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ヴーヴ・クリコの精神を継ぐ、2025年のボールド・ウーマンたちを表彰。

  • 2025.12.17

ビジネスの最前線で活躍する女性たちが、挑戦の軌跡や専門性、さらに日々のリアルな思いを分かち合う――。革新的な女性リーダーに光を当てる「ヴーヴ・クリコ ボールド ウーマン アワード 2025」が11月27日、麻布台ヒルズで開かれた。

授賞式では、受賞者のスピーチに加え、審査委員や過去の受賞者、さらに多様なフィールドで活躍するビジネスパーソンによるパネルディスカッションも開催。式典を通じて、女性起業家が直面する壁や、それを越えていくための知恵や視点が率直に語られ、次世代へと手渡すべき「ボールドの精神」が鮮やかに浮かび上がった。

(写真左から)エディトリアルディレクターの木田隆子、MHDモエヘネシーディアジオ代表取締役社長のブルノ・イヴォン、ASTRA FOOD PLAN代表の加納千裕、ジャパンタイムズ代表取締役会長兼社長の末松弥奈子、ビジョンケア代表の髙橋政代、LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社社長のノルベール・ルレ、メディヴァ代表の大石佳能子。

18世紀フランスで、27歳にして未亡人となりながらメゾンを継ぎ、シャンパーニュの世界に数々の革新をもたらしたマダム・クリコ。その精神を称えるため、1972年に創設されたビジネス・ウーマン・アワードでは、27カ国、450人の女性に賞を授与してきた。

日本では5回目の開催となる式の冒頭には、ヴーヴ・クリコ新社長トマ・ミュリエが挨拶。メゾンの「夢・希望・喜び」というスピリットに触れ、「ボールドな女性たちの勇気は、社会を動かし、変革を生み出します。今夜は、その挑戦に敬意を捧げる夜です」と女性たちを讃えた。

ヴーヴ・クリコが示す「ボールド」とは、単に勇敢であるだけでなく、「自らの意思で未来を切り拓こうとする力」のこと。本年度のアワード受賞者であるビジョンケアの髙橋政代とASTRA FOOD PLANの加納千裕も、まさにその精神を体現してきた女性たちだ。誰も歩いたことのない領域へ踏み込み、数々の壁を越え、道を切り拓いてきた。

研究と経営――退路を断って挑んだ再生医療への挑戦。

髙橋は、再生医療の最前線で活躍する第一人者だ。

30年前にアメリカ留学先で「幹細胞による再生医療に取り組む」という天命を受け、大学病院から理化学研究所へ移り、iPS細胞の研究に踏み込んだ。2014年には、世界初となるiPS細胞を用いた網膜移植の臨床応用を実現させた。

移植治療を進めていた時には、研究が中止寸前まで追い込まれたこともあったという。その時には、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥から「諦めるな」と励ましを受け、サポートを得ながら、本来1年以上かかるとされた課題を3カ月でやり切ることができた。

「途中で悪い結果が出て、山中先生が『もうだめかも』と言った時には、『諦めません!』と私が怒鳴ったこともありました」と髙橋は振り返る。

治療を待つ患者に広く届けるためには、研究所に留まっていては限界があると判断した髙橋は研究所を辞め、社会実装のために会社を興した。「退路を断って、患者さんに届くところまで自分がやり切りたいと思った」のが起業の理由だ。

髙橋は、挑戦を続ける理由をこう語る。

「失敗してやめたら、そこが到達点。でも続けている限り、いつか成功に辿り着ける。正面がダメなら横から行けばいいんです」

その言葉には、岩盤のような障壁に向き合う女性起業家たちへのエールと、世界の医療を前へと進めていく揺るぎない意思があふれている。

「"かくれフードロス"をゼロに」する、新たな産業を創出。

年間2,000万トンにも上るといわれる、食品工場で廃棄される外皮や絞りかす。可視化されないまま捨てられていくこの"かくれフードロス"に真正面から挑み、新しい産業を生み出したのがASTRA FOOD PLANの加納千裕だ。

開発したのは、わずか10秒で食材を乾燥し、おいしく安全な素材へとアップサイクルできる加熱蒸煎機。吉野家ホールディングスと連携し、牛丼作りの工程で生まれる大量の玉ねぎの芯や表面のかたい部分などの端材を、新しい食品原料へと生まれ変わらせた技術とビジネスモデルは、食品メーカーを中心に大きな反響を呼んだ。

「父が30年前に食品加工技術の開発に挑み、大失敗をしました。私も父の事業に参画しており、その時の悔しい気持ちが原動力となりました」

経営者として、働く環境づくりにも力を注いでいる。現在の社員は11人で、そのほとんどが子育て中だ。「時短制度で給与が下がる」という日本特有の慣行を見直し、フレックスとリモートを組み合わせて、ライフステージに左右されず最大の成果を出せる体制作りに取り組んでいる。

加納は、廃棄を前提に組み立てられてきた食品産業の構造そのものに疑問を投げかけ、「再生したほうが利益が出る仕組み」を提示することで、"環境に良い"だけではない、経済合理性と社会性が両立するビジネスモデルの実現に挑戦し続けている。今回の受賞を受けて、「ロールモデルになれたらうれしいし、私は期待されることが一番の原動力。その期待にこたえて世界を変えていきたい」と力強く話した。

挑戦者たちが語るリアルボイス

式典の後半では、受賞者・審査委員・ゲストによるトークセッション「Real Voice--女性起業家たちと語らう夜」が開催された。テーマは「女性経営者が共鳴する場」。起業家が直面する課題や喜び、そして挑戦を支える原動力まで、本音が交わされる特別な時間となった。

このセッションは、ヴーヴ・クリコが2019年に立ち上げた、女性起業家精神に関する国際調査「ボールド・バロメーター」の統計をもとに進められた。中でも印象深いのは、日本における起業家志望の女性回答者の46%が、起業理由として「収入の増加」よりも、「価値観や信念を発展させることで、自分の人生に意味を与えるため」と回答していることだ。女性の起業の背景には、経済合理性だけでは測れない動機が存在することが示された。

ジャーナリストであり、エディトリアルディレクターでもある木田隆子が「課題を越えるためには、しんどさも含めて本音で語り合う場が必要」と切り出すと、2019年にボールド ウーマン アワードを受賞したメディヴァの大石佳能子は、キャリアの最前線で働きながら子育てと向き合ってきたからこそ「自分の事業を通じて次世代に何を残せるのか」という視点に辿り着いたと応じた。

タレントとして活躍し、自身のライフスタイルブランドを立ち上げたRIKACOは、家族の後押しを受けて「人や地球のためになり、自分自身も幸せでいられること」を軸に創業したとその想いを明かした。加納が、「もし家庭を持っていたら起業はしていなかったかもしれない。私にとってはタイミングがすべてでした」と率直に語る場面もあった。

髙橋は、仕事と家庭の両立について問われると、「洗濯や掃除に愛情はいらない。使えるものは何でも使うんです」とユーモアを交えて回答。"完璧を目指さない"という知恵が、会場を和ませた。

セッションを通じて見えてきたのは、ボールド ウーマン アワードが多くの女性起業家をエンパワーし、次の挑戦を生み出す場になっているということ。そして、こうした起業家同士の"連帯"こそが、マダム・クリコのように、ボールドな道を切り拓くための大きな支えとなっていくはずだ。

BOLD by ヴーヴ・クリコの活動をチェック

問い合わせ先:ヴーヴ・クリコhttps://www.veuveclicquot.comInstagramFacebook

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