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“拘置所内だけ”で展開する考察ミステリー「引き込まれる」「見入っちゃう」 息をのむ眼差しの“虜になる”視聴者続出【日曜ドラマ】

  • 2026.1.30
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『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』第3話(C)日本テレビ

日本テレビが得意なドラマジャンルの一つに、考察ドラマがある。『あなたの番です』以降、高い人気を誇るようになった考察ドラマは、さまざまな方法で視聴者の好奇心を刺激してきた。10月期では、『良いこと悪いこと』が放送された。真犯人に関する考察だけでなく、小学生の頃の関係性を現在までつなげ、いじめを真正面から描くことで、人間の愚かさを浮き彫りにしていた。考察ドラマは単に結末を当てるだけでなく、人間の複雑な内面を炙り出すような作品が制作されつつある。

1月期の考察ドラマ枠といえば、『パンチドランク・ウーマン -脱獄まであと××日-』だろう。冷静沈着、規律正しい女性刑務官が、なぜ脱獄に手を貸すことになったのかの過程が明らかになっていく物語だ。

※以下本文には放送内容が含まれます。

舞台は拘置所!錯綜する刑務官と受刑者の思惑

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『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』第3話(C)日本テレビ

舞台は氷川拘置所。主人公の冬木こずえ(篠原涼子)は看守長であり、女区の区長を務めている。第1話では、強盗殺人の罪で起訴された未決拘禁者・日下怜治(ジェシー)が移送されてきた。実は、怜治が命を奪ったとされる怜治の父・日下春臣(竹財輝之助)は、大学時代のこずえに助けを差し伸べ、そして裏切った人物だった。学生時代の春臣は怜治と瓜二つ(ジェシーの二役)。こずえは怜治の存在に心を乱され、第1話では怜治を庇うような行動を見せる。

第2話ではタブレット端末が盗難され、懲戒処分の危機に瀕したこずえが、怜治に救われる展開に。身体を張った怜治は、建物の屋上から落ちてしまう。第3話では、拘置所内倉庫での立てこもり事件が発生。こずえと怜治は協力することで、どうにか事なきを得た。こずえは自分を乱す怜治と距離を取りたいはずであるが、どうにもうまくいかない。拘置所内で起こる事件に巻き込まれるたびに、こずえの中にある春臣との思い出が刺激されているようだ。

そんなこずえの思いを知る由もない怜治は、無実を証明するためにどうにか脱獄できないかと拘置所内の人間関係を探っている。その一環として、カルト教団『廻の光』の教祖や信者に近づいている。教団の教祖や幹部の動きが、展開に大きく絡むことになりそうだ。

本作が特徴的なのが、氷川拘置所内という閉じられた空間で、物語が展開されている点だ。脱獄を企てたり、取引を持ちかけたりと悪いことを考える受刑者とそれを監視する刑務官という特殊な関係性とそれぞれの思惑が、限られた空間内で錯綜することで、独特の緊迫感が生まれている。受刑者と刑務官、拘置所という舞台だからこそ、このヒリヒリとした見応えが生まれているのだ。

そして、本来なら受刑者に絆されてはいけない真面目なこずえが、怜治の言動に揺れ動くという禁忌が描かれることで、単純にはいかない微細な感情の変化が描かれている。感情を揺さぶられる人間を見ているのはこうも面白いのかと、改めて気付かされる。

刑務官のなかに受刑者に手を貸すものが!?

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『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』第3話(C)日本テレビ

第3話で、拘置所内倉庫での立てこもり事件をなんとか乗り切ったことで、怜治は脱獄を企てる教団『廻の光』の仲間に入ることに。そして、刑務官の中にも死刑囚である教団の元教祖・鎧塚弘泰(河内大和)の脱獄に手を貸すものがいることが明らかになった。

気になるのが、こずえの上司・小柳(宇梶剛士)の動きだ。第2話では何者かと怜治について電話しており、怜治の事件の裏に関与していそうだ。また、第3話では、こずえが危機に陥ることを分かっていて、立てこもり事件を起こした受刑者の三津橋宏行(堀内健)を刺激するような言葉をかけた。こずえと怜治を陥れようとしているのではないだろうか。

怜治の事件の真相、小柳の狙い、教団側に手を貸す刑務官の正体、脱獄の方法など、さまざまな考察要素がある。また、本作はこずえと怜治が脱獄後の描写から物語が始まっている。毎話の最後に脱獄まであと何日かが表示されており、第3話の時点ではあと15日。品行方正なこずえが、どのような心境の変化を経て、脱獄に手を貸してしまうのかが、物語の最も重要なポイントになるだろう。そして、脱獄したのちこずえと怜治はどうなってしまうのか。舞台が独特だからこそ先が読めず、考察ポイントが詰め込まれたドラマになっている。

SNSでは、「怜治の目に引き込まれる」「見入っちゃう」など、こずえを乱す怜治の強い意思を感じる眼差しの虜になっている人も多いようだ。

ストーリーが進むにつれ、さらに考察も加熱していくことだろう。限られた空間で展開することで、考察ドラマの新たな可能性を切り開く作品になりそうだ。


日本テレビ系『パンチドランク・ウーマン −脱獄まであと××日−』毎週日曜よる10:30〜

ライター:古澤椋子
ドラマや映画コラム、インタビュー、イベントレポートなどを執筆するライター。ドラマ・映画・アニメ・漫画とともに育つ。
X(旧Twitter):@k_ar0202