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理想の空間を叶える、ウォールパネルのアイデア32

  • 2026.2.24
Tim Lenz

何かが足りない。けれど、それが何なのかはっきりとは分からない。家具を揃え、カーテンを吊るし、ラグを敷き、お気に入りの装飾品を並べて、暮らしの温もりが伝わる空間に仕上げたはず。それなのに、なぜかまだ部屋に個性が足りない気がするのはなぜ?その答えは、意外と身近なところにある。仕上げの決め手となるのはウォールパネル装飾だ。

中でも腰壁は、室内の壁の下部に板を張る手法のこと。18世紀のイギリスで、壁の保護と断熱を目的として、デンマーク産のオーク材を張ったのがそのルーツだ。この手法は時代を超えて採用され続け、今では大がかりな壁面工事をせずとも、空間に建築的な魅力を添える装飾デザインのひとつとして進化を遂げた。

このウォールパネルには、高さやサイズに多様な選択肢がある。正方形に近いフラットなパネルでモダンに見せることもあれば、立体的な装飾(モールディング)を施してクラシックに仕上げることもできる。あるいは、細い溝が垂直に走るデザインでスタイリッシュに演出したり、高さも伝統的な腰の高さから、思い切って天井まで届かせたりと自由度は高い。

どこから手をつければいいか迷っているなら、まずは原点に立ち返ってみてはどうだろう。デヴィッド・ネットーが手がけたニューヨークのカントリーハウスのように、伝統的なウッドパネルにアンティークを合わせるのもいい。あるいは、アーネスト・デ・ラ・トレの鮮やかな自宅のように、遊び心のあるデザインで現代的なインテリアと調和させ、伝統をいい意味で裏切るのも面白い。

ミニマルで洗練されたスタイル、王室のような豪華な雰囲気、あるいは歴史ある建物を思わせる趣。どのようなサイズや色を選んだとしても、腰壁は部屋の重心を安定させ、視覚的な楽しさをもたらしてくれる。あなたの家でも取り入れたくなるような、腰壁のアイデアを順に見ていこう。US版「エル・デコ」より。

Hearst Owned

スクエアなパネルで構成美を追求

パリ左岸にある18世紀の3階建て住宅では、伝統的なパネル装飾が空間を圧迫することなく、見事に調和している。デザインを手がけたのは、デザインスタジオのレトヴィウスだ。彼らは腰壁より上の壁面を落ち着いたグレーで塗装し、腰壁のホワイトを際立たせることで、パネル装飾が持つ建築的な対称性を美しく強調した。

落ち着きのあるこの壁面は、独特な個性を放つヴィンテージ調の家具を引き立てる最高の舞台となっている。ロジェ・ルメールのカクテルテーブル、スウェーデン製のヴィンテージ暖炉、そして1980年代のスティルノボ製シャンデリア。これら個性豊かなアイテムたちが、クラシックな空間に現代的な息吹を吹き込んでいる。

Hearst Owned

スモーキーパステルは万能色

ロングアイランドにあるこの別荘のダイニングエリアで、デザイナーのメリッサ・リーが選んだのは、心を穏やかに鎮めてくれるような、しっとりと落ち着いたトーン。これこそ、まさにビーチサイドの住まいに求められる雰囲気と言えるだろう。

霧がかったような淡いグリーンの腰壁は、空間に絶妙な調和をもたらしている。「シバスト・ファニチャー」の伸長式“No.3テーブル”を囲むのは、深みのある色合いが美しいアンティークの「トーネット」チェア。腰壁の淡い色が、このダークカラーの椅子と対比させることで、部屋全体の印象を重くなりすぎないよう上手くバランスをとっている。

Hearst Owned

ベッドルームの定番カラー

デザイナーのアン・マクドナルドは、ミネソタ州にあるこの住宅の主寝室に、北欧スタイルのエッセンスを取り入れた。本来、北欧のような寒冷地では、断熱のために腰壁を施すのが実用的な知恵だが、アメリカにあるこの家では、より視覚的な演出として腰壁を活用している。

全体をブラッシュピンクで彩った腰壁は、華やかな花柄のヘッドボードを引き立てつつ、空間を軽やかに、そして広く見せる効果を生んでいる。また、サイドテーブルや照明に使われている天然木の質感やウィッカーの風合いとも自然に馴染み、心地よい調和を作り出している。

Hearst Owned

明快なコントラストで2分割

デザイナーのデヴィッド・ネットーが手がけた、ニューヨーク州ミルブルックにある夢のようなカントリーハウス。この住まいは、アメリカ植民地時代の伝統的な建築様式を色濃く反映している。

この図書室に、モダンさと心地よさを同時にもたらしているのは、白い腰壁の上に配された意外性のある深いプラム色。この目が覚めるような美しいコントラストが、シンプルな白いソファや「ジョン デリアン」のオットマン、そして「スターク」のクラシックなジュートラグと相まって、空間全体をいっそう引き立てている。

Hearst Owned

クラシックなチューダー様式

独創的でドラマチックな空間作りで知られるスタジオ・ペレガリ。彼らが歴史あるロンドンの邸宅で手がけたのは、豪華でありながら不思議と心が落ち着く、理想的な朝食スペースだ。

空間の基調となるのは、柔らかな白の腰壁。チューダー様式特有のどっしりとしたサイズ感を取り入れたこの壁が、天井から壁までを覆う18世紀の装飾壁紙と見事に溶け合っている。さらに、19世紀のモロッコ製ランタンやペルシャ織のクロスをかけた小テーブル、同時代の英国製チェアが、かつてのヨーロッパ大陸を対象とした大周遊旅行『グランドツアー』を彷彿とさせる異国情緒豊かな彩りを添えている。

Hearst Owned

ワントーンで立体感を楽しむ

気鋭のデザイナー、オーガスタ・ホフマンは、現代的なミニマリズムを絶妙なバランスで形にできる数少ない一人。夫と暮らすマンハッタンのロフトでは、リビングの一角に極めて高さの低い腰壁を設置。この控えめながらも気品漂う空間の、デザインの土台として活用している。

腰壁と壁面をあえて同じ清潔感のあるホワイトで統一したことで、「スタインウェイ&サンズ」の艶やかなピアノが、主役としていっそう引き立つ。そこに、ジャック・アドネのすらりと伸びたフロアランプが加わり、空間の完成度をさらに高めている。

Hearst Owned

腰壁を額装のようにアレンジ

オーガスタ・ホフマンの自宅アパートメントの別の部屋では、腰壁がより凝った壁装飾を引き立てる“額縁”のような役割を果たしている。ダイニングルームでは、深いフォレストグリーンの腰壁を採用。その落ち着いた色合いが、壁面上部に施されたジェームズ・モブリーによるロマンチックな手描き壁画と、絶妙なバランスを保っている。

この空間を現代的な印象に引き上げているのは、特注のトラバーチンテーブル。シックなヴィンテージチェアはアフラ&トビア・スカルパ夫妻のデザイン、そして彫刻のような美しさのウォールランプは「ピンチ」のもの。これらが相まって、伝統を今の時代へと鮮やかに更新している。

Eric Piasecki

雄弁な壁紙の引き立て役

腰壁をシンプルに仕上げることは、決して手抜きでも退屈なことでもない。北カリフォルニアにあるこの家では、あえて装飾を削ぎ落とした板壁が、「ピエール・フレイ」の遊び心あふれる壁紙をいっそう魅力的に引き立てている。

William Abranowicz

ダークトーンの腰壁がベースに

腰壁は伝統的なインテリアのためだけのもの。もしそう思っているなら、ニューヨーク州ハンターにあるこの日本家屋風の住まいを見てほしい。洗練された家具や直線的なシルエットと組み合わせることで、パイン材の腰壁は驚くほどモダンで新鮮な表情を見せている。

Thomas Loof

壁紙の個性を受け止める

伝説の邸宅“グレイ・ガーデンズ”を彷彿とさせる、このイーストハンプトンの家が物語るように。腰壁には、ともすれば奇抜になりがちな空間に、洗練された落ち着きを与える力がある。

グレーで彩られた精緻なパネル装飾が、「コール&サン」の壁紙や「メイド・グッズ」のミラーと、巧みなコントラストを描き出している。

Alison Gootee

微妙なグラデーションを立体的に

壁一面に塗られた“色”が持つ力を侮ってはならない。ハウス・オブ・エル・デコの空間に見られるような同系色の組み合わせは、エレガントでありながら、決して主張しすぎない絶妙な空気感を生み出す。壁面には“ピジョン”、腰壁には“ブルーグレー”を採用。いずれも、英国の名門塗料ブランド「ファロー&ボール」によるものだ。

Richard Powers

表情豊かなビードボード(細い木板)を選択

腰壁のデザインに洗練されたアクセントを加えたいなら、ビードボードを取り入れるのがおすすめ。細い木板を縦に並べたようなこのデザインは、空間に心地よいリズムと視覚的な楽しさを生み出してくれる。ジョージアン様式のこのゲスト用バスルームでは、細部にまで「ファロー&ボール」の“コーンフォース・ホワイト”をまとわせ、気品ある佇まいに仕上げている。

Simon Upton

浴室の壁にも豊かな表情を

腰壁はそれ自体が空間の主役になれるほど魅力的なものだが、だからといって部屋のすべてをそのスタイルに合わせる必要はない。

コネチカット州にあるこの住宅では、額入りの絵画を無造作に立てかけたり、タオル掛けを取り付けたり、絶妙な位置に椅子を置いたりしている。こうして“飾るための造作”と“使うための道具”の境界をあえて曖昧にすることで、デザインと実用性を賢く共存させている。

William Waldron

壁紙の柄との相乗効果を狙う

レイクタホにあるこの隠れ家的な邸宅は、腰壁のデザインをさらなる高みへと引き上げている。その決め手は、奥まった位置に配したビードボードと、存在感が際立つアンティーク調ミラー。これらが相まって、水回り空間に奥行きのある豊かな表情がもたらされている。

William Waldron

モールディングと呼応する装飾を

腰壁という要素が持つ歴史的な背景を大切にするなら、重厚な階段や装飾豊かな鏡、そして白い石膏の胸像といったクラシックなアイテムと組み合わせてみよう。歴史の物語を刻んできたハーレムの邸宅が、その理想的な手本を示してくれている。

Simon Upton

ドラマティックな色を厳選

古き良き腰壁のデザインを、もっと今風に。そんな時は、この18世紀のパリのアパルトマンのように、壁を鮮やかな赤で大胆に彩ってみるのがいい。歴史ある空間に、一気にモダンな活気が宿るはず。

Dustin Aksland

壁紙と腰壁の濃厚なコントラスト

デザインへの飽くなき探究心を解き放ち、躍動感のある壁紙と、色彩豊かな腰壁を組み合わせてみよう。エリザベス・ロバーツが手がけたこのコンドミニアムでは、この2つの要素が重なり合うことで、ダイニングに豊かさと温かみのある心地よい空気感をもたらしている。

Trevor Tondro Photography

天井近くまで立体感をプラス

デザインのルールは、破るためにある。それは腰壁だって例外じゃない。一般的に腰壁といえば、壁の下半分にパネルを張るものだが、なにもそこで止める必要はない。このアッパー・ウエスト・サイドのアパートメントが証明しているように、天井に届くまで張り上げたっていい。可能性に限界なんてないのだから。

Richard Powers

モノトーンを徹底する

白と黒。そして、圧倒的な洗練。アーネスト・デ・ラ・トーレがニューヨーク州北部に構える自宅のバスルームは、まさにそのお手本。「ベンジャミンムーア」の“ミッドナイト”で塗られた黒い腰壁が、シャンテル・マーティンの壁画に描かれた黒のラインや遊び心たっぷりのイラストと響き合い、空間を見事に引き締めている。

Björn Wallander

まずは高さを際立たせる

「ベンジャミンムーア」の“ホワイト・ダブ”で彩られた高めの腰壁が、オークランドにあるこの邸宅の玄関ホールに、パッと目を引くような華やかさを与えている。さらに、飾られたアートやペンダントライト、そしてアクセントのブラウンが絶妙に調和し、天井をいっそう高く、開放的に見せる効果を生んでいる。

Reid Rolls; Styling: Chelsea Fierst

微妙な同系色の対比を楽しむ

さりげなく、それでいて印象に残る腰壁を目指すなら、ブリジット・ロマネクが手がけたこの住まいを参考にしたい。落ち着いたニュアンスグレーの壁と白い腰壁が美しいコントラストを描きつつも、その組み合わせが主張しすぎることはない。あくまで主役であるアートやダイニングセットを引き立てる、絶妙な脇役に徹している。

Stephen Kent Johnson

心地よいカントリースタイルを実現

アマンダ・サイフリッドがニューヨーク州キャッツキルに構える邸宅では、壁一面をビードボードで仕上げ、「ファロー&ボール」の“ディンプス”で塗装している。このスタイルは、気取らない素朴さがありながら、同時に心からリラックスできる洗練された空気感を醸し出している。

William Waldron

腰壁の存在感が格を上げる

トム・フィリシアが手がけた彫刻的なコンソールテーブルに、ジョナサン・バーデンの鏡。そこに腰壁までもが加わることで、コネチカット州にあるこの邸宅の玄関ホールには、この家族の住まいにふさわしい堂々とした風格が備わっている。

Eric Roth Photography

腰壁は大胆な個性の緩衝地帯

もしあなたの好みが、色や柄をふんだんに取り入れるデコラティブなスタイルなら、腰壁は異なる柄同士をうまく切り替える賢い手法になる。大胆なデザインが目を引くこの朝食スペースでは、ビードボードの壁がストライプの壁紙と塗装された床の間に配され、視覚的な“余白”として心地よいゆとりを生み出している。

Dominique Vorillon

高さは自由に設定する

腰壁のデザインを、文字通り“新たな高さ”へと引き上げてみよう。このポルトラ・バレーの邸宅が、その好例だ。ホームオフィスに採用された壁一面のビードボードが、独立したデスクスペースとしての特別感を演出している。軽やかなロールスクリーンや編み込みのデスクチェア、そしてローズ・ターロウの麻ラグ。これらが伝統的な腰壁に、カリフォルニアらしいクールなエッセンスを添えている。

Eric Piasecki

木のぬくもりを空間に

ダークな塗装で仕上げられた伝統的な腰壁。シカゴにあるこの家のバスルームでは、その端正な佇まいが、手描きによる活気に満ちた壁紙に、どこか凛とした気品を添えている。

William Abranowicz

壁でアクセントを効かせる

よくある差し色の代わりに、腰壁でアクセントウォールを作ってみるのはどう?ニューヨーク州北部のこの空間が、まさにその好例。黒一色で仕上げた壁は、それだけで圧倒的な存在感を放ちつつ、同時に部屋全体の色彩とも見事に馴染んでいる。

Photography By William Waldron/ Styled By Stephen Pappas

カーテンや床と同系色でまとめる

サンフランシスコにあるこの邸宅では、デコレーターのパーマー・ワイスが、腰壁のあるダイニングをアースカラーのワントーンで統一した。ジョン・ロセッリの椅子やヴァンサン・フルニエの写真が空間の仕上げとなり、伝統的なスタイルと自然界のような素朴な質感が、絶妙なバランスで共存している。

Photography By William Waldron/ Produced By Robert Rufino

鮮やかなコントラストを意図する

ハンプトンズにあるこの邸宅のように、腰壁をうまく使って、壁面の鮮やかな色彩を引き立ててみよう。清潔感のある白のアクセントが加わることで、マリンスタイルの空間に落ち着きと静寂が生まれている。

Björn Wallander

2つのデザインを組み合わせてみる

腰壁のデザインを1つに絞る必要はない。このハンプトンズの邸宅のように、2つのスタイルを同時に取り入れるのも手。面取りパネルとビードボードという異なるディテールを並べることで、日当たりの良い空間に絶妙なアクセントが加わっている。

Hearst Owned

格式高いエントランスを腰壁で

レオパード柄の階段マットに、メタリックな壁紙。そこに腰壁を組み合わせた、ジェロッド・ブランディーノとジェレミー・ジョンソンの邸宅の玄関ホール。この空間には、温かく迎え入れてくれるような心地よさと、一分の隙もない華やかさが共存している。

Douglas Friedman

大胆な色と立体感で攻める

ドラマチックな演出を加えて、腰壁を部屋の主役に仕立ててみよう。このロサンゼルスの邸宅では、壁一面の腰壁を「ベンジャミンムーア」の“ジュニパーグリーン”で塗装。その鮮やかな色彩が、黒い天井やダイニングセットを背景に見事なコントラストを描き出している。

original text : Camille Okhio and Kelsey Mulvey

>>US版『House Beautiful』のオリジナル記事はこちら

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