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駅で「男性トイレ、奥の個室から応答がありません」との連絡→急いで駆けつけると…その後、駅員たちが“目にした光景”とは

  • 2026.1.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

私は某鉄道会社で駅員として勤務しています。

改札での案内やホームでの安全確認、切符や定期券の発売、お忘れ物対応など、業務は多岐にわたります。ですが、日々多くのお客さまが利用される駅では、想定外の出来事が突然起こります。

中でも対応に苦慮するのが、お酒を召されたお客さまへの対応です。鉄道会社においては自社他社問わずお酒を召されたお客さまとのトラブルが後を絶えず、深刻な問題にもなっています。

終電後の巡回で入った、不穏な無線連絡…

ある金曜日の終電後、構内巡回中の無線から連絡が届きました。

「改札内の男性トイレ、一番奥の個室から応答がありません」

急ぎ現場に向かうと、個室のドアは施錠され、中からは何の返答もありません。しかし、ドアの下からは確かにお客さまの足が見えています。ドアを叩き、複数人で声を張り上げますが、反応は皆無。静まり返った駅構内で、時間だけが過ぎていきます。

もし、単なる寝込みではなく、脳卒中や心疾患で意識を失っていたら?もし、このまま誰もいない駅に取り残され、線路へ転落してしまったら?「お酒を飲んで寝ているだけだろう」という予断は、時に取り返しのつかない事故につながります。

「お客さま!大丈夫ですか?駅が閉まる時間です!聞こえてますか!」とドアを叩きながら、何度も声をかけ続けました。

「これ以上、待つことはできない」外から様子を確認できない以上、最悪のケース(人命の危機)を想定して動くのが鉄道員の使命です。

「応答がないため、安否確認で鍵を開けます! 失礼します!」 私たちは声をかけ合い、マスターキーで解錠しました。

見ず知らずの方の、しかもトイレのドアを強制的に開ける行為には、何度経験しても強い抵抗感があります。お客さまのプライバシーを侵すことになるのではないか、という葛藤に手に汗を握ります。

それでも、私たちは「ためらい」よりも「安全」を選ばなければなりません。それが、お客さまの命を守る唯一の手段だからです。

幸い、そのお客さまは泥酔して熟睡されているだけでした。

その後、複数名の係員で介助し、自力で歩行できる状態まで回復されたことを確認した上で、駅外へご案内しました。決して楽な対応ではありませんが、トラブルなく終えることが何より重要だと感じています。

中堅社員となった今、後輩にはこう伝えています。

  • 躊躇せず複数人で対応する
  • 感情的にならず、最悪の事態(病気など)を常に想定する

一つひとつは当たり前のことですが、その「当たり前」の徹底が、お客さまの命と、私たち自身の安全を守ることにつながります。多くの人が行き交う駅の裏側では、今日も駅員たちが「もしも」の事態と向き合っています。 皆様に安全に駅をご利用いただくため、私たちも日々、覚悟を持って業務にあたっています。

現場で求められる「覚悟」と「連携」

日々、多くのドラマが生まれる駅の現場。そこでは、教科書通りにはいかない「想定外」への対応力が試され続けています。 今回のエピソードのように、時には冷や汗をかくような場面もありますが、私たちの最優先事項はいつだって「お客様の命と安全」です。 平和な駅を保つためには、駅員の努力だけでなく、ご利用いただく皆様のご協力も欠かせません。どうか、お酒は「記憶と足元がしっかりしている範囲」で。今週末も、皆様が安全に駅を利用できることを願っています!


ライター:どこかの駅員
新卒から鉄道会社に勤務し、現在もどこかの駅で働いています。改札対応やホームでの安全確認、お忘れ物対応など、日々多くのお客さまと接する中で、クレーム対応やお酒を召されたお客さまへの対応など、現場ならではの出来事や気づきを数多く経験してきました。
業務を通して培った「相手の立場を想像する視点」や「瞬時に物事を判断する力」を活かし、普段駅を利用しているだけではわからない、現場の裏側や判断の背景を、臨場感のある文章で伝えられるように心がけています。
実体験に基づいたリアルさと、読みやすさのバランスを大切にしながら、共感や納得につながる記事をお届けします!


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