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「老後資金を減らす結果に」お金のプロが警告。『退職金』の使い道で失敗する…やりがちな「二つの落とし穴」とは?

  • 2026.2.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

長年の勤労を終え、まとまった退職金を手にしたとき、「このお金をどう運用すればいいんだろう?」と悩む方は少なくありません。しかし、その大切な老後資金を、誤った知識や判断で減らしてしまうケースも残念ながら少なくないのが現状です。

「なぜ、定年直後の退職金運用で失敗してしまう人が多いのか?」「金融機関が勧める商品には、どのような注意点があるのか?」「そして、私たちは何から始めるべきなのか?」

今回は、金融機関勤務の現役マネージャーで、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持つ中川佳人さんに、退職金運用に潜むワナと、老後資金を守るための賢い運用術について、専門家の視点から詳しく解説していただきました。

定年直後の退職金運用、なぜ失敗してしまう人が多いのか?

---長年勤め上げたご褒美ともいえる退職金。いざ運用を始めようとすると、失敗してしまうケースが多いと聞きます。その背景には、どのような原因があるのでしょうか?

中川 佳人さん:

「定年直後の退職金運用で失敗してしまう方が多い背景として、最も大きいのは『十分な知識がないまま投資を始めてしまうこと』と、『銀行などからの営業をそのまま受け入れてしまうこと』の二つです。退職金という大きなお金を前にすると、冷静な判断が難しくなる点も影響しています。

まず、投資に関する知識不足が挙げられます。現役時代は仕事や家庭が中心で、投資について学ぶ機会がなかった方も少なくありません。その状態で『投資をしないともったいない』といった言葉を聞くと、リスクや仕組みを十分に理解しないまま商品を選んでしまうことがあります。大切な退職金を投資に回すのであれば、投資の基礎知識に加え、検討している商品の特徴やリスクを理解しておくことが欠かせません。

もう一つ注意したいのが、退職のタイミングを狙った金融機関からの積極的な営業です。退職金が入る時期は営業が集中しやすく、投資信託や保険商品を勧められるケースも珍しくありません。営業を受ける機会が増えることをあらかじめ認識し、提案された商品をそのまま契約するのではなく、本当に自分にとって必要なものかを考える姿勢が重要です。

退職金は、長年働いた結果として受け取る大切なお金です。投資について十分に学んだうえで、自分が内容を理解できる商品を選び、慎重に運用するようにしましょう。」

銀行や証券会社が勧める商品に潜む「二つの落とし穴」

---退職金が入る時期は、金融機関からの営業も増えるとのことですが、特に注意すべき商品の特徴や、陥りやすい落とし穴があれば教えてください。

中川 佳人さん:

「退職金の運用で銀行や証券会社が定年退職者に勧めてくる商品には、『手数料やリスクの高い商品が紛れていること』と、『商品内容が複雑で理解しにくいこと』という二つの落とし穴があります。一見すると魅力的に感じられる商品でも、仕組みを十分に理解しないまま契約してしまうと、老後資金を減らす結果になりかねません。

まず注意したいのが、手数料の高さです。仕組債や毎月分配型投資信託、外貨建て保険などは、購入時や保有中にかかるコストが比較的高い傾向があります。これらの手数料は運用成績に関係なく差し引かれるため、長く保有するほど負担が積み重なります。退職金のようにまとまった金額を投じると、手数料として支払う金額が想像以上に大きくなることもあります。

また、リスクが高い商品が含まれている点も見逃せません。『高い利回りが期待できる』という説明を受ける一方で、相場や為替の変動によって大きく元本割れする可能性があることを、十分に理解していないケースも少なくありません。

さらに、商品内容が複雑で理解しにくい点も問題です。老後生活を支える大切な退職金を、自分でも仕組みを説明できない商品に投資することは避けるべきでしょう。

商品を選ぶ際には、手数料が過度に高くないか、リスクが自分の許容範囲を超えていないかを確認し、できるだけシンプルで理解できるものを選ぶ意識が大切です。」

退職金を守るために、まず最初に取り組むべきことは何か?

---では、私たちは大切な退職金を守り、賢く運用するために、具体的に何から始めればよいのでしょうか?

中川 佳人さん:

「定年を迎えた方が退職金を守るために、まず最初に取り組むべきことは、ライフプランを作ることです。収入と支出、今後必要になるお金を整理したうえで、投資が本当に必要かどうかを判断する姿勢が、老後資金を守る土台になります。

退職後は収入が限られる一方で、支出の見通しが立てにくくなります。年金収入の見込み額や毎月の生活費に加え、医療費や住宅の修繕費など将来発生しやすい支出を把握しないまま投資を始めると、本来は投資に回すべきではない資金まで運用してしまう恐れがあります。

具体的には、まず毎月の収支を確認し、今後10年、20年で使う予定のお金を書き出します。あわせて、預貯金や退職金など現在の総資産も整理してみましょう。その結果、投資をしなくても生活できると分かれば、無理にリスクを取る必要はありません。

一方で、将来的に生活費の不足が見込まれる場合でも、その不足分を投資で補おうと考えるのは危険です。投資には価格変動のリスクがあり、かえって資産を減らす可能性があります。生活費が不足する場合は、仕事を続けて収入を確保することが基本になります。

投資を検討してもよいのは、当面使う予定のない余剰資金がある場合です。預貯金だけではインフレに対応しにくいため、その対策として一部を投資に回す考え方は有効でしょう。退職後の投資は、焦らずライフプランを作成し、余剰資金の範囲で行うことが大切です。」

退職金運用で後悔しないために、今日からできること

大切な退職金を前にして、焦りや不安から誤った運用をしてしまうことは、誰にでも起こりうることです。しかし、専門家の中川さんのお話から、失敗を避けるための明確な道筋が見えてきました。

まずは、自分自身の老後生活に必要な資金を把握するための「ライフプラン作成」から始めましょう。そして、投資の必要性や許容できるリスクを冷静に判断し、十分に知識をつけた上で、シンプルで理解しやすい商品を選ぶこと。金融機関の営業に流されず、本当に自分にとって必要なものかを見極める姿勢も重要です。

これらのステップを踏むことで、あなたの大切な退職金は守られ、安心して豊かなセカンドライフを送るための土台となるでしょう。今日から一歩ずつ、賢い老後資金計画を始めてみませんか。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)(@YoshitoFinance)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。


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