【おでかけスポット】年末年始も営業する、おしゃれ道の駅8

年末年始のドライブ途中や小旅行の目的地として注目したいのが、進化を続ける全国の道の駅。年末・元旦・年始も営業し、建築やインテリア、グルメまで楽しめる“おしゃれ道の駅”をピックアップ。年末の買い出しや新年のスタートに、立ち寄り旅をしてみては？

道の駅 平泉／岩手県

世界遺産の玄関口に佇む「道の駅 平泉」は、関・空間設計が手掛けた木造平屋建築。平泉の歴史的建築物の意匠を踏襲しつつ、現代の建築スタイルと調和させた「新和風」デザインを採用しているのがポイントだ。低層で水平的なフォルムの外観は周囲の田園風景にすっと馴染み、大きな屋根の下は、ゆったりとした居心地のよい空間が広がる。

不整形な敷地形状から生まれたのは、伸びやかに大地に浮遊する独創的な屋根の建築。平面形状が直角三角形の屋根のなかでも、30度のコーナー部分には鉄骨補強を組み合わせ、木材とのコントラストが美しい仕上がりに。三角形の大屋根は軒を大きく張り出すことで、伝統建築の重厚感とモダンな軽やかさを両立させている。

内外ともに、岩手県産の木材をふんだんに使用。屋根を支える方杖の柱が連続する空間は、林の中にいるような開放感をもたらし、平泉の歴史と風土を五感で体感できる。館内には、平泉ならではの特産品が並ぶ直売所や、地元食材を活かしたレストランを併設。観光案内所も備えられ、世界文化遺産に登録された中尊寺や毛越寺を巡る前の情報収集にも最適だ。

道の駅 平泉
岩手県西磐井郡平泉町平泉伽羅楽112-2

道の駅さんさん南三陸（宮城県）／隈研吾

特産品直売所、震災伝承施設、観光交流施設、JR志津川駅が一体化した「道の駅さんさん南三陸」。なかでも、隈研吾が設計し、2022年に開館した「南三陸311メモリアル」は、未来に漕ぎ出す船をイメージしたダイナミックな建物が魅力だ。外壁には、FSC認証を取得した地元産の南三陸杉をふんだんに採用し、持続可能な森林活用を意識しつつ、地域らしさを建築に落とし込んでいる。

館内では、震災の記憶を未来へとつなぐ展示を展開。南三陸の住民による証言映像や写真を基に、震災当時の状況を追体験できるほか、写真家の浅田政志が撮影した町民の笑顔の写真を見ることができる。さらに、フランスの現代アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーのインスタレーション作品も常設。命の尊さや記憶の重さを感じる空間となっている。

＜写真＞展示ギャラリーでは、震災にまつわるさまざまなエピソードを町民たちの証言とともに紹介。

地元の食材を生かしたグルメやお土産がそろう「南三陸さんさん商店街」。こちらも、隈研吾設計によるもので、地元産の南三陸杉を用いて、日本に古来より伝わる「在来木造」で建設した。各店舗には、大きく張り出した庇に覆われた「縁側」を設え、人と人が楽しく交流できる昔ながらの商店街を再現。震災復興祈念公園へとつながる「中橋」も隈氏が手掛けているので忘れずに立ち寄ろう。

道の駅さんさん南三陸
宮城県本吉郡南三陸町志津川字五日町200-1

道の駅 湘南ちがさき／神奈川県

令和7年7月7日にオープンした『道の駅 湘南ちがさき』は神奈川エリア待望の道の駅。アクセスは、逗子方面から134号線を走り、海沿いの景色を楽しみながら茅ヶ崎海岸IC手前で到着するルートがおすすめ。デザインのモチーフは湘南の波など「海」にまつわるもの。茅ヶ崎とホノルルが姉妹都市であることに由来し、施設内にはハワイを拠点に活動するアーティスト、クリスティ・シンのデザインを施したマンホールも設置されている。

ショップには、茅ヶ崎産の野菜やフルーツをはじめ、湘南ならではのスイーツやクラフトビールなど、こだわってセレクトされたアイテムがずらり。洗練されたパッケージが多く、思わず“ジャケ買い”したくなる品々に出合える。海水浴やドライブの帰りに、湘南らしい手土産を探しに立ち寄るのもおすすめ！

道の駅 湘南ちがさき
神奈川県茅ヶ崎市柳島1546-1

道の駅 グリーンファーム館山／千葉県

東京からアクセスが良く、年間を通して温暖な千葉県南房総。その最南端の館山にある道の駅が「グリーンファーム館山」。設計は、中村拓志率いるNAP建築設計事務所で、深緑色の美しい外観が目印。

ここの特長は、観光農園やBBQ施設を併設しているところ。館山の自然に触れながら、その食の魅力をそのまま体験できる、ぜひ夏にも訪れたい道の駅で。このエリアには、人気の『道の駅 とみうら』やご当地グルメが豊富な『道の駅 富楽里とみやま』なども車で20分ほどの距離。南房総の魅力が詰まったそれぞれの道の駅比べをするのも楽しいはず。

道の駅 グリーンファーム館山
千葉県館山市稲274番地

道の駅 保田小学校／千葉県

N.A.S.A.設計共同体（NASCA+設計組織ADH+architecture WORKSHOP+空間研究所）が設計した「道の駅 保田小学校」は、廃校をリノベーションした個性派の道の駅。校舎だった空間は既存の間取りを活かしつつ、職員室は「cafe金次郎」、教室は「中国料理3年B組」など、ユニークな名前をもつ多彩なジャンルの飲食店へと転用。120年以上続いた歴史ある小学校の面影を残しながらも、まちの活性化につながる新たな建築的工夫を加えている。

地元の食材を用いた給食メニューを楽しめるだけでなく、「小学校に泊まる」というノスタルジックな体験もここではできる。黒板やロッカー、机と椅子など、なつかしい教室の面影を残した2〜4名用の個室、5〜15名に対応する団体合宿用の大部屋のほか、大浴場「里の小湯」も完備。大浴場は、日帰り入浴も可能だ。

広さ800㎡の旧体育館を活用した「里山市場 きょなん楽市」も見どころのひとつ。老朽化が進んでいた体育館は、屋根と鉄骨を活かしながら耐震補強を施し、小学校時代の備品や校庭の樹木も家具として再利用。さらに、温室を思わせる半透明のポリカーボネートを外壁に採用し、周囲の農村風景に溶け込む工夫がなされている。リノベーションの大きな可能性を感じさせる建築デザインは一見の価値ありだ。

道の駅 保田小学校
千葉県安房郡鋸南町保田724

道の駅 常総／茨城県

茨城県土浦市を拠点とする株式会社須藤設計が設計を手掛けた「道の駅 常総」は、常総IC周辺に整備された「アグリサイエンスバレー常総」の中核施設。建物のデザインは、周囲の自然と調和するよう水平ラインを基調としながらも、2階に続く大階段がランドマークとしての役目を果たす。さらに、敷地の外周にはあえて柵やフェンスを設けず、隣接する施設との往来がしやすい設計に。

茨城県は、鹿児島県に次ぐさつまいもの一大産地。イベント広場では、大きな芋のオブジェがお出迎えしてくれる。「食のテーマパーク」をコンセプトに掲げた施設は2階建で、1階では地域の情報を提供する施設に加え、物販施設や飲食施設が充実。内部に進むと、開放的な空間が広がり、歩行者の動線が自由に確保されている点も魅力的だ。

2階は県や市の食材をメインに使用したレストランを展開。深い庇が設けられたデッキでは、田園風景の先にそびえる筑波山の美しい姿を楽しみながら食事を取ることができる。さらに、この道の駅には、サポーズデザインオフィスが設計管理と全体監修を担当したTSUTAYA BOOKSTOREを併設。家では体験できない心地よい空間をぜひ体感しよう。

道の駅 常総
茨城県常総市むすびまち1

道の駅 そらっと牧之原／静岡県

7月にオープンしたばかりの「道の駅 そらっと牧之原」。都内からは車で3時間ほど。建物は高橋茂弥建築設計事務所と高池葉子建築設計事務所の共同設計によるもので、ボールト状の6つの屋根が連なる姿はまるで小さな山並みのよう。周囲には起伏のあるランドスケープや噴水広場が広がり、地元の子どもたちが遊びに来るなど地元の人々にも愛されている。

「お茶のまち牧之原」の名の通り、ここで味わえるのは徹底したお茶づくし。メロンパンやクレープ、ラーメンや定食までもが緑色で、濃厚なお茶カルチャーを前面に押し出したフードを堪能できる。さらに静岡名産の『しらす』も見逃せませない。全体的にはコンパクトながらも、茶畑の美しい風景とユニークな食体験を楽しめる「道の駅 そらっと牧之原」。ドライブの合間に立ち寄れば、静岡ならではの豊かさをぎゅっと味わえるはず。

道の駅 そらっと牧之原
静岡県牧之原市坂部582-1

海の駅「なおしま」／香川県

瀬戸内海に浮かぶアートの島、直島。その玄関口である宮浦港に佇む海の駅「なおしま」は、妹島和世と西沢立衛からなる建築家ユニットSANAAの設計によって2006年に完成した。薄い鉄板の大屋根を複数の細いポールで支えた軽やかで開放感あふれる平屋建てで、外壁は外と中の境界を曖昧にするガラス張りに。耐震壁としての役目を果たしている鏡には、美しい島の風景が映し出されている。

敷地のほとんどを覆うほど大きな屋根は、フェリーの船上から眺めると、直島の風景と調和しながらも水平に広がるランドマークとして印象的だ。館内には、観光案内所やカフェのほか、直島土産が一堂にそろう「直島楽市」が入っており、特産品の天日塩「SOLASIO」を使ったスイーツほか、アートなデザインの直島オリジナルグッズを販売。周辺に設置された草間彌生の「赤かぼちゃ」、SANAAデザインの“ドロップチェア”も合わせてチェックしよう。

海の駅「なおしま」
香川県香川郡直島町2249-40