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情緒の日本とシビアな韓国…『恋の通訳、できますか?』日韓レビュー比較

  • 2026.1.29

Netflixで配信中のロマンチック・ラブコメディ『恋の通訳、できますか?』。久々の超大作として日韓双方で熱い視線を浴びる一方で、その受け止め方に鮮明なコントラストが見られるのが興味深い。

両国の視聴者は、このドラマのどこに心を動かされ、どこに違和感を抱いたのか。その差異を整理しながら、本作の見どころを探ってみたい。

ラブコメ職人と最旬ヒロインが織りなす、珠玉のケミストリー

物語は、日本の鎌倉での出会いをきっかけに、無名女優だったチャ・ムヒ(演者コ・ユンジョン)と、通訳者チュ・ホジン(演者キム・ソンホ)の関係が静かに動き出す。その後、一躍、世界的なスターへとのぼり詰めた彼女と、通訳として再会するホジンーー。

主演のキム・ソンホはインタビューで「(コ・ユンジョンを)見ているだけで、本当にときめいた。10歳の年齢差を感じさせない」と語り、コ・ユンジョンも「言わなくても通じる感覚があった」と振り返り、二人の相性の良さは一目瞭然だ。

(写真=Netflix)

脚本は『美男〈イケメン〉ですね』(2009年)や『ホテルデルーナ』(2019年)などのヒットで知られるホン姉妹(ホン・ジョンウン、ホン・ミラン)。独特な作風ゆえに、本国でも好みが分かれるコンビだが、本作でもその“らしさ”は健在だ。

日本、韓国、イタリア、カナダの4カ国を舞台にした映像美は、まさにNetflixの本気と潤沢な資金を体感できる壮大なスケールで、「一気見した」という声が多いのも納得できる。福士蒼汰(トップスター・黒澤ヒロ役)の「痛いけど憎めない2番手の男」キャラも新鮮で、Netflix Koreaの作品に、日本人俳優が重要な役で参加した点も注目に値する。筆者もまた本作を、久しぶりに倍速ではなく通常速度で慈しみながら完走した。

「癒やされる」「美しい」情緒で受け取る日本の視聴者

日本の視聴者は、本作をストーリーの整合性よりも「極上の視覚体験」や「癒やし」 といった感性で享受しているようだ。

SNSには「どのシーンを切り取っても絵になる」「主演の二人と絶景だけで眼福」といった声があふれ、4カ国のロケ地は「贅沢な現実逃避スポット」として支持されている。中には「Netflixで、手っ取り早く現実逃避できた」という声もあった。

(写真=Netflix)

さらに「言葉の深み」に心を寄せる情緒的な解釈も多い。「ラブロマンスかと思ったらもっと深かった。本音を読み解こうともがく二人の物語が美しい」といった声や、「通訳は、相手を守るための『保護フィルター』なのだと感じた」という感想には、思わず膝を打った。ホジンとムヒのぎこちない恋に、ヒロが絶妙に割り込む関係性も、物語のアクセントとして好意的に受け入れられている。

(写真=Netflix)

一方でレビューサイトでは、スローテンポゆえに「期待したほどではなかった」と評価が分かれるが、それを補って余りあるのが、二人の神がかったビジュアルと圧倒的な旅情だ。物語の緩やかさを豊かな余白へと昇華させている。

「納得感」「整合性」構造の穴を突く韓国の視聴者

「ストーリーの整合性はアンドロメダ行き(=支離滅裂)だけれど、ビジュアルという力技でねじ伏せている」――韓国のレビューサイトには、こうした手厳しい声が並ぶ。情緒を楽しむ日本に対し、韓国の視聴者は「なぜ恋に落ちたのか」という論理的な積み上げや、物語の必然性をシビアに問う。

(写真=Netflix)

特に批判が集中しているのは、脚本の完成度だ。「過去作のパターン踏襲」「散漫な設定」への指摘は鋭く、「『還魂』の余韻から抜け切れていない」と既視感を指摘する声も上がっている。また、通訳という職業の描き方についても、「感情寄りでプロとしてのツメが甘いのに、『仕事ができる人』として扱われている」と、リアリティの欠如を指摘する声も目立つ。 

けれどもその不満をねじ伏せているのが、主演二人の力量だ。「キム・ソンホの“エクボ”がいい仕事をしすぎている」「二人が魅力的すぎて最後まで完走できた」という俳優への全幅の信頼が作品を支えている。

それでも日韓が一致した「美しさ」への賛辞

「何がどう解決したのか、わからないままでは困る」という韓国視聴者の視点は、「わかり合えない感じも含めて、曖昧さも美徳」とする日本の視聴者とは対照的だけれど、評価の尺度は違えど、主演二人のビジュアルと、圧倒的な映像美への賛辞においては完全に一致している。

(写真=Netflix)

世界4カ国のロケ地を背景にした、この「眼球浄化」の説得力は、文化の壁をも超越する。コスパやタイパばかりが語られる時代に、わざわざ他人の心を翻訳しようともがく二人の姿は、どこか不器用で、だからこそ愛おしい。そしてそれをじっくり味わうことは、最高に贅沢な時間とも言えるだろう。

(文=田名部 知子/Xで気ままなソウルの日常を発信中:@t7joshi)

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