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「ボキッ」嫌な音が響いた…。搬入中のプロを襲った“顔面蒼白”の事態。客の「ひと言」に絶望したワケ

  • 2026.1.15
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

こんにちは。引っ越し・家財の運搬をしているしーやんです。

引っ越しや家財の運搬業務の現場では、思わぬ事態に遭遇することがあります。

今回は、キャビネットの搬入中に廊下の照明を折ってしまい、弁償だけでは済まないご迷惑をかけてしまったエピソードです。

おしゃれなマンションとこだわりのインテリア

現場はデザイナーズマンションのような造りで、壁紙や照明などの備え付けがとてもおしゃれで、廊下の照明も、壁の一部としてデザインされたような造作でした。

お客様は男性で、搬入するキャビネットもデザイン性の高いもの。設置場所の希望を伺う中で、「インテリアにこだわりがある方だな」という印象を持ちました。だからこそ、こちらとしても「絶対に壁もキャビネットも傷つけてはいけない」という意識が強かったのを覚えています。

背の高いキャビネットと廊下の照明の障害

問題はキャビネットのサイズでした。組み上がった状態だったので高さがあり、設置希望の位置まで運ぶには廊下を通る必要があります。しかし、導線上には壁に備え付けられた照明があり、どうしても干渉してしまう。

角度を変えたり持ち上げたりしても限界があり、「照明を一度外せば通せる」という考えが頭に浮かびました。照明はネジで留められており、外してもまた取り付けられる構造に見えました。

今思えば、この時点で立ち止まるべきでした。しかし私は、「通すためには仕方ない」という気持ちだけで、照明を外す判断をしてしまいました。

ネジを外した直後の「ボキッ」

ネジを外すと、「やはり外れる」と思い込みが強まりました。照明を外そうとして、手で軽く左右に動かした瞬間です。

「ボキッ」

嫌な音とともに、照明が折れました。頭の中が一気に真っ白になり、血の気が引くのがはっきりとわかりました。強く力を入れたわけではありません。それでも、外し方が違っていたのでしょう。

すぐにお客様へ謝罪しました。お客様は怒る様子はありませんでしたが、困った表情でこう言われました。

「ここ、賃貸なんですよね……」

その一言で、事の重さを痛感しました。壊したのは照明ですが、影響はそれだけでは済まないと、さらに頭が真っ白になりました。

お客様にかけてしまった照明の破損以上のご迷惑

後日、上司が改めて謝罪に伺い、照明は弁償することになりました。一見すると、金銭対応で解決したように見えます。しかし、お客様にかけてしまった負担はそれ以上でした。

賃貸物件の備え付け設備が壊れると、管理会社や大家さんへの説明が必要になります。こちらが弁償すると言っても、入居者であるお客様が窓口にならざるを得ません。連絡、状況説明、修理手配など、細かな対応が発生します。

新しい家具を迎えるはずの日に、余計なご心労と手間を背負わせてしまった。その点が何より申し訳なく感じました。

お客様の家を傷つけないための最善策

この経験以降、私は「通すために外す」という安易な判断をしないよう強く意識しています。賃貸物件の場合、備え付け設備や建具はお客様の私物ではなく物件の一部です。触れた時点で、責任の範囲が大きく広がります。

導線に障害がある場合は、まず外さずに済む方法を考える。角度の工夫、持ち方の変更、養生の強化など「傷つけない方法」を優先する。現場の勢いだけで進めないことが大切だと肝に銘じています。

弁償で済んだとしても、お客様の手間や不安は戻りません。お客様のお宅を傷つけず、ご希望の位置まで搬入するためには、目先の効率よりも、慎重に最善策を考えて行動すること。その基本を、改めて胸に刻む出来事でした。


ライター:しーやん

現在は日本語教師をしながら、ライター業、引っ越し・家財の運搬業務をしております。鉄道、受付、テーマパークなど様々な業種で培った経験をもとに「正しい日本語で心に刺さる文章を」をモットーに執筆中。


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