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「独身で子なしの私には関係ない」と思っていた卒業シーズン。部下からの【意外な贈り物】に思わず涙

  • 2026.3.11

春はどこへ行っても「卒業」や「入学」の話題であふれます。街もどこかそわそわとした空気に包まれる季節。けれど、その輪の外にいるように感じる人も、きっと少なくないはずです。今回は筆者の知人の体験談をお届けします。

画像: 「独身で子なしの私には関係ない」と思っていた卒業シーズン。部下からの【意外な贈り物】に思わず涙

小さな疎外感

私が働く部署は、お子さんがいる社員が多く、3月から4月にかけては卒業や入学の話題でもちきりです。

「卒園式で泣いちゃった」「入学準備が大変で……」といった会話が飛び交う中、40代・独身の私は、いつも少しだけ疎外感を抱いていました。

私には祝うべき家族もいなければ、卒業させる子どももいません。
自分の選択に後悔はないはずなのに、この季節だけは、選ばなかった人生をそっと見せつけられる気がして、少しだけ居心地が悪く、どこか苦手でした。

部下からのサプライズ

そんな年度末の最終日のこと。
部下の山下さん(仮名)が、私のデスクにやってきました。
彼女は寿退社で、結婚相手の転勤のため来月には海外への引越しが決まっています。

「先輩、これ。本当にお世話になりました」

手渡されたのは、かわいらしい花束と1通の手紙。

慌ただしく過ぎ去る日々に追われていた私にとって、山下さんからの感謝の印は全くの予想外で、どこか気恥ずかしくもありました。

育てた覚えはなくても

「仕事に妥協せず、後輩を支えてくれる先輩の背中に、いつも憧れていました。社会人の私を育ててくれたのは先輩です」

結びにそう書かれた手紙を読み終えたとき、気づけば視界が滲んでいました。

私は子どもを産んでもいないし育ててもいない。
けれど、日々の仕事を通して、誰かの挑戦を支え、迷いに寄り添い、大切な何かを繋いできた。

その事実に気づいた瞬間、胸が熱くなりました。

子育てではなくても、次世代へ繋ぐということ

自分では必死だっただけの時間が、ちゃんと誰かの血肉になり、その人の未来を支える力になっていると知った瞬間、心の奥にあった小さな疎外感が、すっと溶けていきました。

家庭という形だけが、次世代を育てる場所ではないのかもしれない。
職場もまた、人が育ち、巣立っていく場所のひとつ。

形は違えど、この春、私もひとつの「卒業」を支えることができたのだと思っています。
卒業シーズンは、誰かを送り出すだけでなく、自分自身がこれまでしてきたことの価値に気づく季節でもあるのかもしれませんね。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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