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火災事故が増加中! 安全目線でのポータブル電源の選び方

  • 2026.2.16

近年、寒さも暑さも「これまでに経験したことのないような」という枕詞がつく苛烈な状況が増えてきました。そんな暑さや寒さの中、もし停電したら…。いろいろな状況に対応すべく、防災&キャンプ用としてのポータブル電源購入をここ数年検討しています。

一方で、電源が火元となる火災事故も増えており、安全性も気になるところ。そこで、今回はできるだけ安全なポータブル電源を選ぶにはどんなところに注目したらよいのかを調べてみました。

すでに購入している人が見た選び方のポイントとは

高スペックのものを購入できればベストではありますが、容量は当然価格に反映するし、そもそもポータブル電源は安くても数万円、容量によっては数十万円という価格帯のものなので、予算内で買えるかという点も大切です。

すでにキャンプなどで数年前からポータブル電源を活用している野遊び仲間のMさんに、購入時のポイントを聞いてみました。M家が購入時に考慮したポイントは以下の3つ。

  1. 家電が安全に使える正弦波であること
  2. バッテリー容量
  3. 上の二つを満たしたうえでのデザイン性

M家では購入するバッテリー容量の判断基準を、「夏は扇風機・冬は電気毛布が2晩もつぐらい」としたそうです。ちなみにわが家は、電源のない区画での真夏のキャンプに充電式の扇風機を持って行き、首振りにしたところ、就寝から明け方までもたなかった経験がポータブル電源購入検討の最初の動機だったので、この判断基準に納得です。

正弦波というのは、耳慣れない単語かもしれないので補足をすると、電源の出力波形のこと。

家電製品は、家庭用のコンセントから供給される正弦波で動いています。家電製品や電子機器によっては、正弦波以外の出力波形電源を使用すると故障や不具合を引き起こす可能性も。ポータブル電源の中には、矩形(くけい)波や修正正弦波の製品もあるため、使用目的なども踏まえ、購入前に確認をしておきましょう。

上記購入ポイントに追加するならば、携帯性と安全性でしょうか。持ち出すことも想定しているなら、実際に運べる重さかどうか、ということも大切になってきます。

また、防災やアウトドアシーンでの使用の増加に伴い、ポータブル電源による火災などの事故も増えており、安全性にはしっかりと気を配りたいところです。

実はポータブル電源は電気用品安全法の規制対象外!

電気用品安全法という法律をご存じでしょうか。日本国内の消費者を電気製品による事故から守り、電気用品を安心・安全に利用してもらう為の法律で2001年から施行されました。

家庭用電源に直接つながる家電、ACアダプター、電源ケーブル、携帯発電機、蓄電池やモバイルバッテリーなどがその対象に含まれます。安全基準適合商品には、PSEマーク(危険性の高い特定電気用品はひし形のマーク)が付けられ、マークのない電気製品の製造・輸入・販売は禁止されています。

 

ところが、実はポータブル電源本体は、現時点ではその規制の対象から外れています。大容量のリチウムイオン電池搭載のポータブル電源には火災や感電などのリスクがあり、製品固有の安全要求事項が存在しないことが課題とされてきました。

製品の構造や安全対策に関する規格が統一されていないため、現状では各製造業者が独自に安全対策を講じています。

ポータブル電源の新たな共通安全基準策定の動き

事故件数も増加する中、2024年、経済産業省の主導で「ポータブル電源の安全性要求事項」というガイドラインが策定されました。このガイドラインの内容に沿い、ポータブル電源は、電気製品の安全のための第三者認証制度である「Sマーク」認証対象製品として新たに追加されています。

Sマーク最大の特徴は、メーカーではない独立した第三者認証機関 (UL Japan、JET、JQAなど) が検査を行う点で、厳しい安全基準に基づく製品試験が行われます。

2026年1月には、日本国内のポータブル電源市場でトップクラスのシェアと知名度を誇るAnkerの一部ポータブル電源製品が、業界初となるSマーク認証を取得したことが話題になりました。今後、購入時の一つの指標となっていくと思われます。

2025年2月には、ポータブル電源の安全性向上と健全な市場発展を目的に、主要メーカー(Jackery・Anker・EcoFlow・BLUETTI・JVCケンウッド等)参画の下、「一般社団法人日本ポータブル電源協会(JPPSA)」が設立。安全基準の策定や消費者への情報発信を推進することを掲げ、ポータブル電源に関するJIS(日本産業規格)の制定を早ければ2027年春にも目指す方針を発表しています。

リチウムイオン電池の種類で安全性に違いがでる

事故情報データバンクシステムによると、ポータブル電源による事故の原因は、ほとんどの場合、以下のどちらかとされています

  • バッテリーが異常発熱し出火
  • 過充電状態となり出火

とすると、これらを防ぐ機能を併せ持ったものを探すことが重要になりそうです。

ポータブル電源は内部のリチウムイオン電池などを充電して使う比較的大容量の充電池。多くのポータブル電源には、温度の異常を感知した際に機能を停止する回路があり、本来は異常発熱や発火は起こらないとされています。

とはいえ、炎天下の車中に放置されたり、強い衝撃や製造時の異物混入などにより内部でショートしたりすると、異常発熱する可能性が考えられます。消費者庁によると、「ポータブル電源はエネルギー量が多い分、事故時の発熱量も大きくなる」のだそう。

リチウムイオン電池の火災は主に「熱暴走」と呼ばれる現象により発生するとされています。リチウムイオン電池には、三元系リチウムイオン電池と、リン酸鉄リチウムイオン電池があります。三元系リチウムイオンは熱分解温度が約200℃と低いため、高温環境下や過充電状態で熱暴走が発生しやすいという弱点があります。一方、リン酸鉄リチウムイオン電池は熱分解温度が約700℃と高く、熱安定性に優れているため火災リスクが大幅に低減する、と言います。

さらに、リン酸鉄リチウムイオン電池は自己放電率が低くエネルギー効率に優れ、10年間の継続使用が可能とも。安全性も高く、発火や爆発事故のリスクが少ないメリットもあるとされており、初期投資費用は高くはなりますが、安全性を優先するなら、リン酸鉄リチウムイオン電池のものを選択するというのも一つのポイントです。

リコール対象などになっていないか。安全面の確認は定期的に

大手メーカーのものなら、どの商品でも安心。そんな風に思っている方、いませんか。

実はポータブル電源による火災事故や、製品リコールは大手の製品でも発生しています。まずは、自分が購入しようとしている製品がリコールの対象になっていないか確認しましょう。さらに、購入後に製品がリコール対象となることもあるので定期的にリコール情報を確認する習慣付けをすることも大切です。

また、フリマサイトなどで中古品を購入する場合にも注意が必要。稼働状況や使った期間、使用環境は劣化に大きく影響するため、出品者によく確認を。店舗での中古品購入の際は外装をよくチェックし、欠けやへこみ、水濡れ跡などがないかどうかもよく確認しましょう。

わが家で、いま購入するなら何を選ぶ?

ここまでの情報も踏まえ、改めて家族といまなら何を購入するか検討してみました。多方面から検討した結果、わが家の現時点での購入最有力候補は、1番直近の安全基準を満たすSマーク取得済みのAnker製品という結論に至りました。

とはいえ、安全基準や法整備は日進月歩。いまベストとされるものが、今後もベストというわけではないので、購入タイミング、使用目的・環境などに合わせ、各自で自分なりの判断基準を設けて検討することが大切です。

<執筆者プロフィル>
水野佳
保健師 / オートキャンプ歴9年
学生時代にはバックパックを担いでフィールドワークや旅に出かけ、バングラデシュでの井戸掘りなども経験。旅やアウトドアでの知識や経験を防災活動に繋げる。産業保健師として企業勤務時に、救命講習やBCPなどの企画・運営にも関わった経験も持つ。

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