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「55店舗が0に」店を無理やり撤退させた…それでも8年解体できない商業施設「サンモール高砂」

  • 2026.1.13
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

神戸製鋼所に三菱重工業、AGC(旭硝子)など、世界的な技術を持つ企業が集積する工業都市として有名な兵庫県高砂市。

日本の経済を支える巨大な工場群が立ち並ぶ一方で、山陽電鉄高砂駅前には、閉館から約8年を経た今もなお、一部当時の姿のまま残されている商業施設があります。

2017年に全館閉館した「サンモール高砂」です。

そこには「車社会化」という時代の変化と、中心市街地ゆえの「複雑な課題」が絡み合っていました。

都市開発の歴史を独自の視点で発信するYouTuberだいまつさんに、その背景と、そこから見える未来の可能性についてお話を伺いました。

消えた駅前スーパーと、買い物環境の変化

工場が集積する工業都市でありながら、駅南地区を中心に住宅地も広がる高砂駅周辺。高度成長期までに海沿いが埋め立てられ、そこにさまざまな企業が進出してきたのだそう。駅から工場までの間には、工場勤務の方や家族の需要を見込んで商業が発展してきたと、だいまつさんは語ります。

駅から徒歩約5分の場所には、1976年に開業した商業施設「サンモール高砂」がありました。中核店舗の「西友」と55の専門店街などで構成され、開業当初は近隣の加古川市や姫路市などからも多くの人が訪れる賑わいを見せていたそうです。ですが、ほかの大型商業施設がいくつか開業したことなどが影響して、2015年末に西友が閉店。

そして、2017年に完全閉業。南館と東館は解体され、今は西館と別館、分譲集合住宅「高砂ハイツ」が残っています。また、約300台収納可能なサンモール高砂の駐車場も使用されていないという状態です。

サンモール高砂がなくなった今…

サンモール高砂について、だいまつさんに詳しくお伺いしました。

---サンモール高砂がなくなり、商店街でもシャッターが目立つ現在、地域住民の方々はどのような場所で買い物をされているのでしょうか。

だいまつさん「車を持っている方は、イオンなどの大型商業施設や郊外型スーパーを利用できるため、それほど不便に感じていないように見受けられます。一方で、車を持たない方々にとっては不便な状況です。一番近いスーパーでも2kmほど離れているため、ネットスーパーを利用したり、家族に頼ったり、電車やバスで移動する必要があります。日常生活の中で負担を感じている方も少なくないのではないでしょうか」

市の公開資料によると、高砂駅南地区では高齢化が進んでいます。また、住民アンケートでは「スーパーマーケットの誘致」を求める声が多く挙がっており、買い物環境に課題を感じている住民が多いことがうかがえます。

---1つの施設でさまざまなものが手に入る駅前モールではなく、国道沿いの店舗に人々が出向くようになった理由について、どのように推測されていますか。

だいまつさん「一番大きいのは『車社会化』だと思います。そもそも駅を利用する人が減り、ついで買いの需要が見込めなくなっています。駅前に車を停めるとなると駐車場代がかかる点も影響しているでしょう。また、駅前は古くから市の中心部だったため、権利関係が複雑になりやすく、開発のスピードが遅くなっていることも理由の一つではないかと考えています」

一般的に多くの地権者が関わることで、合意形成や意思決定に時間がかかるケースは少なくありません。駅前という立地の持つ特性が、開発の難しさに繋がることもあるようです。

かつて「オープンモール型」が選ばれた理由

サンモール高砂の大きな特徴は、中核となる大型スーパーの建物に、外廊下を中心とした開放的な「オープンモール型」の専門店街が併設されていた点です。この形式は、かつて全国各地で採用されていましたが、近年では減少傾向にあります。

---オープンモール型は、なぜ当時人気だったのでしょうか。

だいまつさん「一般的に、オープンモール型はイオンモールのようなクローズドモール型(屋内型)に比べて建設コストを抑えやすいとされています。壁や屋根が少なく、共用部分の空調などの光熱費も抑えられるため、デベロッパー(開発者)にとっては運営面での利点があります。外廊下のマンションと内廊下のマンションの価格差と似た考え方ですね。その分、景観や雰囲気づくりに投資できるため、おしゃれな空間を好む来訪者から支持を集めていました。当時は現在ほど高齢者の割合が高くなかったことも、背景として考えられるかもしれません」

---一方で、現在ではオープンモール型が敬遠される傾向にあるのはなぜでしょうか。

だいまつさん「オープンモール型は雨風の影響を受けやすく、老朽化が進みやすい構造です。長期的に見ると維持費がかさむケースも少なくありません。また、天候に左右されやすい点に加え、近年の気温上昇や異常気象もあり、利用者・運営側の双方にとって使いにくい施設になりつつあります」

停滞の8年が問いかける、これからの街の姿

サンモール高砂が閉館して、約8年。この場所を巡っては現在、大きな動きが始まっています。

高砂市が発表した「高砂南地区まちづくり計画(改訂版)」では、駅前の賑わいを取り戻すためのビジョンが掲げられ、多くの住民が切望する「スーパーマーケットの誘致」も重点課題として盛り込まれました。

日本屈指の工業都市として歩んできた、歴史ある街の玄関口。

この長い時間が、将来の街づくりを考える上でどのような意味を持つのか。その答えは、これからの取り組みの中で少しずつ見えてくるのかもしれません。



取材協力:だいまつさん
日本各地の都市開発や商業施設の情報を研究し、YouTubeで発信するバブル遺産マニア。独自の視点で街の変化や歴史を伝えている。
・YouTube:だいまつのどこでも探検隊(@daimatsudokodemo
・X:だいまつ(@Daimatsu__
・Instagram:だいまつ(daimatsu___
・TikTok:だいまつのどこでも探検隊(daimatsu_


参考:
高砂駅南地区まちづくり計画〈改訂版〉(高砂市)
(一般社団法人 日本ショッピングセンター協会)

※本記事は投稿者に許諾を得た上で記事の制作・公開を行っています


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