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ファーストレディスタイルに見る、ラマ・ドワジの政治観と理念

  • 2026.1.5
Rama Duwaji, Zohran Mamdani Sworn In As New York City's New Mayor

ブローチからボールガウンまで、ファーストレディの服装は夫(あるいは彼女自身)の政治的スタンスや大切にしている価値観を物語ることがある。ミシェル・オバマはこのテーマについて一冊の本を執筆しており、着用ブランドをヨーロッパからアメリカのものへとかえたメラニア・トランプファッションは、トランプ政権の動向をなぞっているかのようだ。そして今注目を集めているニューヨーク市長ゾーラン・マムダニの妻ラマ・ドワジも、独自のテイストのファーストレディスタイルを突き詰めている。

1月1日の午前0時過ぎ(現地時間)、地下鉄の旧駅舎で行われた小規模な宣誓式と、その日の午後に行われた就任式とブロックパーティーでドワジが披露したルックは、どちらもヴィンテージや独立系のデザイナーによるピースを取り入れており、彼女自身の美学と価値観に基づいたものだ。そして着用したほとんどのアイテムが、ファーストレディとしては珍しいレンタル品だった。

US版『VOGUE』の元グローバル・コントリビューティング・エディターであり、現在ドワジのスタイリストを務めているガブリエラ・カレファ=ジョンソン曰く、ドワジは決してスタイリストを必要としてはいない。だが、ファッションを通して、自分自身を表現するための手助けをしてくれる人を求めており、その要員でカレファ=ジョンソンが起用された。そこでカレファ=ジョンソンはほかのセレブクライアントを担当するときと同じように、メゾンのアーカイブからピースをレンタルし、必要なアイテムを借り、独立系のデザイナーから商品を買い付け、ドワジのルックを作り上げていった。

深夜に行われた宣誓式用に、カレファ=ジョンソンはヴィンテージのバレンシアガBALENCIAGA)のファネルネックウールコート、彫刻のようなフォルムが目を引くヴィンテージのゴールドイヤリング、ワイドレッグのショートパンツ「シェリー」レースアップブーツをそれぞれAlbright Fashion LibraryNew York VintageThe Frankie Shop、そしてロンドンを拠点とするブランドのミースタ(MIISTA)からドワジのためにレンタル。就任式用にはルネサンス・ルネサンス(RENAISSANCE RENAISSANCE)によるフェイクファーのトリミングが施されたチョコレートブラウンのコートを調達した。

ブラウンのレースアップブーツとシルバーのフープピアスとスタイリングされたルネサンス・ルネサンスのコートは、2023-24年秋冬コレクションで発表されたピースをリメイクしたカスタムの1着で、ブランドの創業デザイナーであるパレスチナ系レバノン人のシンシア・マーヘッジが手がけたもの。親パレスチナであるドワジ個人の思想と政治観を表すアイテム選びだ。

服から見て取れる、ラマ・ドワジというひとりの女性のあり方

Zohran Mamdani is sworn in as New York City's 112th mayor by New York Attorney General Letitia James, left, alongside his wife Rama Duwaji,
Rama Duwaji, Zohran Mamdani Sworn In As New York City's 112th Mayor

ルックに取り入れられたデザイナーの顔ぶれもそうだが、身につけていたアイテムがすべてレンタルや借りものだということを明確にしている点も、ドワジという人物像を物語っている。

「ラマが1980年代ごろのヴィンテージイヤリングを選んだのは、非常に意味のあることでした」とNew York Vintageの創設者であるシャノン・ホーイは言う。「アイテムを購入するのではなく、レンタルすることで、彼女はアーカイブピースに新たな命を与えただけでなく、サステナビリティ、サーキュラーファッション、小規模ビジネスや独立系のブランドをサポートすることの重要性を静かに訴えていたのです」

また、ミースタの創設者であるローラ・ヴィラセニンはこう語る。「ミースタはクラフト、クリエイティビティコラボレーションを基盤としている、女性によって設立された独立系のブランドで、昔からずっと周りと違うことをすることを大切にしてきました。私たちは日々、さまざま製品デザインのプロセスを試し、サプライチェーンの最適化とヨーロッパにおけるクラフトの保存と向上に取り組んでいます。私たちの目標は、ファッション業界の常識を覆し、変化を生み出すブランドになることです。ミースタが描く女性像は、ラマのように、身につけるものの背後にあるストーリーを大切にし、意図をもってアイテムを選び、独立したものづくりを支援する人なのです」

Democrat Zohran Mamdani becomes the first Muslim mayor of New York City

宣誓式と就任式で着用するルックを構想する上でドワジとカレファ=ジョンソンが重視したのは、ありのままのドワジを表すコーデにすることだった。ドワジは古着や個人が経営する小さなショップで買い物をすることを好む。遊び心のあるシルエットやテクスチャーが好きで、自身もキャリアを確立しており、自分自身のアイデンティティと価値観をしっかりと持っている。初めから服をレンタルしたり借りたりしていることを明言することで、嘘偽りのない、誠実なイメージを強化しているのだ。

また、レンタルしたアイテムを着用していることをあえて明かすのには戦略的な理由がある。2020年、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員が『Vanity Fair』誌の表紙を飾った際に、熱り立ったタブロイド紙は彼女が着用した服の値段をすべて調べ、記事にまとめ上げた。もちろん、オカシオ=コルテス議員はそれらの服を自腹で購入したわけではない。服はブランドが撮影のために貸し出し、彼女はスタイリストが組んだルックに身を包んでいただけで、それはこのような大きな撮影では普通のことだ。また、『Vanity Fair』誌のファッション・ディレクターであるニコール・シャポトーは当時、オカシオ=コルテス議員が纏ったルックはあえてBIPOC、女性、LGBTQ+のデザイナーを称えたもになっていると指摘した。しかし、そういった事実は、タブロイド紙の攻撃的な声にかき消されてしまった。ハイブランドを身につけることを即座に批判する人たちに先手を打つために、ドワジのルックはレンタルであると明言されているのだ。

販売価格630ドルと高価なブーツを履いたことを批判する人など、ドワジが着用したルックを叩いている人はもちろんいる。だが、それは予想通りのことだ。現役のアーティストであり、シックな28歳の女性であるドワジは、おそらく最初から型にハマらない、斬新なファーストレディスタイルを追求するつもりだったのだろう。

Text: Anna Cafolla Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.COM

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