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「今日は無理」と言えること。友情の新しいかたち

  • 2026.2.19

私は、直前になって予定をキャンセルすることで有名だった。冗談にされるほど何度も繰り返し、いつしか“そういう人”という認識になり、やがて誘う前から織り込み済みで考えられるようになった。言い訳は、やけに細部まで作り込んだものから、ほとんど信じてもらえないようなものまでさまざま。そうして問題は、キャンセルそのものではなくなった。行くつもりがないことを取り繕う態度が、友情に影響を及ぼしていたのだ。

そのうち、カフェで会おうという話が出た時点で、行けないときは正直に「ノー」と言うようになった。非社交的になったわけでもなく、むしろ「イエス」と言ったときは、きちんと信頼してもらえるようになった。相手も私も、無理をして来るわけではないとわかっていた。けれど最近また、直前になって迷うようになっていると気づいた。

予定をキャンセル──友人の意外な反応

先週、シャワーまで浴びておきながら、予定をキャンセルした。シャワーを浴びたということは、その夜は本気で行くつもりだったということだ。話をして、耳を傾け、笑い、ゆっくり近況を分かち合うだけのスタミナがあると思っていた。イヤリングまでつけた。私の中で、それは行くつもりでいるサインだ。けれどベッドに少し腰を下ろし、スマホを開いた瞬間、とてもはっきりとした「ノー」が胸にストンと落ちてきた。いま家を出たら、その場にいる全員に、なかでも自分自身にいちばん腹を立てることになる——気が乗らないまま出かけたときの、あの感覚だ。

「本当にごめん」と打ちかけて、消した。次に、今週がどれだけ忙しかったかを書き始めた。本当は行きたかったこと、友情に対する気持ちとは無関係だということも。でも、それも消した。最終的に送ったのは、もっと短くて正直な一文だった。「人生にちょっと疲れてて。また別日にできる?」返信はほとんど即座に返ってきた。「全然大丈夫。また今度にしよう。私も気分が乗らなかったんだ」。「都合がつかなくなった」という言葉が、恨みではなく互いの安堵として受け止められる友情も、悪くない。

数年前なら、これだけで関係がこじれてもおかしくなかった。予定をキャンセルすることには道徳的な重みがあり、それは関係を維持するだけの誠実さが足りないと受け取られていた。約束したのだから、顔を出す。たとえ内心では早く帰りたいと思いながら、時計を気にしていたとしても。精神的に疲れているというのは、まだ理由として認められていなかった。誰もそれを信じなかったのだ。

無理をしなくてもOK。新しいかたちでつなぐ友情

私たちにはもう“全部やる余力”がなくなってきている。予定は片づくよりも早く増えていき、夜の外出には、“元気な自分”が求められるが、そのためのエネルギーは午後3時には使い切っている。これは現代特有の疲れだ。スマホやパソコン、途切れることのないニュースにさらされ続けることで頭が休まらない。知り合いの誰もがそんな“空っぽ”の状態であれば、予定をキャンセルするのは友情の破綻ではなく、人生に必要な調整をしているだけに思えてくる。良い友情は、必ずしもそばにいることを意味しない。パンデミック下でのロックダウンという大きな混乱のなかで、私たちはそれを思い知らされた。選択ではなく、必要に迫られて画面越しにつながったのだ。

逆説的だが、私たちを消耗させる“常にオンラインの状態”は、友情をつなぎとめてもいるのだ。何気なく送り合うミームや長いボイスメモが、予定を入れて顔を合わせるというひと手間なしに、関係をつないでくれている。この変化は、友情のさまざまなかたちに気づかせてくれた。すべての関係に、同じだけ手をかける必要があるわけではない。どれだけ疲れていても駆けつける相手もいれば、ランニングクラブやピックルボールのために集まる“目的型”のグループもある。何カ月もミームを送り合い、数カ月に1度ランチをするくらいの気軽な友情もある。そしてそんな関係にも、確かな美しさがある。

いまの私は、予定をキャンセルするときのアプローチを調整できるくらいには大人になった。そのままフェードアウトするわけではないと、ひとこと添える必要のある人もいれば、埋め合わせの予定を入れるだけで喜んでくれる人もいる。たいていは分かり合えている。ただ、そこに至るまでのかたちが少しずつ違うのだ。

予定をキャンセルしたときの安堵は、かつては後ろめたい秘密だった。大げさな謝罪の裏に隠していたものだ。良い友情とは、エネルギーを温存する必要があるときも、それを認められるだけの強さがあるものだ。そして実際に会うときには、その時間を本当に価値あるものにできる。

Text: Sara Hussain Adaptation: Kie Uchino

From VOGUE.IN

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