1. トップ
  2. ファッション
  3. 「相手役とセッションをし、心が豊かになる感覚は俳優の醍醐味です」『SHOGUN 将軍』穂志もえかさん

「相手役とセッションをし、心が豊かになる感覚は俳優の醍醐味です」『SHOGUN 将軍』穂志もえかさん

  • 2026.3.7

MIU MIU

穂志もえかの他楽(はたらく)

「私が思うその人の魅力を、クリエイター同士の自由な化学反応で、ファッション誌だからできる表現で見せたい」と語るスタイリスト長澤実香さんの隔月連載。今月のゲストは、今世界が注目する俳優・穂志もえかさん。
 
着こなすのは“働くということ”をテーマにしたミュウミュウ2026年春夏コレクション。仏教において“働く”とは他者、つまり他(はた)を楽(らく)に、幸せにすることだという考え方があるそうです。作品を通じ私たちを楽しませてくれる彼女の“仕事”とクロスオーバーさせたファッションストーリーをお楽しみあれ。
 
写真 熊谷勇樹

今季を象徴するフリルがついたマクラメ編みのエプロンを纏ったルックは、穂志さんもお気に入り。「クリーニング店とか縫製工場で働く女性をイメージしたかのような1枚。仕事の合間に一息ついている、みたいなムードに仕上がったのは、穂志さんの表現力あってこそ」と、長澤さん。エプロン¥737,000、セーター¥693,000、スカーフ¥100,100、インナーパンツ¥69,300、ブーツ¥335,500※全て予定価格(全てミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス)

“穂志もえか”ってどんな人?

――『SHOGUN 将軍』の宇佐見藤役で、アメリカの映画批評家賞である「クリティクス・チョイス・アワード」ドラマシリーズ部門、助演女優賞を受賞して、早いものでもう1年経ちますね。改めて、どんなお気持ちですか?
今年のクリティクス・チョイス・アワードもとても盛り上がっていて、受賞者も名だたる方々ですし、改めてすごい賞をいただいたんだなと実感しています。受賞後、日本だけでなく海外の方からもいろいろお言葉をいただいてありがたいです。とはいえ、受賞は周りが“穂志もえか”を見るときの判断基準のひとつなので、私自身はそれはそれと思って、目の前の作品ひとつひとつを頑張ろうってやってます。
――やはり『SHOGUN 将軍』が、キャリアの転機に?
もちろん『SHOGUN 将軍』は素晴らしい経験でした。それと同時に『SHOGUN 将軍』の撮影後、事務所に所属しないフリーになった時期があったことで見える世界が変わったと思います。仕事の選択やギャラ交渉、台本を取りに行くとかまで全部やったことで、自分の仕事の全てを知ることができた。それはすごくいい経験でした。
――俳優の醍醐味ってなんだと思いますか?
ひとりで台本を読んでいるときには分からなかったけど、現場に行って相手役とセッションをしていく中で、想像もしなかった感情とか、言葉にできない思いが生まれるときですかね。人として、心が豊かになっていくような気がします。あとは、芝居をしながら、他の役者さんたちの信念みたいなものに触れさせていただけるのも嬉しいですね。

「穂志さんに似合いそう!」と長澤さんが最初に選んだのがこのルック。タートルネックニットとネイビーのパンツにノスタルジックなフリルのトップス、少年と少女をミックスさせたムードがミュウミュウらしい。トップス¥561,000、パンツ¥264,000、ベルト¥149,600、シューズ¥157,300※全て予定価格(全てミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス)

クラシックなワークバッグをエレガントに再解釈した新作「ユーティリティ」は、しなやかなスエード素材。前後にフラップポケット、サイドにも磁気開閉式ポケットがあしらわれて実用性も十分。バッグ〈ユーティリティ〉[H14.5×W26×D9.5cm]¥462,000※予定価格(ミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス)

――自分ってどんな人だと思いますか?
よくも悪くも忍耐強いと思います。簡単に諦めないから得るものもある一方、消耗もします(笑)。
――ルーティンにしていることは?
あまりないんですよ。しいて言うなら、作品が決まると役の設定に関係する本をたくさん読むことですかね。役が知っているだろうなってことは私も知りたいから。今は『京都人の密かな愉しみRouge―継承―』で演じている三上洛が哲学科に通う女の子の役なので、哲学の本を読んでいます。
――お仕事以外のルーティンは?
う~ん、作品に入っていないときは友だちに会うこと。友人たちと話すと、私自身がどんな価値観で何を大切に生きてきたかっていうことを思い出して、素の自分に戻れる気がするんです。

――美容で気を使っていることは?
たまにまずいビタミンCを飲むことと(笑)、首までクリームを塗ることくらいかな。首が目立つタイプなんですよ。30歳になったし、ケアをちゃんとしようかなと。
――普段のファッションは?
そのときのテンションで変わるんです。今日の撮影で着たミニ丈のルックみたいなのが可愛い! 着たい! というときもあれば、とにかく締め付けがなくて自分の気持ちも休まるような、リラックスできる服がいいってときもあります。
――最近テンションが上がった買い物はありますか?
年明けにティファニーのネックレスを買いました。最近は、緩くてシンプルな、それこそ上下スエットのようなコーデでちゃんとしたジュエリーを着ける、みたいな格好が好きなので。それに、ずっと欲しかったんですよね。去年の自分へのご褒美と、今年も頑張ろうの意味を込めて手に入れちゃいました。

ワックス加工を施し、ヴィンテージライクな風合いを出したスエードブルゾンに、シャツ+Vネックのセーター、腰を落とし気味にしたパンツを合わせたボーイズライクなルック。「可愛いだけでなくちょっと儚さもある彼女の雰囲気と相まって、ピュアな雰囲気に仕上がったと思います」と、長澤さん。アウター¥1,067,000、セーター¥209,000、シャツ¥187,000、スカーフ¥100,100、パンツ¥264,000※全て予定価格(全てミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス)

――オフの日は何をしていますか?
映画や演劇を観に行きます。
――幸せを感じるのはどんなときですか?
「お前ら、最高だな!」と思える友人たちがいること。そういう友と一緒に過ごす時間。
――落ち込むことはありますか?
めっちゃありますよ。人の見たくなかったなと思う一面を知ってしまったときとか。そういう人なんだって割り切って距離を取ればいいんでしょうが、ほら、私ってよくも悪くも諦めが悪いので(笑)、傷ついてしばらく立ち直れなかったり。でも、最近はそういうときに“許せるところまで許す”みたいなことを試してみていますね。私自身も逆の立場で、友人に許してもらっていたりすると思うので。
――人生の目標は立てるタイプ?
立てられない、ですよね。立てたとてそれに縛られて上手くいかないほうが多くて。でもその予想外のことが起こっちゃったときのほうが面白かったりするから。
――好きな言葉を教えてください。
最近のホットワードというスタンスでよければ「誠実」。結局、誠実な人が強いし、分かり合えるし、愛せるから。

ヴィンテージライクな牛革のジャケットに、少女の頃に着ていたようなポプリンの花柄ドレス、そのギャップがチャーミングなムードを生むルック。穂志さんの余韻のある表情が、まさに“着る人の日常”を想像させるシネマテックなカット。アウター¥1,243,000、ドレス¥467,500、セーター¥209,000※全て予定価格(全てミュウミュウ/ミュウミュウ クライアントサービス)

PROFILE_穂志もえか(ほし・もえか)/千葉県生まれ。講談社主催のオーディション・ミスiD2016でグランプリを受賞。2018年、映画『少女邂逅』で初主演。世界的に大ヒットした『SHOGUN 将軍』では宇佐見藤を演じ、第30回クリティクス・チョイス・アワードでドラマシリーズ部門の助演女優賞を受賞。現在放映中のNHKプレミアムドラマ『京都人の密かな愉しみRouge―継承―』で新ヒロイン・三上洛役を熱演中。

PROFILE_長澤実香(ながさわ・みか)/スタイリストとして女性誌や講演などで活躍。ハイファッションをリアルなコーディネートに落とし込むスタイリングに定評があり、数多くの俳優やモデルから絶大な支持を得る。

direction & styling:MIKA NAGASAWA
hair:KEIKO TADA[mod’s hair]
make-up:MASAYO TSUDA[mod’s hair]
text:MIWAKO YUZAWA

otona MUSE 2026年4月号より

元記事で読む
の記事をもっとみる