切です。」

受診のタイムリミットは「72時間」!疑うべき初期サインとは

---後遺症を防ぐためには早期発見が鍵になるのですね。具体的にどのような症状が出たら帯状疱疹を疑い、どう行動すべきでしょうか?

竹内さん:

「まず覚えておきたいのは、帯状疱疹では『発疹が出る前から痛みや違和感が先行することがある』という点です。具体的には発疹が出る部位に痛み、かゆみ、ピリピリ感が先に出ることがあります。したがって、体の左右どちらか片側だけに、ヒリヒリ・ピリピリ・チクチクする痛みがあり、その後に赤み、水ぶくれ、小さな発疹が帯状に出てきたら、帯状疱疹を疑うことが大切です。特に顔、目の周り、耳、頭部に出る場合は重症化や後遺症の問題が生じやすく、より急いで受診すべきです。

具体的な行動としては、第一に発症時刻の目安を記録することです。『最初にピリピリし始めたのはいつか』『発疹が出たのはいつか』をメモしておくと、医療機関で治療判断がしやすくなります。第二に、患部の写真を撮ることです。発疹は時間とともに見え方が変わるため、初期の状態を残しておくと診断の助けになります。第三に、市販薬で数日様子を見るのではなく、できれば診療時間内に医療機関へ受診することです。抗ウイルス薬は早いほど効果が期待しやすく、一般に72時間以内の開始が重視されます。受診時には『片側だけの痛みがある』『帯状に発疹が出ている』『帯状疱疹が心配』と具体的に伝えると、受付や受診先の判断もスムーズです。

迷わず受診するコツは、痛みの原因が分からない片側症状は様子見しすぎないと決めておくことです。特に、50歳以上、過労や強いストレスがある方、免疫を下げる病気や治療がある方は、帯状疱疹の可能性を早めに考える価値があります。逆に、『発疹が少ないから大丈夫』『我慢できる痛みだから平気』と判断するのは危険です。目や耳の周り、強い頭痛、顔面の違和感、発熱を伴う場合は、皮膚科だけでなく眼科・耳鼻科連携が必要になることもあります。数日待つよりも気になる症状があれば受診するほうが、結果的に後遺症予防につながります。」

自分の体を守るための「正しい知識」と「素早い行動」

帯状疱疹は、年齢に関係なく、心身のSOSとして私たちの前に現れるサインであることがわかりました。

「ただの虫刺されかな」「少しピリピリするだけだから大丈夫」といった自己判断が、つらい後遺症を長引かせてしまう原因になり得ます。もし、体の片側に違和感や痛みを感じ、その後に発疹が出たら、迷わず「72時間以内」を目安に医療機関を受診しましょう。発症した時間をメモし、患部の写真を撮っておくといった具体的なアクションは、明日からでもすぐに役立つ知識です。

忙しい毎日の中で、つい自分の体の異変を後回しにしてしまいがちですが、気になる症状があれば早めに対処することが、今後の健康で快適な生活を守る第一歩となります。


監修者:竹内 医学部を卒業後、現在は皮膚科医として病院やクリニックで外来診療を行っています。 皮膚科医として専門的な内容をわかりやすく伝えることに重点をおき、WEB記事監修や執筆活動も行っています。