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災害から命を守る片付け 整理収納アドバイザーが伝えたい「家の中の避難経路チェック」

  • 2026.2.20

防災というと、水や食料、非常持ち出し袋など「備えるもの」に目が向きがちですが、実は同じくらい大切なのが、日頃の住まいの整え方です。特に地震が起きた時に家の中が散らかっていると、転倒やケガのリスクが一気に高まります。いざ避難しようとしても、足元にものが散乱していたり、倒れた家具で通路がふさがれたりしてしまうと、避難するまでに時間がかかってしまいます。

今回は整理収納アドバイザーの視点から、震災時の危険を減らすために、特に意識して片付けておきたい場所と、避難経路のチェックポイントをご紹介します。

リビングから玄関まで「何もない動線」をつくる

家族が多くの時間を過ごすリビングは、災害発生時に最初に身を守る場所であり、そこから玄関や窓へと避難する起点にもなります。このリビングから玄関までの動線上に、ものが置かれていないかをまず確認してみてください。

一時的に置いたバッグやストック品、読みかけの本、子どものおもちゃなどは、普段は気にならなくても、避難時には大きな障害物になります。暗闇や停電の中では、わずかな段差やものにつまずくだけで転倒し、避難が遅れる原因にもなります。また、キャスターがついている家具や家電は、地震の揺れで動いてしまい、倒れたり避難経路をふさいでしまったりします。

「床にものを置かない」を基本に、通路は人がすれ違えるくらいの幅を確保しておくことが、命を守る片付けにつながります。

階段は“物置場”にしない。ケガにつながる危険ゾーン

階段は、別の階へ移動するための一時置きスペースになりやすい場所です。「あとで2階に持っていこう」と置いた荷物や洗濯物が、そのままになっていないでしょうか。

実は私自身、階段に置いてあったものを踏んで滑り、肋骨を骨折した経験があります。階段下に脱いでおいたスリッパに気が付かず、滑ってひどい打撲を負ったこともありました。

日常生活の中ですら危険な階段は、災害時にはさらにリスクが高まります。揺れで体のバランスを崩した状態で、ものが置かれていれば、大きなケガにつながりかねません。階段には何も置かない。これは防災のためだけではなく、日々の安全のためにも欠かせないルールです。

玄関は「出られる状態」を保つ。荷物の仮置きに注意

玄関は外へ逃げるための出口です。しかし、宅配便のダンボールや買い物袋、防災用品以外のストックなどが置かれ、靴も出しっぱなしになっている家庭は少なくありません。わが家は5人家族なので、玄関にそれぞれの靴が散乱していることがよくあります。

しかし、いざ避難しようとした時、玄関にものがあふれていると、ドアが開かない、足の踏み場がないといった事態が起こります。災害時は、いつも通りに体が動くとは限りません。だからこそ、玄関は常にスムーズに通れる状態を保っておくことが重要です。

荷物はその日のうちに片付ける。靴は出したらしまう。こういった小さな習慣が、いざという時の大きな安心につながります。

背の高い家具は置き場所と中身を見直す

本棚や食器棚などの背の高い家具は、倒れてくると大きな危険をともないます。特に避難動線上に置かれている場合は要注意です。配置を見直し、どうしても移動できない場合は、家具の固定など耐震対策を必ず行いましょう。

収納の仕方にも工夫が必要です。本棚であれば、重たい本は下段にまとめ、上段は割れにくいものや軽いものを置くようにします。お気に入りの本の表紙を飾るように収納することで、実用性と見た目の両立も可能です。食器棚も同様に、割れやすいものは高い位置に置かないことがポイントです。

開き戸は地震の揺れで扉が開いてしまうため、揺れを感知すると自動でロックがかかる耐震ラッチや飛散防止フィルムを使って、平時のうちに対策をしておきましょう。

ガラス製のインテリアは「揺れ」を前提に考える

花瓶や置物、写真立てなどのガラス製品は、揺れによって落下しやすく、割れると破片が飛び散ります。こうした装飾品には、耐震用のジェルマットを敷くことで転倒を防ぐことができます。

もしくは、割れにくい素材のインテリアに切り替えるのもひとつの方法です。見た目を楽しみながら、安全性を高める工夫は、日常の中で無理なく取り入れられます。

寝室は「寝ている時の安全」を最優先に

就寝中に地震が起きることも想定して、寝室の安全対策は特に重要です。頭上やベッド周り、部屋の扉までの動線上に、割れやすいものや倒れやすいものが置かれていないかを確認しましょう。

懐中電灯やスリッパ、メガネなど、最低限の防災アイテムは、起き上がってすぐ手に取れる場所に置いておくと安心です。暗闇の中でも行動できる環境を整えておくことが、ケガの防止につながります。

片付けは、今日からできる防災

防災は、特別な道具を揃えることだけではありません。日頃から家の中を整え、危険を減らしておくことも、立派な防災対策です。

「もし今、地震が起きたらどこを通って逃げるか」を想像しながら、家の中を見渡してみてください。片付けは、命を守る準備でもあります。まずは一か所、避難動線を意識して整えることから始めてみませんか。

<執筆者プロフィル>
海老原葉月
ライター、整理収納アドバイザー1級
13歳、11歳、1歳の三兄弟を子育て中。東日本大震災、令和元年房総半島台風にて被災した経験から、防災に関する情報を発信。

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