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【ビールの提供】を一時ストップする事態に!?元国際線CAが見た、ドイツのお客様の“驚きの飲みっぷり”に「まさにビアガーデン」

  • 2026.2.25
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元国際線CAの、かくまるめぐみです。

突然ですが、みなさまはフライト中、ビールをどれくらい召し上がりますか? 空の上で楽しむ冷えた一杯は格別ですよね。

実は、今でも忘れられない”ビールの国”ドイツからのお客様をお迎えした際のフライトがあります。

なんと機内がまるで「空飛ぶビアガーデン」状態になり、ビールが売り切れ寸前に……。

そんなとき、CAが笑顔の裏でどのような苦悩を抱え、どのような「プロの策」を講じているのか、機内サービスの舞台裏を少しだけ、こっそりご紹介します。

高度1万メートルの「空飛ぶビアガーデン」

それは、日本からドイツへ向かう機内での出来事でした。お迎えしたのは、日本旅行を2週間楽しまれたというドイツ人の団体のお客様。

搭乗時から大変ご機嫌で、私たちが機内サービスを開始すると、あちこちから「Beer!Beer!」と元気な声が上がっていました。

ドイツはビールの消費量が世界でも常にトップクラス。そしてこのお客様方の飲みっぷりも、私たちCAの想像を遥かに超えるものでした。

お一人で何本もおかわりをされるのはもちろん、ビール缶を片手に通路で仲間と談笑されたり、機体後方のスペースに集まって乾杯されたり……。

その光景は、まさに高度1万メートルに突如現れた「ビアガーデン」のようでした。

CAの苦悩〜「楽しさ」と「安全」の天秤〜

お客様が空の旅を楽しまれている姿は、CAにとっても何よりうれしいものです。

とはいえ、CAには「お客様を安全に目的地までお届けする」という保安要員としての重大な使命があり、お客様の「楽しさ」と「安全」を天秤にかけなければならないときもあります。

今回のケースでいえば、次のようなリスクが潜んでいたのです。

  1. 体調不良: 酸素量が少ない機内という特殊な環境下では、地上よりもアルコールの回りが約3倍早くなるといわれており、体調を崩される方が少なくありません
  2. 機内トラブル: 酔いが回ることで気が大きくなり、周囲への迷惑行為に繋がる可能性があります
  3. 怪我のリスク: 座席を離れシートベルトを着用していないため、突然の揺れで大怪我をするリスクがあります

CAには「お客様の楽しみを奪いたくない」という気持ちはもちろんあります。しかし、どれほどお酒に強い方でも、特殊な環境下でいつ体調を崩されるかは予測できませんし、全乗客の安全と快適性を守らなくてはなりません。

そこで、私たちはチーフパーサーへ報告し協議した結果、苦肉の策として団体様へのビールの提供を一時的にストップすることになりました。

同時に、席を離れて談笑されているお客様には、安全面を丁寧に説明し、自席でのシートベルト着用をお願いして回りました。また、通路に立っての飲酒は安全面の問題だけでなく、他のお客様の快適性を損ねかねないため注意が必要なのです。

幸いにも、この時のお客様方はとても紳士的でした。ビールの在庫がないことをお伝えしても着席をお願いしても、笑顔で「OK!」と快く応じてくださり、機内の平穏は守られました。

お客様が深酔いされるとトラブルに繋がるリスクが高まるため、適切なタイミングでアルコール提供をコントロールするのもCAの腕の見せどころなのかもしれません。

「不公平感を与えない」——おもてなしで大切なこと

CAは保安要員としての役目とともに、すべてのお客様に対して「平等」であることが大前提です。

もし、後から別のお客様がビールを希望された際に「団体のお客様が飲み干してしまったので、もうありません」とお伝えしたらどうなるでしょうか。「特定の乗客だけを優遇した」と、不公平感や不満を抱かせてしまうのは当然のことです。

こうした事態を避けるためにも、ドイツ人の団体様には「ビールの在庫がない」とお伝えしつつ、実は各カートの奥に「秘密の数缶」をそっと忍ばせておきました。

これは決して意地悪ではなく、フライトの最後まで「全てのお客様に平等にサービスを提供する」ために必要な、戦略的な配慮ともいえるでしょう。

お申し出をお断りするのは心苦しい決断ですが、すべてのお客様に満足してお過ごしいただくために、機内サービスの裏側ではこうした苦渋の決断を迫られることもあるのです。

機内マナーに国籍は関係なし!

CAとして世界中を飛び回る中で、さまざまな国籍のお客様との出会いがあり、異なる文化や国民性の違いに驚かされることは珍しくありませんでした。

ただ、私が確信しているのは「機内マナーに国籍のラベルは関係ない」ということです。「日本人だから」「インバウンドのお客様だから」といった区別は関係ありません。

どのような国籍の方であっても、周囲への配慮に長けたお客様もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。

今回のドイツ人のお客様との出会いが素敵な思い出として残っているのは、私たちがお願いした保安上のルールに、リスペクトをもって協力してくださったからではないでしょうか。

国籍に関係なく、お互いへのちょっとした譲り合いとリスペクトを持って、安全で笑顔あふれる空の旅にしたいものですね。

そんな願いを込めて、今日はこの辺で。


ライター:かくまるめぐみ
大学卒業後、日系航空会社に客室乗務員として入社。国際線をメインに乗務し、世界中を飛び回る。結婚を機に退職し、イタリアへ移住。現在も家族とともにイタリアに在住し、Webライターとして活動。客室乗務員の経験から培った「細やかな心配り」を大切に、コラム記事からSEO記事まで幅広く執筆中。


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