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コロナ禍で保育園が休園。在宅ワークでカオスの日常から、家族間でお世話することお世話されることが普通になっていくことを目指して【著者インタビュー】

  • 2026.5.3
 『いってらっしゃいのその後で 転がり続ける毎日編』より
『いってらっしゃいのその後で 転がり続ける毎日編』より

【漫画】本編を読む

「家族が好き。でも私を忘れずにいたい」

子どもを持ち、日々に追われるなかで、ふとそんな気持ちを抱いたことはないだろうか? 漫画家・ツルリンゴスターさんによるエッセイ漫画『いってらっしゃいのその後で』(KADOKAWA)の帯に添えられたこの言葉は、多くの共感を集めている。夫と3人の子どもたちとの暮らしを描きながら、“個”としての自分と向き合う姿や、子どもたちをそれぞれひとりの人間として尊重し、5人でよりよく生きていこうとする日々が丁寧に描かれている。

本作と続編である『いってらっしゃいのその後で 転がり続ける毎日編』(同)について、ツルリンゴスターさんにインタビュー。流れていく日々のなかで大切にしていることや、迷いながら向き合ってきた思いについて話を聞いた。

――作中で「今は家族がぎゅっとしているけど、そのうち家族だけの距離感が生まれるのだろう」とありました。その後2年が経過した今はいかがでしょうか?

ツルリンゴスターさん(以下、ツルリンゴスター):あれから子ども部屋ができて、子どもたちはそれぞれ別々の友人もできました。私は私で仕事部屋を借りて家から離れる時間も増えました。なのでだいぶ離れてはきましたが、私の実家はおそらく一般的なところから考えてもかなりそれぞれが独立した家族だったので、そのバラバラ加減からするとぎゅっとしていますね。今でもリビングで私が寝転んでいると、3人全員乗ってきたりします。

私の実家の家族はすごく面白くて楽でしたが、母ががんになったとき、母に対してなんと言葉をかけていいのか全員わからなかったんです。今になってみるともうちょっとお互いのことを話せても良かったんじゃないかなという後悔があります。母は「誰の負担にもなりたくない」という気持ちがすごく強い人でした。その気持ちはとてもわかるのですが、もうちょっと誰かのお世話をすることと誰かのお世話になること両方を受け入れてもいいんじゃないかなと思って。それで最近子どもに家事をお願いするようになりました。誰かが絶対担わなければいけない無償ケアを性別に関係なく全員ができるようになることは、社会的にもすごくいいことだと思うんです。みんなができるようになれば助けてって言いやすい。お世話すること、お世話されることが生活の中でどんどん普通になっていけばいいなと。だから我が家も、バラバラでいいけど、頼りにしたいとき家族を抵抗なく頼りにできるようなぎゅっと感はほしいなと、今バランスを考えているところです。

――コロナ禍で保育園が臨時休園になったときの在宅ワークぶりを描いた『いってらっしゃいのその後で 転がり続ける毎日編』の「ぽぽんぽりん」の頃とはだいぶ変わってきましたね。

ツルリンゴスター:もうあの時は何もできなかったです。子どもが家にいると、やっぱりお母さんになってしまうんですよね。「喉渇いた」「お腹減った」「これ見て!」の嵐でまったく集中できなくて。在宅に切り替えられない方からしたら「在宅は羨ましい」と言われるので、誰にもわかってもらえない辛さ、楽そうに見えるけど実際はまったく楽ではないところも辛かったです。

――私も在宅ワークなので、子どもが家にいる中での仕事の捗らなさに「わかるわかる!」と思いながら読みました。

ツルリンゴスター:時間は多分あるんですよね。子どもに話しかけられてパッとお母さんに切り替えて、用件が終わったらパッと仕事モードに切り替えられれば。ただ集中するのって、助走が必要じゃないですか。それができないから仕事に集中できないし、お母さん業も中途半端になって、子どもにもゲームとYouTubeばっかり見させちゃったり。あらゆることがちゃんとできないのを突きつけられる感じが苦しかったですね。

取材・文=原智香

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