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【60代の趣味活】朗読はじめてみませんか?物語を「読む」だけでなく「声にする」ことで目覚める表現力―松浦このみさんインタビュー〈前編〉

  • 2026.1.8

朗読は「声に出して読む」ことで、文学作品の世界が深く広くなり、いままで知らなかったような自分の声と出合うきっかけにもなると『朗読のレッスン』の著者、松浦このみさんは言います。 元アナウンサーである松浦さん自身が、どのようにして朗読に興味を抱き、惹かれていったのか。その軌跡を辿りながら、物語を読み解き、さらに自分の声で表現する魅力をご案内します。

聴く人のイマジネーションを広げる読み方を目指す

松浦さんに話を伺いながら、まず気づいたのは、その心地よいアルトボイスでした。ただ、ご本人は子どものころから声が低いと言われ、コンプレックスだったそうです。 「大学時代に所属したアナウンス研究会で録音した自分の声を聞いたときには、あらためてショックでしたね。でも、そこから『声』を意識し始めて、『この人の声、好きだな』といった、自分なりの声に対する尺度が芽生えました。アナウンス研究会の活動では発声訓練や、滑舌練習文・ニュース原稿を読んだりしたのですが、朗読もそのレッスンのなかで出合いました」 特に朗読に関心を持ったきっかけは女性の先輩が参加した、ある歴史上の女性をテーマとした音楽会でした。演奏が始まる前に、先輩がその女性の人生について語り、場内をその物語の世界に自然に誘ったのです。 「客席を包み込むような語りの力に心が震えました。そして、自分もこんなことができるようになりたいと思い、年に1回の発表会では朗読班に所属。朗読の教室にも通い始めたんです」 松浦さんが朗読するときに大切にしているのは、聴く人にとってイメージを描きやすいような声を届けること。 「聴いているときに気にさわる〝なにか〟があると、それが邪魔をして、聴く人のイマジネーションを遮ってしまうんです。『上手いけどわざとらしいな』とか『いい声だけど退屈』とか。だから、気持ちよく聴いていただくためには工夫が必要です。たとえば私自身はアナウンサー出身なので、どうしたら俳優さんのような真実味のある台詞が言えるのか、ということがいまも課題。だから、演劇畑の方にレッスンを受けています」 学生時代からいままでレッスンを絶えず学び続けているという松浦さん。練習をすればするだけ、人は変化に富んだ豊かな声が出せるようになると実感しているそうです。 「高い声も低い声も出せるようになります。それも、作っているわけでなく、あくまでも自分の声で。たとえば表情を笑顔にすると頰が上がり上あごに声が当たりやすくなって、声が明瞭に高いトーンで響きます。また、口を縦長にするとちょっと深みが出るんですよ。誰でも自分のいいと思える声に響きを変えていけると、私は信じています」

取材対象は男女・有名無名を問いません。 まだ皆が知らないことを紹介したいんです

朗読教室はさまざまな場所で開かれています。松浦さんが主宰しているような専門の教室やカルチャースクール、俳優やアナウンサーの方の個人の教室もあるそうです。 「最初は、自分が素敵だなって思う朗読をされる人のところで学ぶのがいいですね。そしてレッスンを続けるうちに自分がなにをやりたいかが見えてくる。たとえば、目が見えない方のための朗読をボランティアとして目指す方もいます。この朗読技術はうちの教室では指導していませんが「音訳ボランティア」といって、聴く方がページをめくるようにスピード感を持って聴くことができるように、専門の養成講座が開かれています」 松浦さんの教室にはどんな方が通われているのでしょうか。 「皆さん、朗読が人生の彩りになっているように見受けられますね。そして、表現そのものに興味がある方が私の教室には多いように思います。表現力って、自分が気づかないだけで、その人の中に眠っていると私は思っているんです。使っていないから普段は出てこないけれど、チャンスがあればきっと目を覚まします。小説を読むなら、まず何度も読んで全体像を理解し、文章の魅力を味わう。そのうえでいろいろな人の立場に立って読むことで楽しさが深まっていく。もちろん読書もそうですが、朗読は声に出して表現することで、さらに人の生き方や考え方のもう一歩奥に触れられるように思います。発表会を年1回開いていますが、そのために100回以上は同じ作品を読みます。まるで作品と対話しているような気持ちになりますね」 朗読に向いている物語は、理想的には15分ぐらいの短編小説やエッセイなど。15~20ページぐらいの作品だそうです。そして、長く続けるコツは無理のないペースだという松浦さんの教室では月に、グループレッスンなら2回、個人は1回のクラスが開かれています。 「長く続けてくださる方のなかには、いろんな動機の方もいらして、自分の言葉で話すのは照れくさいけど、読むものがあると話しやすいという方。それから、吃音や人前で話すことが難しい障害のある方もいます。朗読がそうしたことのお役に立つことができるのなら、いろんな方の意見を聞きながら、私自身もこれから勉強してみたいなと思っているところです」

朗読に大切なのは作品にこめられたメッセージを読み取る作品との対話です

『聞き手も読み手も楽しめる 朗読のレッスン』 松浦このみ 彩流社 ¥2,200 自分自身の体験から、朗読に関する実践や思いを長年書きためていたという松浦さん。松浦さんがときどき稽古を見てもらう劇作家の方が、その原稿の存在を知って出版社を紹介。この本の刊行が決まったそうです。朗読の楽しさをより深めていくためには、なにを学べばいいのかという実際のアドバイスとともに、松浦さんの「朗読とはなにか」という考察がわかりやすく綴られた1 冊。表紙に記された「言葉の後ろにあるものと対話する」というもうひとつのサブタイトルの意味も丁寧に解き明かされています。

お話を聞いた方

松浦このみさん

静岡FM放送アナウンサーを経てフリー。TokyoFM、JFN、ラジオ日本などで、数多くの番組パーソナリティを務める。ナレーターとして、テレビ番組、テレビCM、ラジオCM 出演多数。学生時代より朗読を山内雅人氏、鎌田弥恵氏に師事。NHK-FMでは「音楽物語」シリーズの朗読を手がける。声優・ナレーター養成所シャイン講師を経て2009 年一般向けの朗読教室を開講。20 代から70 代、プロ・アマ問わず個性を生かす朗読を大切に取り組んでいる。2024 年、初の著書『聞き手も読み手も楽しめる 朗読のレッスン』(彩流社)を刊行、好評を得る。

イラスト/山﨑美帆 構成・文/杉村道子 ※素敵なあの人2026年1月号「自分の声が物語の案内役   物語をより深く楽しむ朗読の世界」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売を終了している場合があります。
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この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

「年を重ねて似合うもの 60代からの大人の装い」をテーマに、ファッション情報のほか、美容、健康、旅行、グルメなど60代女性に役立つ情報をお届けします!

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