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「家族の前では観にくい」「攻めすぎている」放送初期の“戸惑いの反応”から一転… 最後には“最高の一作”と評価された冬ドラマ

  • 2026.3.18
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(C)「令和に官能小説作ってます」製作委員会

テレビ大阪で放送された『令和に官能小説作ってます』は、出版社で働くことを夢見る大泉ましろ(桃月なしこ)が、まさかの「官能小説編集部」に配属されるところから始まる異色の職業ドラマだ。編集長・玉川丈治(徳井義実)らが卑猥な言葉を交えつつ、新刊タイトルや作品の方向性を熱く議論する職場で、彼女は戸惑いながらも、文字でしか表現できない官能の面白さや編集者としてのやりがいを学び少しずつ成長していく。

最終回では、ましろがこれまでの経験を通じて編集者として大きく成長した姿が描かれ、官能小説という特殊な世界で奮闘した日々の集大成として、温かくも力強い結末を迎えた。

※以下本文には放送内容が含まれます。

主人公が示した覚悟

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(C)「令和に官能小説作ってます」製作委員会

最終話の見どころは、何といってもましろが玉川に代わり記者会見に立つ場面だ。担当した神室氷雨(内藤秀一郎)の新作『雌囚のごとく』がSNSで炎上し、さらに週刊誌では玉川の過去や作家・東雲妖子(早織)のスキャンダルが報じられ、編集部は混乱の渦に巻き込まれる。

しかし、ましろは恐れず立ち向かった。その場で彼女が語ったのは、偏見に対する普遍的なメッセージだった。

人は誰しも偏見を持つ生き物であり、それはこれから先も変わらない。だからといって「偏見を持たれる存在はあってはいけない」というのであれば、それはもう、どうしようにもない。しかし、知ってほしいことがある。どれほど多くの人が偏見を抱くものであっても、それに誇りを持ち、真摯に向き合う人がいるという事実だ。偏見を持つ側が狭めているのは、もしかすると自分自身の可能性かもしれない。

視線を揺らさず会場の空気を見つめるましろの姿からは、単なる新人編集者の域を超えた強さが感じられる。炎上や批判に揺れる中で、彼女は自分の信じる価値と守るべき仕事を選び、それを公に語ることで、「官能小説編集部」という職場の存在意義を体現したのだ。

「普通とは何か」。その問いを胸に、ましろは向き合い続けた。かつて偏見の目で評価されながら働いてきた経験があるからこそ、周囲の視線がどれほど厳しいかを誰よりも理解していた。世間の話題が移ろい、事件が過ぎ去っても、官能小説というジャンルに対する偏見は簡単には消えない。しかし、ましろの姿勢は、変わらぬ立場にあっても自分の信念を貫くことの大切さを示した。

タイトルに込められた覚悟

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(C)「令和に官能小説作ってます」製作委員会

最終話は、TLコミック部の男性が「ここって何を作ってる部署なんですか?」と問うと、彼女は迷わず「令和に官能小説作ってます」と答えるシーンで物語が終わる。この一言にはユーモアと覚悟が共存し、ドラマ全体のテーマが凝縮されている。偏見や批判があっても、官能小説というジャンルは存在し続け、誇りを持って作り続ける人たちがいることを伝える瞬間だ。それと同時に見事なタイトル回収となった。

炎上や批判に揺れる編集部が最後まで独自の立ち位置を守る姿は、視聴者に「表現とは何か」「偏見の向こうにある可能性とは何か」を考えさせる。官能小説を通して現代の生きにくさを見事に表現し、多くの視聴者の心にその種を植え付けたのだ。

真摯さと熱量が生んだ感動

放送当初は「家族の前では観にくい」「タイトルが攻めすぎている」という声もあったが、最終話では「最高の一作だった」「全人類に見てほしい」「終わるのが寂しい」と称賛が相次いだ。これは、偏見に立ち向かい続けた制作陣と、熱量をもって役を演じ切った俳優陣の努力の賜物だろう。

『令和に官能小説作ってます』は、軽々しく官能を消費するためのドラマではない。活字で表現する官能の価値、編集者としての成長、そして社会や偏見と向き合う覚悟を描いた大人の職業ドラマだ。最終話はそのすべてを象徴する感動的な締めくくりであり、官能小説を通して現代社会の複雑さや生きにくさを描き、多くの視聴者の心に深く種を植え付ける作品となった。彼女たちはきっと今も戦い続けている。そう思わせる、まさに“ムーブメントを起こす”ような見事なドラマだった。


テレビ大阪『令和に官能小説作ってます』TVerで見逃し配信中

ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri