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「今、普通に割り込んだよね…?」バス停で当たり前のように順番を抜かす女性。だが、他の乗客の正論をうけ態度が一変

  • 2026.3.10

朝の行列

朝の空気はまだ少し冷たく、駅へと向かう人々の足音だけが規則正しく響いている。

通勤ラッシュという戦場に身を投じる前、私にとって唯一の贅沢は、バスの車中でお気に入りの一冊を開く時間だった。

「よし、今日は確実にいける」

私はいつもより20分早くバス停に立った。

並んでいるのは私の前に二人だけ。3番目という絶好のポジションだ。

これなら、希望通りの窓際の席に座れるだろう。

スマートフォンの画面をなぞりながら、静かにその時を待つ。

私の後ろには、一人、また一人と列が伸びていく。

誰もが口を閉じ、朝の静寂を守りながら整然と並ぶ。

そんな当たり前の景色が、その一瞬で無残に切り裂かれた。

バスの大きな車体が遠くの角を曲がってきた、その時だ。

一人の年配の人物が、私の横を風のようにすり抜けた。

迷いのない足取り、当然だと言わんばかりの横顔。その人は、あろうことか列の先頭へと滑り込んだのだ。

(えっ……嘘でしょ?今、普通に割り込んだよね…?)

誰かが言ってくれるのを待つ時間はなかった。私は心臓の鼓動を抑え、震える声を絞り出しました。

「あの……すみません。皆さん、後ろに並んでいらっしゃるのですが」

振り返ったその人の瞳には、反省の色など微塵もなかった。

「ふん、最近の若い人は本当に冷たいね。年長者を敬うっていう気持ちはないのかい?たかが一人くらい、いいじゃないの」

「いえ、敬う気持ちの問題ではなくて……。ここにいる皆さんも、早くから並んで待っているんです」

食い下がる私に、その人はさらに声を荒らげた。

「細かいこと言わないでよ!これだから今の若者は余裕がないっていうのよ。少しは譲る心を持ちなさいよ」

理不尽な言葉が、刃のように突き刺さる。

こちらが非常識であるかのように仕立て上げられる悔しさに、視界がじんわりと滲みそうになった。

状況を変えたのは

その時だった。

「あら、それは少しお門違いですわよ」

凛とした、鈴を転がすような声が響いた。

私のすぐ後ろに並んでいた、白髪を上品に整えた女性だった。割り込んだ人物は、自分と同年代、あるいは少し年上に見えるその女性の登場に、明らかにたじろいだ。

「な、何がですか」

「ルールを守って並んでいるお嬢さんに、そんな失礼な物言いをするなんて。同じ年配者として、見ていて恥ずかしくなりました。そんなに座りたいのでしたら、私が席を譲って差し上げてもよろしくてよ?ただし、まずは列の最後に並び直すのが筋というものでしょう」

その毅然とした言葉に、周囲からも「そうだ、みんな並んでるんだ」「いい年して恥ずかしい」と、小さな同意のさざ波が広がり始める。

「……もういいわよ! 別のバスに乗るから!」

顔を真っ赤に染めた割り込み者は、吐き捨てるように言い捨てると、逃げるように人混みの向こうへと消えていった。

入れ替わるように、大きな音を立ててバスが停留所に滑り込んでくる。

先ほどの女性が、私の方を向いて優しく目を細めた。

「災難でしたわね。さあ、行きましょうか」

「ありがとうございます……! 本当に、助かりました」

開いた扉から乗り込み、私は無事、一番後ろの窓際の席に深く腰を下ろした。

20分間、寒さに耐えて待った時間。

そして、理不尽に屈せずルールを守ろうとした自分。

それらがすべて報われたような気がして、窓の外を流れる見慣れた景色が、いつもよりずっと鮮やかに輝いて見えた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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