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電話が鳴り響いても無視する先輩たち→新人が一人でクレーム対応を背負わされる「郵便局の闇」?【作者に聞く】

  • 2026.2.14
電話でのトラブル対応。他のスタッフは誰も電話に出てくれない…。 送達ねこ(@jinjanosandou)
電話でのトラブル対応。他のスタッフは誰も電話に出てくれない…。 送達ねこ(@jinjanosandou)

郵便局のコールセンターに配属された新人・山田さんが実際に体験した出来事を描いた作品が、「コールの稀人(マレビト)」である。作者は現役の郵便局員である送達ねこさん(@jinjanosandou)。本作は、職場の理不尽さと人知を超えた存在が交錯する物語として、読者の強い共感と恐怖を呼んだ。

「潰れないと思ったから郵便局を選んだ」新人の希望

コールの稀人_P01 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P01 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P02 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P02 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)
コールの稀人_P03 送達ねこ(@jinjanosandou)

山田さんは、それまで勤めていた会社が突然倒産するという経験をしていた。「だから!潰れない郵便局を選んだ!」という思いで入局し、今度こそ長く働きたいと願っていた。初出勤の日、コールセンターには一見やさしそうな先輩たちが並び、「助かるわ。このごろ入るそばから人が辞めちゃって」という言葉に不安を覚えつつも、ひとまず胸をなで下ろす。

しかし、業務が始まると違和感が積み重なっていく。なぜか電話が鳴っても先輩たちは出ず、対応するのは山田さんばかり。「なんでみんな、スリーコール以内に出ないの?」と疑問を抱きながらも、クレームやトラブルに追われ続け、ついには大きな出来事をきっかけに心身ともに限界へと追い込まれてしまう。

極限状態の中「山田さん。大丈夫、出るよ」背後からの声の主は?

体調を崩し、電話恐怖症寸前となった山田さんは、退職を決意しかけていた。その矢先、不思議な出来事が起こる。「山田さん。大丈夫、出るよ」。背後からかけられたその声に振り返ったとき、そこにいた人物は一体誰だったのか。現実とも幻ともつかない存在が、極限状態の新人を救う形で現れる。

本作には「どの業界にも電話取ってくれない問題あるある」「これは霊より人が怖い」「電話対応の仕事をしていたので共感した」といった声が寄せられ、怪談でありながら現実の職場問題を突きつける作品として受け止められている。

「ミスではありません」作者が語る職場の理不尽

送達ねこさんは、作中で描かれたクレームや孤立感について「はい。クレームやトラブル、職場内の孤立感など、実際にあるものです」と断言する。山田さんが落ち込んだ出来事についても、「漫画内で山田さんはミスをしたと凹んでますが、これはミスとはいえません。感謝されて終わった可能性もあるんです」と語る。

一方で、「特例を望むお客さんには癖のある人がいるのも事実」であり、その結果として「『ミスした』と落ち込む結果につながってしまいます」と、現場の厳しさを明かす。

対応の難しさについても、「対応にはいくつかの方法があり、電話で慎重に聞き取りつつ局内事情をすり合わせていくのですが、新人さんにはそこは難しいところです」と説明する。山田さんの行動は「お客様を助けたいと思った→でも先輩は忙しそうで聞けない→配達の人に頼んでみよう」という善意の連続であり、「本来なら感謝されてよいものです」と強調する。それでも社内の制約によって悪手となり、「自己否定につながってしまう」。郵便局に入った新人は、ときにこうした理不尽な壁に直面するのだという。

「稀人」「サードマン」が示す救い

タイトルにある「稀人」については、作品公開後にフォロワーから教えられたという。「この作品をSNSにアップしたあとにフォロワーさんが教えてくれたんですが、『サードマン』という存在もあるようです」。極限状態に置かれた人が、救いの導き手として「第三の人」を感知する現象で、登山や9・11の生還者の証言にも見られるのだとか。

送達ねこさんは、「多大なストレスや生存危機に直面した人が、必死に普段は接せない存在を呼び起こし危機を脱しようとする。潜在的な適応能力なのか守護天使か…?」と語り、「タイトルを『コールのサードマン』にしたらカッコよかったかも!」と振り返る。

「郵便屋が集めた奇談」は、送達ねこさんのもとに寄せられた配達員たちの不思議な体験を漫画化したシリーズである。日本のどこかで静かに起きている“怪異”と、そこで働く人の現実が交差する物語を、ぜひのぞいてみてほしい。

取材協力:送達ねこ(@jinjanosandou)

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