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【寺島しのぶさん】12年ぶりに共演する藤山直美さんと何代にもわたって続く深い縁とは?

  • 2026.2.4

【寺島しのぶさん】12年ぶりに共演する藤山直美さんと何代にもわたって続く深い縁とは?

さまざまな作品で着実にキャリアを重ね、新たな挑戦を続けては私たちを楽しませてくれる俳優・寺島しのぶさん。この2月には、新橋演舞場で上演される舞台『お光とお紺〜伊勢音頭 恋の絵双紙〜』に出演します。共演する藤山直美さんとともに、舞台にかける思いについて聞きました。

「人を惹きつける『華』がある」

デビュー以来、次々と話題作に出演、難しい役柄に挑みながら着実にキャリアを重ねてきた寺島しのぶさん。今や押しも押されもせぬ演技派俳優だが、この2月に、12年ぶりに藤山直美さんと舞台で共演するというから、また楽しみだ。演目は『お光とお紺〜伊勢音頭 恋の絵双紙〜』、新橋演舞場で1カ月にわたる公演となる。稽古に先立って行われた会見のやり取りでは笑いが絶えず、二人のコミュニケーションのよさが早くも伝わってきた。

「実は私たち、誕生日が一緒なんですよ。だから毎年その日だけは、どんなに忙しくてもコンタクトを取るような仲でございまして、こうやって一緒にお芝居させていただけることもすごく嬉しく思っております」と藤山さんが言えば、寺島さんも、「直美さんとまたご一緒させていただけるなんて夢のようです。もう、はっきり言って内容とかはどうでもよくて(笑)、直美さんと一緒にお芝居ができるんだったら何でもやります!というぐらい直美さんのことを尊敬しています」と相思相愛、息もピッタリだ。

87年、98年に『油屋おこん』というタイトルで上演され好評を博してきたが、今回はこれを「喜劇」として脚色。

村一番の美しさを誇り、村を救うために進んで古市に売られて遊女となるお光(寺島しのぶ)と、庄屋の娘で、明るくたくましく、そして、その愛嬌で人気遊女となるお紺(藤山直美)という二人の幼なじみの女の友情を描く物語として生まれ変わった。この二人の実力派俳優によって繰り広げられる喜劇と聞いたら、もうその展開が楽しみで仕方ない。

ちなみに、二人の共演はこれが5度目。97年の『浅草慕情~なつかしのパラダイス~』(新橋演舞場)など3回の舞台に加えて、14年にはドラマ『最強のオンナ』(MBS)で共演。今回はそれ以来、12年ぶりの共演となるそうだ。

「私が直美さんをすごいなって思うところは、お芝居そのものもそうなんですけど、人を笑わせた後の『孤独』なんですよね。人を笑わせることにすごく長けていらっしゃる方なんだけど、そうやって笑わせた後にスッと冷たい目になる。それを見るのが私は大好きなんです。そして以前ご一緒したときもそうでしたけど、中村勘三郎さん、柄本明さんとともに、台本があってもないような感じで、人間で見せる芝居をされる。当時若かった(中村)獅童君や私は、その方たちの掛け合いを宝物のように見ていたんです」

そう語る寺島さんを、藤山さんはこんなふうに評している。

「やっぱり役者には『華』がないとあかんわけですよね。パッと出てきたときにワッとみんなが惹きつけられる『華』がね。それがこの人にはあるんですよ。それに本当に悪の分子がない。善の分子しかないので、仕掛けてやろうとか、だましてやろうとか、こうやっておいたら得かななんていう気が全然ないんです。ちょっとくらい持てばいいのにと思うぐらいない。でもそういうところが、私、すごく好きなんですね」

何代にもわたって続いてきた縁

14歳の開きがあるという二人だが、こんなふうに俳優同士としても、ひとりの人間としても、互いの演技力だけでなく、人柄をも尊敬し合える関係であるのは、うらやましい限りだ。やはり「同じ誕生日」という引力が働いているのだろうかと思っていたら、実はそれ以上に深い縁があることが藤山さんから披露された。

その昔、藤山さんの父である喜劇王・藤山寛美(かんび)さんが、莫大な借金を抱えて、所属していた松竹の契約を切られてしまったことがあった。当時、映画界には「五社協定」があり、一社が使わなくなったら他の四社のどこも使うなという一律のルールがあったため、藤山さんの母は子どもたちを連れて里に帰るようなことにまでなっていたのだが、そのときに「食べていけへんかったら、えらいことになるやろ」と言って救いの手を差し伸べてくれたのが、名プロデューサーであった寺島しのぶさんの祖父、つまり富司純子さんの父である俊藤浩滋(しゅんどうこうじ)さんだったのだ。

結果、寛美さんは東映作品に出演するようになり、直美さんも子役として出演するようになった。65年の映画『色ごと師春団治』では、妻役を藤純子(現・富司純子)さんが、その子ども役を直美さんが務めたという。しかも、富司さんが卒業した京都女子高等学校の、直美さんが後輩に当たるという。いかに縁が深いかがわかるエピソードだ。

「だから、本当にこちらのお家は恩人なんです。一代同士どころではない、上のほうも絡み合うているので、何か私はしのぶさんに恩返しせなあかん。正直何もできませんけども、一緒に頑張ることによって何かいいものができればいいなという感じです」

そういう藤山さんの言葉を、隣の寺島さんも深くうなずきながら聞いている。

「私も母からずっとそのことは聞いていて、寛美さんの芸も大好きですし、すごく昔から長い時間を経てつながっているんだなぁと思いながら、いつもお芝居させていただいています。今回、12年ぶりにその直美さんとやらせていただくことで、なにかまた新しい、以前の共演のときに見せていただいたように、台詞以外のことが楽しくなっていけば、もっとこの話も膨らんでいくのかなと思ったりもします。一旦は恋敵になる役柄なんですけど、嫌いでそうなったわけではなくて、互いにリスペクトしながら変わっていく様がよく描かれているので、皆さんにも楽しんでいただけたら嬉しいですね」

プロフィール
寺島しのぶさん 俳優

てらじま・しのぶ⚫1972年京都府生まれ、東京都出身。
父は七代目尾上菊五郎さん、母は俳優の富司純子さん。
92年に文学座に入団。早くから頭角を現し、96年に退団後も舞台、映画、テレビドラマで演技派として活躍。
2003年に映画『赤目四中八瀧(あかめしじゅうやたき)心中未遂』『ヴァイブレータ』で、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、ブルーリボン主演女優賞をはじめ、日本国内外で10以上の賞を受賞。
10年に映画『キャタピラー』でベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)受賞。
22年『文七元結物語』、25年『芝浜革財布』で歌舞伎座の舞台に立ち話題を呼ぶ。
私生活では07年にフランス人アートディレクターのローラン・グナシアさんと結婚、12年に長男・尾上眞秀(まほろ)くんを出産。

【Information】『お光とお紺〜伊勢音頭 恋の絵双紙〜』

紀州熊野の寺谷村は年貢のため、娘たちが遊女に売られていく貧しい村である。とびきりの美人である16歳のウメ(寺島しのぶ)を人買いが古市へ連れて行こうとすると、ウメとは姉妹のように育った庄屋の娘・トシ(藤山直美)が「ウメが行くなら私も行くで」と言って聞かない。根負けした人買いは、二人を連れて行くことに。伊勢の古市の油屋へ売られたウメは遊女・お光となり、売れっ妓となる。下働きとして働き始めたトシだが、お光の旦那になるはずだったお大尽がトシを目に留め、遊女・お紺となる。しかし、ともに遊女となった二人の間には溝ができ始めてしまう。やがて二人の前に討幕運動に身を投じる青年・福岡貢(葛山信吾)が現れ、お光は貢のためお紺にある頼みごとをする。それぞれの思惑を乗せた伊勢音頭が流れる中、大立ち廻りが始まるが……。

作/小幡欣治 脚色・演出/浅香哲哉
出演/藤山直美、葛山信吾、大津嶺子、澤村宗之助、瀬川菊之丞、いま寛大、田山涼成、寺島しのぶ

【日程】2026年2月5日(木)~24日(火)新橋演舞場
【料金】1等席 13,500円/2等席 8,500円/3階A席 5,000円/3階B席 3,500円
桟敷席/14,500円

チケットホン松竹☎︎0570-000-489、もしくは03-6745-0888(10:00〜17:00)
チケットWeb松竹(24時間受付)https:www1.ticket-web-shochiku.com/t/

撮影/佐山裕子(主婦の友社)

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