1. トップ
  2. 恋愛
  3. 還暦で「結婚した人」「離婚した人」、人生を変えた60代女性たちに訪れた“新たな日常”

還暦で「結婚した人」「離婚した人」、人生を変えた60代女性たちに訪れた“新たな日常”

  • 2026.2.25
還暦結婚、還暦離婚……60歳を迎えて人生を変える女性が増えている。安定した生活を手放し、新たな生活をスタートさせるのはなぜなのか。結婚した人、離婚した人それぞれに話を聞いた。※サムネイル画像:PIXTA
還暦結婚、還暦離婚……60歳を迎えて人生を変える女性が増えている。安定した生活を手放し、新たな生活をスタートさせるのはなぜなのか。結婚した人、離婚した人それぞれに話を聞いた。※サムネイル画像:PIXTA

少し前なら、還暦ともなれば子どもたちも家庭を持ち、孫に会うのが楽しみだという人も多かったかもしれない。だが今は、還暦を超えて「新たな人生」を築こうとする人たちが目立つようになっている。人生100年時代、とはいえあと何年、健康でいられるのか分からない。それでも「もう一度、人生をスタートさせる」のはなぜなのだろう。

熱烈にプロポーズされて

「40代で離婚、当時、10歳だった一人娘を一人で育ててきました。はっと気付くと、高校生になった娘にべったり依存している自分に気づいた。娘も優しいから『お母さんといるのが一番楽しい』と言ってくれて。このままだと娘がダメになる。そう思って子離れを心がけました」

そう言うのはジュンコさん(65歳)だ。大学を出た娘が就職するやいなや、彼女は娘に一人暮らしをするように勧めた。お母さんを一人にできないと娘は言ったが、「私はこれから恋愛するから」と笑って送り出した。

「それからは仕事をしながら自由を謳歌(おうか)していました。娘とは時々会って食事をしたりお酒を飲んだり。このくらいの距離が一番いいなと思ってた」

学生時代の友人や同僚との付き合いも密になった。地元のサークルで書道を習い、ボランティア活動にも参加した。58歳のとき、学生時代の友人と恋に落ちた。

「彼はサークルの後輩だったんですが、久々に会ったとき、なんだか妙な懐かしさがありました。友達として時々会うようになり、いつの間にか好きになっていたんです。彼も離婚歴があったけど子どもはいないということでした」

1年ほど付き合っているうちに熱烈プロポーズをされるようになった。資産も貯金もたいしてない。65歳の定年後も働きながら、ささやかに一人で暮らしていければいいと彼女は言った。

ついに還暦結婚

「彼は、『僕も似たようなものだけど、一人で生きるより二人で生きていこうよ。その方が楽しいよ』って。それはそうかもしれないけど、いろいろ面倒じゃないですか。私が住んでいるマンションはかなり古いけど一応、持ち家だし。私が出たら娘が住んでもいいんじゃないのと彼は言ったものの、そもそも引っ越すのも面倒。いざというとき帰る家がないのも不安。

そうしたら彼が、『僕は賃貸だから、じゃあきみの近くに越すよ』と言いだした。とにかく結婚したい、一緒に年をとりたい、と。その気持ちは私も同じだった」

とりあえず試しにやってみようと、彼がジュンコさんの家の近くに越してきた。毎日のように会い、一緒に食事をした。違和感はなかった。彼が時々自宅に戻ると、ジュンコさんは寂しくて彼のアパートに迎えに行った。

「そんな生活を1年続けて、やっぱり結婚しようということになった。万が一、離婚するようなことになったらと不安だったけど、『話し合えば何とかなるさ』って彼が言うんです。私、たぶんものすごく臆病になっていたんだなと分かりました」

娘も賛成してくれた。友人たちの前で婚姻届にサインをしたとき、肩の荷が下りたような気がしたという。知らず知らずのうちに肩に力を入れて生きていたのだろう。

それから5年、ジュンコさんの日常は穏やかに過ぎていく。二人で話し合って老いた保護犬を譲ってもらった。三人でゆっくり散歩をする時間が貴重だと彼女は笑った。

還暦離婚をしたら、生きやすくなった

一方、還暦を過ぎての熟年離婚は増えている。

「予定通り、還暦で離婚できたのがうれしくて」

そう言って笑い飛ばしたのはミエさん(63歳)だ。28歳で結婚した5歳年上の夫は、いつも彼女を見下していた。

「グズだののろまだのとよく言われました。二人の子を産み育てて、30代後半でパートの仕事を始めて。家事も育児もワンオペでしたけど、我ながらよくやったと思っています。いつか離婚したいとは思っていたけど、実現するとは思っていなかった。諦めていたんです」

50代に入って、下の子も大学生になったころ、「お母さんの人生、自分で選べるんだよ」と言われたのが心に刺さった。自分で選べる? 自由になれる? 何度も自分に問い掛けた。どうしたいのか、どんな自分でいたいのか。そんなことを考える余裕もなかったが、考え始めたら想像が止まらなくなった。

「一人で住んで、自由に時間を使える生活がしたいと思った。あんな夫のために自分の貴重な残り時間を捧げるのは心底、嫌だと思ったんです」

節約も楽しい

夫からの暴言は以前からメモってあった。外泊が続いて浮気を疑ったとき、「おまえよりずっといい女だ」「嫌なら出ていけ」と言われた言葉はたまたま録音してあった。それらを全て持って、知人に紹介された弁護士に会いに行った。

調停から裁判にまで進むのではと覚悟していたが、夫は世間体を気にしたのか、弁護士同士の協議がうまくいって離婚することができた。それが60歳の誕生日の3日前だった。

「友人たちが離婚祝いと誕生祝いをしようとパーティーを開いてくれたのがうれしかったですね」

夫からの慰謝料も受け取り、今もパートの仕事を続けている。決して余裕のある生活ではないが、「自分の裁量で節約できるのもまた、楽しみの一つになっています」と、ミエさんはどこまでも明るかった。

文:亀山 早苗(フリーライター)

元記事で読む
の記事をもっとみる