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「いらないと思っていた…」義両親の泊まりでリビング“封鎖”。30代夫婦が年始に陥った“落とし穴”【一級建築士は見た】

  • 2026.1.17
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「客間はいらないと思っていました。泊まりに来るのは年に数回のことだし、それよりも普段の家族の暮らしを優先したくて……。でも、いざ義理の両親が泊まった夜、家中の空気がなんだか気まずくなってしまいました」

そう申し訳なさそうに話してくれたのは、注文住宅を購入したAさん(30代・夫婦+お子さん2人)。

リビングを広くとり、個室は必要最小限に抑えた間取り。見た目もスッキリしていて、普段はとても満足していました。

ところが、初めての年末年始、義両親を招いたことで間取りのミスが露呈したといいます。

布団を出した瞬間、リビングが「封鎖」される

最大の誤算は、泊まる人数分の布団を出した後の「居場所」でした。

客間や予備室といったスペースを計画していなかったため、いざ布団を敷こうとすると、場所は自ずとリビングしかありませんでした。

すると、寝る準備を始めた時点で「リビング=寝室」へと早変わり。家族はリビングを通るのにも気を遣い、テレビの光や生活音が寝ている人に響かないよう、物音を立てずに過ごさなければなりません。 片付けても片付けても、義両親の荷物や着替えが床に溜まり、通路がどんどん細くなっていく……。

静かで快適なはずの新築が、一晩で「お互いに気を遣いすぎる、窮屈な空間」に変わってしまったのです。

見落としがちな原因は「荷物の逃げ場」と「コンセント」

Aさんの家が困ってしまった理由は、単に部屋が足りなかったからだけではありません。「布団・荷物・着替え」を置く“一時的な逃げ場”がなかったことが大きな要因です。

来客は布団だけでなく、キャリーケースや上着、手土産など、多くの持ち物を運び込みます。これらを一時的に置ける場所がないと、必然的にすべてが生活の中心であるリビングに集まってしまいます。

さらに意外と見落としがちなのが、コンセントの位置です。スマホの充電、冬場の加湿器や電気毛布など、泊まりの夜は電源が必要になります。

しかし、リビングの壁際から延長コードを引っ張ると、夜中の暗い床をコードが這うことになり、つまずきやすく、見た目も乱雑になりがちです。

一級建築士が勧める「可変性」のある設計

客間を丸ごと一間用意するのは、スペースの無駄に感じる方も多いでしょう。
しかし、専用の部屋を作らなくても、以下の3つのポイントを意識するだけで、来客時のストレスは劇的に減らすことができます。

1. 「可変性」のあるスペース作り
リビングの一角に3畳ほどの畳コーナーを設けたり、リビングの続き間をロールスクリーンや引き戸で仕切れるようにしておく。普段は開放して広く使い、泊まりの日だけ「寝室」として独立させることができます。

2. 布団が入る「奥行き」のある収納
クローゼットだけでなく、一箇所だけでも「布団が横に入る奥行き(約80〜90cm)」の収納があると、準備と片付けが驚くほどスムーズになります。

3. 「荷物置き場」を分離する
来客のコートや大きなカゴ、キャリーケースを玄関近くやリビング以外の場所に置けるスペースを作る。生活エリアに持ち込ませないだけで、リビングの“崩壊”を防げます。

泊まりの来客は年に数回だが、記憶に残る大切な時間

Aさんは「普段は最高の間取りなのに、泊まりの夜だけ家がうまく回らないのが本当に悔しいです」と話していました。

泊まりの来客は年に数回かもしれませんが、その数日間は、ホストにとってもゲストにとっても非常に記憶に残る大切な時間です。 部屋の数にこだわる必要はありませんが、「寝る場所をどう確保するか」「布団と荷物の逃げ場があるか」を事前にシミュレーションしておくこと。

その小さな備えが、家族もお客様も心からくつろげる、本当の意味で「居心地の良い家」を作るための分かれ道となるのです。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。