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「2人目、諦める」出産費用《実質無償化》になぜ!?「改悪だ」「厚労省に意見した」SNSで広がる“懸念”とは

  • 2025.12.4

「自然分娩はタダ」でも「帝王切開は3割負担」?

「帝王切開は3割負担」のまま?
「帝王切開は3割負担」のまま?

少子化対策の切り札として議論されている出産費用の無償化。報道によると、厚生労働省は標準的な分娩(ぶんべん)費用を公的保険で全額カバーし、自己負担をゼロにする方向で検討に入りました。これに伴い、現在支給されている「出産育児一時金(原則50万円)」は、廃止または新制度に統合される見通しです。

ここで問題視されているのが、全体の約2割から3割を占めるとされる「帝王切開」の扱いです。

自然分娩は保険適用(自己負担ゼロ)の恩恵をフルに受けますが、帝王切開はもともと「医療行為」として保険適用(3割負担)の対象であり、今回の変更でもその枠組みは維持される方向です。

もし「一時金50万円」が廃止され、帝王切開への補填(ほてん)措置が同時になされなければ、どうなるでしょうか。

これまでは一時金で賄えていた手術費用の自己負担分(高額療養費制度を利用しても約8万~10万円程度)が、そのまま家計にのしかかることになります。「無償化」のはずが、帝王切開の人だけ「手出しが増える」という逆転現象が起きかねないというのです。

SNSで広がる悲鳴「やりたくて切ったわけじゃない」

この仕組みに対し、X(旧ツイッター)などでは12月に入り、当事者からの不安と怒りの声が急増しています。

「1人目が帝王切開だったから、次も確実に帝王切開。無償化の恩恵がないどころか負担増なら、もう産めない」「好きで帝王切開したわけじゃない。母子ともに助かるために腹を切ったのに、ペナルティーを受けるみたいでつらい」

12月4日には、「厚生労働省に意見を送ろう」と呼び掛ける投稿が拡散され、多くの賛同を集めています。「命がけで産んでいるのは同じなのに、なぜ産み方で差別されるのか」という不公平感が、ママたちの心を深く傷つけているようです。

「一度切ると、次も帝王切開」の現実

なぜ「2人目は産めない」という声が上がるのでしょうか。その最大の理由は、帝王切開という分娩(ぶんべん)方法の特性にあります。

医学的なリスク管理の観点から、一度帝王切開で出産した場合、次の出産でも帝王切開を選択するケースが大半です(反復帝王切開)。経腟(けいちつ)分娩(VBAC)にトライできる病院は限られており、子宮破裂などのリスクもあるため、多くの人が「次も手術」を選択せざるを得ません。

つまり、1人目を帝王切開で産んだママにとって、2人目の出産費用が「手術代(3割負担)」になることは、ほぼ確定した未来となりえるのです。

「産み方」で数十万円の格差?

ここで、検討されている「無償化(一時金廃止)」の影響が直撃します。

・自然分娩の人:全額無償化で、自己負担はゼロ。・帝王切開の人:一時金(50万円)という補填(ほてん)がなくなり、高額療養費制度を使っても約10万円前後の「手出し」が発生する可能性が高い。

さらに、手術に伴う入院日数の延長や、個室代などの差額ベッド代を含めれば、その差はさらに広がります。

「2人目が欲しいけれど、産むだけで数十万円のペナルティーを払わされるなら諦めるしかない」

そんな悲痛な叫びは、単なるわがままではなく、生活防衛のための切実な決断といえます。

命懸けの出産に「罰金」はいらない

帝王切開は、母子の命を守るための立派な医療行為です。

逆子、多胎、緊急事態――。やむを得ない事情で腹を切り、激痛に耐えて育児をスタートさせるママたちに対し、経済的な追い打ちをかけるような制度であってはならないでしょう。

SNS上では「帝王切開にも無償化と同等の支援を」「不公平をなくして」という署名や意見送付の動きが加速しています。「2人目」を望む家庭の希望を断ち切らないためにも、制度の細やかな見直しや新たな提案が待たれます。

制度設計はこれから!声は届くか

日本産婦人科医会などは以前から、制度設計によっては「かえって妊婦の自己負担が増す可能性がある」と懸念を示してきました。

これらはまだ検討段階の話であり、実際に制度がスタートする2027年度までに、帝王切開に対する何らかの救済措置(自己負担分の免除や手当など)が盛り込まれる可能性も残されています。

「少子化対策」が急がれるなか、特定の妊婦にだけ負担を強いるような制度になれば本末転倒です。今、SNSで上がる「産み控え」の声は、制度の穴を埋めるための重要なシグナルといえるのではないでしょうか。

(LASISA編集部)

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