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義両親来訪で「トイレが本当に気まずい…」30代夫婦が後悔した“水回りの設計ミス”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.27
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「義実家の家族が泊まりに来た翌朝、洗面所が混みすぎて本当に気まずい思いをしました……」

そう苦笑いしながら話してくれたのは、30代のAさん夫婦です。

普段の家族4人(夫婦+子ども2人)の生活では、今の間取りに何の不満もなかったといいます。ところが、年末年始や長期休暇のように“人が増える日”になった途端、水回りの設計上の弱点が一気に表面化してしまったのです。

なぜ「洗面と脱衣」が一緒の間取りは、来客時の同時使用に弱いのか?

Aさん宅の間取りは、都市部の住宅で一般的な「洗面台と脱衣室(洗濯機置き場)が同じ空間にある」タイプでした。家族だけなら「誰かがお風呂に入っている間は洗面台を使わない」といった時間差の調整で何とかなります。

しかし、宿泊を伴う来客がある場合、起床や身支度のタイミングが重なりやすく、致命的な混雑が発生します。ここで発生するのが、物理的な混雑以上に厄介な「心理的な遠慮」です。

  • 脱誰かが歯磨きをしていると、着替えやタオルを取りに入りにくい。
  • 誰かが着替えているかもしれないと思うと、手洗いや鏡の使用をためらってしまう。

本来、自由に使っていいはずの場所なのに、お互いに気を遣いすぎて動きが止まってしまう。この「ぎくしゃくした空気」こそが、「こんなはずじゃなかった」という後悔に直結するのです。

収納不足が「渋滞」と「散らかり」をさらに悪化させる原因になる?

人が増えるということは、当然ながら「持ち込まれる物」も増えます。

  • 増える物の例: バスタオル、洗面道具のポーチ、ドライヤー、着替えの一時置きなど。

収納計画に余裕がないと、これらはカウンターの上や洗濯機の上に溢れ出し、本来の作業スペースを圧迫します。
すると、ただでさえ狭い空間で人の動きがさらに悪くなり、渋滞が悪化。
Aさんも「せっかくの新築なのに、来客時に一気に生活感が出てしまうのがつらかった」と振り返ります。

家族以外には聞こえてほしくない「音」のストレスをどう防ぐ?

家族の間では気にならない生活音も、義両親や親戚がいると急に「恥ずかしいもの」に変わることがあります。

特に以下の3つの配置には注意が必要です。

●トイレの音
・発生しやすい間取りのミス:客間やリビングにトイレが隣接している
・心理的なストレス:音が漏れていないか、入る側が極度に緊張する

●洗面の水音
・発生しやすい間取りのミス:寝室の真裏に水回りがある
・心理的なストレス:早朝や深夜、寝ている人を起こさないか気を遣う

●ドアの開閉音
・発生しやすい間取りのミス:廊下や階段に音が響きやすい配置
・心理的なストレス:深夜のトイレ移動などが家中に響いてしまう

特に夜間や早朝の静かな時間帯ほど、これらの音は「お互いのストレス」になりやすいポイントです。

宿泊客が来ても「気まずくならない」間取りの工夫とは?

「水回りは普段の生活だけでなく、人数が集まる日を想像して設計すべき」ということです。

これから家づくりをするなら、以下の対策を検討してみてください。

●洗面と脱衣の分離
廊下側に洗面台を独立させ、脱衣室(洗濯機+お風呂)と分けることで、誰かが着替え中でも気兼ねなく手洗いや歯磨きができます。

●サブ洗面の設置
メインの洗面所とは別に、トイレ横や2階に小さな手洗いを設けるだけで、朝の混雑は劇的に緩和されます。

●「増える日」を基準にした収納
来客用タオルや小物を置ける「予備の棚」を一段作っておくだけで、空間の美しさを保てます。

●音のバッファ(緩衝帯)を作る
トイレや洗面を客間の真裏に配置せず、収納や廊下を挟んで距離を置く。こうした初期の配慮が、長期的な安心感を生みます。

水回りの失敗は「特別な日」に露呈する

Aさんの家は、普段の生活では十分に快適でした。しかし、宿泊客という「イレギュラー」が入った瞬間に、設計の弱点が露呈してしまいました。

年末年始の慌ただしい朝を想像し、「洗面・脱衣・収納・音」の4項目をシミュレーションしてみること。それが、家族も来客も心地よく過ごせる、後悔のない家づくりの近道です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。