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「過去最高の江口のりこ」「異次元レベル」彼女にしか成立しない“奇行” 物語の深みを引き上げる“圧倒的存在感”『再会』

  • 2026.1.30

23年前、幼馴染4人組の手で封じられたはずの“罪”と、現在起きた殺人事件が絡み合うヒューマンラブミステリー『再会~Silent Truth~』。竹内涼真と井上真央の共演が話題を呼んでいる本作だが、視聴者の注目は刑事・南良理香子を演じる江口のりこにも集まっている。SNS上には「過去最高の江口のりこ」「異次元レベルの存在感」といった声が多く並ぶほど。本作における彼女は、犯人探しの枠を超え、物語全体の緊張と重心を支配する“静かな恐怖”を象徴している。

※以下本文には放送内容が含まれます。

南良理香子という“違和”

『再会~Silent Truth~』は、23年前に小学生だった幼馴染4人組が、とある事件で使われた拳銃を校庭に埋め、その秘密を共有しながらも封印した……そんなエピソードから始まる。
時を経て起こった新たな事件と、それをきっかけに再会した幼馴染たち。使われた凶器が、あのとき埋めたはずの拳銃だったと判明した瞬間から、物語は過去と現在を行き来し始める。静かに、しかし、確実に緊張を高めながら。

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『再会〜Silent Truth〜』第3話より(C)テレビ朝日

その緊張の中心にいるのが、江口のりこ演じる刑事・南良理香子である。主人公・飛奈淳一(竹内涼真)とバディを組む立場でありながら、彼女が画面にあらわれた瞬間、物語の重心はふっとそちらへ引き寄せられる。
誰よりも声を荒げず、誰よりも感情を露わにしないキャラクターだ。それなのに、なぜか一番“怖い”のだ。この違和感こそが、南良という登場人物、ひいては江口のりこの真骨頂に思えてならない。

南良の捜査スタイルは一貫している。野生的な嗅覚と直感で、違和感を捕らえて離さない。淳一の幼馴染のひとり・万季子(井上真央)の供述に対する疑念も、同級生たち全員への事情聴取を提案する場面も、そこに激情はない。
共通するのは、ただ“おかしいと思ったから、確かめる”という姿勢だ。その淡々としたスタンスが、かえって周囲を追い詰めていく。観ている側もまた、この人はすでに真相にたどり着いているのでは、という感覚を拭えず、知らず知らずのうちに緊張を強いられるのだ。

江口のりこにしか成立しない刑事像

特筆すべきは、南良が決して“変わり者の刑事”として消費されない点だ。
おもむろにバナナを食べ出したり、タップダンスを踊ったり、一瞬だけ浮かべる不自然な笑みだったり。こうした振る舞いは、一歩間違えば物語上の安直な記号になりかねない。しかし江口のりこは、それらを奇行に留めず、キャラクターの内側にきちんと回収してみせる。
どんな突飛な動作の直後でも、捜査の線はぶれない。ふざけているように見えて、地に足はしっかりとついている。その確信があるからこそ、観る側は安心して南良の“違和”に身を委ねることができる。

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『再会〜Silent Truth〜』第3話より(C)テレビ朝日

SNSで飛び交う「異次元レベルの存在感」という言葉は、決して大げさではない。江口のりこの演技は、声のトーンや表情筋のわずかな動き、立ち姿の角度といったミクロな要素の積み重ねで成立している。
怒鳴らない、泣かない、感情を爆発させない。それでもなお、画面の温度を下げ、空気を張り詰めさせる力がある。まるで、すべてを見通した神のような存在が、あえて一歩引いた場所から人間たちを観察しているかのようだ。

この“静かな怖さ”は、物語のテーマとも深く呼応している。本作が描こうとしているのは、派手な復讐や断罪ではない。誰にも言えなかった罪、隠し続けてきた後悔、そして大切な人を信じたいという気持ちと、それでも疑わなければならないという職務のあいだで揺れる人間の弱さだ。
南良は、その揺れを煽る存在ではあるが、決して感情的に踏み込まない。だからこそ、登場人物たちは自分自身の内側と向き合わされる。

怒らない刑事が真実を問い詰めるとき

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『再会〜Silent Truth〜』第3話より(C)テレビ朝日

第3話までを振り返ると、南良理香子という刑事は、すでに物語の“答え”にかなり近い場所に立っているようにも見える。

しかし、彼女がそれを声高に主張することはない。真実は、叫ぶものではなく、積み重ねの先に自然と浮かび上がるものだと、知っているからだろうか。その姿勢こそが、視聴者にとって最大の緊張であり、同時に信頼にも繋がる。

江口のりこは本作で、演技の幅を誇示するのではなく、物語の呼吸そのものを支配する役割を担っているように見える。『再会~Silent Truth~』というドラマの“怖さ”と“深み”は、間違いなく彼女の存在によって一段引き上げられているはずだ。


テレビ朝日系『再会〜Silent Truth〜』毎週火曜よる9時〜
TVerで見逃し配信中
https://tver.jp/episodes/epm4xu5jwh?p=0

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_