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「ママ、パパと離婚しちゃえば?」 娘のひと言が家族を終わらせる――夫の浮気をきっかけに、母と娘が歩む再生の物語【書評】

  • 2026.3.5

【漫画】本編を読む

「パパ、好きな人いるよ。ママじゃない人」という娘の驚くべきひと言から、主人公・香澄の生活は一変する。『パパ、浮気してるよ? 娘と二人でクズ夫を捨てます』(芸子/KADOKAWA)は、浮気による家族の崩壊と、母娘の再出発を描いたコミックエッセイだ。

学生時代からずっと憧れの存在だった洋介と結婚した香澄。娘・ゆみが生まれ、洋介の実家のクリーニング屋を手伝い、近所でも評判のキツい姑にも耐えながらも幸せに暮らしていた香澄だが、ひとつだけ悩みがあった。それは、洋介の友人である雅也と絵美の夫婦との付き合い。雅也が単身赴任で東京に行ってからは、洋介の態度や行動を変えていく。洋介と絵美の距離が近くなっていく様子に、香澄は不安と疑念を募らせるが、やがて決定的な浮気の事実を、よりによって我が子から突きつけられる。

本作の魅力は、ただ夫の浮気を断罪するだけの物語に収まらないところにある。香澄の視点を通して見えてくるのは、浮気と向き合う過程で芽生える「女性としての自分自身の怒りや悲しみ」、そして娘と向き合う「母としての責任感」だ。さらに、物語後半では洋介の側にも人間的な葛藤が見え、家族になるということと、その絆を断つことの重み、人間関係の修復や再生の可能性について考えさせられる展開が続く。クズ夫の心の機微に触れる作品は珍しいかもしれない。

そして、やはり気になるのは母娘関係だ。ただのサレ妻の復讐物語と異なるのは、タイトルにもあるように、ひとり娘が夫の浮気を見抜いてしまうことである。ゆみは、子どもゆえに香澄とは別の苦悩と傷を抱えながらも、母を支えようと必死に振る舞う。この母娘の強い絆が物語全体の骨格を支えているのだ。夫婦関係の結末だけでなく、健気なふたりの行く末にも注目して読み進めてほしい。

文=ヒルダ・フランクリン

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