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呪術で指の間から“不思議”をのぞき込む。個性豊かな妖怪たちとの不思議な交流をゆるっと描く新感覚の怪異譚【書評】

  • 2026.2.20

【漫画】本編を読む

あなたがつい先ほど町中ですれ違った“人”が、実は人間に擬態している妖怪だったとしたら……。あなたは、その正体を見破ってみたいと思うだろうか。

『狐の窓〜ゆるっと怪異〜』(夜風さらら/KADOKAWA)は、人間の世界に紛れて生きる妖怪と、人間との交流を描いた連作短編漫画だ。

主人公のナギは、人間でありながら、妖怪のちょっとした悩みをゆるっと解決する東雲探偵事務所で助手として働いている。所長である不思議な少女・レンに“狐の窓”を教わったことをきっかけに、様々な妖怪たちと関わるようになる。

“狐の窓”とは、指を組んで不思議な窓を作る呪術だ。のぞき込むことで、妖怪の正体など目には見えないものを見られるようになる。本作に登場する妖怪は、一度は名前を聞いたことがある有名な妖怪から少しマイナーな妖怪、かわいらしい妖怪から恐ろしい妖怪まで、非常に多様だ。女学生に擬態している猫又や、人間界の機械製品に興味をもって人里に下りてきた鴉天狗、オタク男性に化けている鬼などが登場し、人間社会に溶け込む姿と本来の姿とのギャップも魅力的で、必ず“推し妖怪”が見つかるだろう。

また、ストーリー全体の緩急も絶妙だ。シリーズ第3巻では、東雲探偵事務所と町の妖怪たちの間でいさかいが勃発し、“狐の窓”を使って「妖怪の正体当て」の三番勝負をすることになる。ややシリアスな展開ではありつつも、コミカルな掛け合いや、くすっと笑えるエピソードが随所に挟まれているため、緊張感を緩めながら読み進められるだろう。

人と妖怪という異なる存在が交流し、時に支え合う姿を描いた本作は、読後に怖さよりも温もりが残る怪異譚だ。少しの間、現実を忘れたくなったときに“狐の窓”をのぞくような気持ちで、本作を開いてみてほしい。ページの向こうでは、ゆるりと心地よい非日常なひとときが、いつでもあなたを待っている。

文=ネゴト / 桜小路いをり

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