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朝ドラで好演の“若手俳優”に集まる注目「愛あるキャスティング」「このまま終わるわけない」CM出演でデビューした“実力派”

  • 2026.2.16

朝ドラ『ばけばけ』で、吉沢亮演じる錦織友一の弟・丈を演じる杉田雷麟。その名を初めて知った視聴者もいるかもしれない。しかし、彼はすでに映画界での受賞歴もあり、大河ドラマ『豊臣兄弟!』にも出演している実力派だ。若さゆえの脆さを併存させる芝居は、物語に確かな緊張と深みを与えている。SNS上でも「愛あるキャスティング」「このまま終わるわけない」と期待される俳優・杉田雷麟の現在地を明らかにしたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

静かな誠実さの奥にあるもの

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『ばけばけ』第19週(C)NHK

朝ドラ『ばけばけ』で杉田が演じる丈は、兄の友一に似て落ち着いた物腰だが、言うべきことは相手に淡々と伝え、意思表示もしっかりとする、真面目で誠実な青年である。しかし杉田の演技は、そこに単純な“若さだけ”の勢いだけを置かない。

第91回、兄と二人きりで進路について語り合う場面。丈は、ゆくゆくは兄貴と同じ帝大に、と今後の展望を口にする。兄の存在を誇りに思う、純粋な目。すでに視聴者の多くが、実は帝大卒ではない友一の経歴を知っている。そのため、“もしかしたら弟はその事実を知らない?”とざわついてしまうシーンだ。

この場面で杉田は、過剰に感情を揺らさない。あくまで素直に、兄への憧れをまっすぐに差し出す。だからこそ、その純度が残酷なほどに眩しく映る。もし真実を知ったとき、この青年はどうなるのか。

いや、彼はすでに知っていて、あえて言葉を投げかけているのかもしれない。年少者だからこそ、弟だからこその距離の測り方が、丈という人間の人となりを表している。

14歳のデビューから映画界へ、着実に信頼を積み重ねた歩み

杉田は14歳で芸能事務所のオーディションを受け、その後CM出演にてデビュー。映画界を中心に着実に評価を積み重ねてきた。

映画『半世界』では第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞、第34回高崎映画祭最優秀新進俳優賞を受賞。『罪の声』『孤狼の血 LEVEL2』など重厚な作品にも出演し、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』『豊臣兄弟!』にも名を連ねている。若手と呼ばれる世代でありながら、すでに“現場で信頼されている俳優”だ。

『ばけばけ』の丈というキャラクターから察せられるに、杉田の芝居には常に一瞬の“溜め”がある。何かを口にする直前の吸気。セリフよりも先に目が語る、その熱さの奥に、若者特有の不安や孤独が滲む。その脆さがあるからこそ、ただの元気な青年で終わらない。

兄の友一を演じる吉沢亮との共通点も鮮やかだ。理知的で抑制の効いた兄弟。どこかチャーミングさがある兄と、彼の居住まいを淡々と観察し、己の出方を模索しているような弟。その呼吸が自然に成立しているのは、杉田が“相手の芝居を聞ける俳優”だからかもしれない。

丈は、ヘブンの教え子という立場でもある。異文化のなかで揺れる松江の若者像を背負う存在でもあるのだ。時代の変化に翻弄されながらも、自分の道を模索する。その姿には、現代の若者にも通じる普遍性がある。

杉田はその“等身大”を、誇張し過ぎず提示する。肩肘を張らず、しかし確実に感情を届ける。だからこそ、視聴者は彼を応援したくなるのだ。

物語の温度を握る若き背中

受賞歴やフィルモグラフィーは、確かに実力の証明になる。しかしそれ以上に、朝ドラという日常に溶け込みながらも確かな存在感を残すこと。それこそが本当の実力だとも思う。

丈という役は、今後さらに大きな波を起こす可能性を秘めている。ヘブン(トミー・バストウ)が赴任する熊本の高等中学校へ転校を決めた彼は、兄が置かれた状況を胸に、理想を追い続けるのか。杉田の芝居が物語の温度を左右する。

若手実力派。その言葉は、便利に使われがちだ。しかし杉田に関しては、それが形容ではなく事実であることを、『ばけばけ』は静かに証明している。そしてきっと本作をきっかけに、彼の名はさらに広く届くはずだ。


連続テレビ小説『ばけばけ』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_