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教員「もっと削って」修学旅行の夕食で量を減らすと→300人の生徒から“不満の声”…その後、起こった“大騒動”に「複雑な思い」

  • 2026.2.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。ライターの月虹です。

皆さんは学生時代の修学旅行に、どんな思い出がありますか?私が働いていた離島のリゾートホテルには、年間約30校もの修学旅行生が訪れました。そこでは、生徒たちの眩しい思い出の裏側で、ホテルスタッフと学校側による「静かな戦い」が繰り広げられていたのです。

今回は、ある高校の修学旅行で起きた「胃袋のミスマッチ」が招いた騒動のお話です。

下見で感じた「違和感」…大人の基準で決まる献立

修学旅行の数ヶ月前、学校の先生数名と添乗員が「下見」に来島します。

料理の内容や動線を、細かく決めるためです。

試食の際、先生方から私たちの想定とは異なるご要望があり、耳を疑いました。

「うちの生徒には、これはいらない」「多すぎる。もっと削ってください」

私たちは、年間30校近い受け入れ実績から、高校生の旺盛な食欲を熟知しています。しかし先生方は、「自分たちが食べきれないから、生徒もこれで十分だ」と、結果的にメニューは大幅に削られることになったのです。

「本当に、この量で高校生のお腹は満たされるのか?」 予約担当や厨房責任者の胸には、拭いきれない不安が残りました。

中断した夕食 爆発した300人の不満

そして修学旅行当日。

臨時船でやってきた300人超の高校生たちは、オーシャンビューの客室に大興奮。

しかし、その熱気は夕食の時間に一変しました。

大広間に並べられたのは、先生たちの指示通りにボリュームを抑えた料理。育ち盛りの高校生たちにとって、それはあまりに寂しい内容でした。会場には不満の声が渦巻き、空気は一気に険悪になります。

事態はそれだけでは収まりません。夕食後、あまりの空腹に耐えかねた生徒たちが、先生の目を盗んで「島内で食糧を調達できる場所」を探しに外へ出ようとし始めたのです。

島には24時間営業のコンビニなどありません。パニックを察知した添乗員から、フロントへ悲鳴のような依頼が飛び込みました。

「至急、生徒全員分の夜食を用意してくれ!」

厨房は戦場に。おにぎり600個の「意地」

ホテル側は学校側の指示に従っただけです。

しかし、「生徒を空腹のまま寝かせるわけにはいかない」という一心で、手の空いているスタッフ全員が厨房に集結しました。

300人以上の生徒に対し、一人2個。 炊き立ての熱いご飯と格闘しながら、おにぎり600個を握り続ける戦場のような1時間半。

ようやく配り終えたとき、おにぎりを頬張る生徒たちの顔を見て、スタッフ一同、安堵とともに複雑な思いを抱きました。

サービス業が守るべき「進言する勇気」

今回の原因は、生徒の食欲と、大人である先生の感覚の乖離にありました。しかし、プロとして最大の反省点は「下見の際にもっと強く先生方に進言すべきだった」ということです。

「学校側の要望だから」と飲み込むのではなく、現場のプロとして「この量では絶対に足りません」と提案する責任。この一件以降、私たちのホテルでは、どれほど先生に減量を提案されても、「足りないよりは、残る方がいい」というスタンスを貫くようになりました。

食品ロスにつながる懸念もありますが、まずはお客様の満足を担保すること。それが、あの「戦場」を経て私たちが辿り着いた、リゾートホテルのサービスとしての答えです。


ライター:月虹

1970年代生まれ。生まれも育ちも関東でしたが都会のしがらみに囚われず生きたいと思い誰も知り合いのいない地方の小さな島へ移住。島へ移住したと同時に島内のリゾートホテルで働くことに……。リゾートホテルではフロント、お土産屋、予約、レストランでの配膳、結婚式やディナーショーのクローク、経理と多岐にわたる業務を担当。


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