1. トップ
  2. 「駅徒歩8分のマンション」友人に紹介し10万円獲得→入居2ヶ月後、30代会社員が払った“思わぬ代償”

「駅徒歩8分のマンション」友人に紹介し10万円獲得→入居2ヶ月後、30代会社員が払った“思わぬ代償”

  • 2026.3.20
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

最近では「紹介するだけで副収入になる」「知人をつなぐだけで謝礼がもらえる」といった話を耳にする機会が増えてきました。実際に、知人を不動産会社へ紹介し、成約すると数万円から10万円ほどの謝礼が支払われるケースもあります。

一見すると、軽い紹介で副収入が得られる便利な仕組みに見えるかもしれません。しかし、不動産は人生でも大きな契約のひとつです。軽い気持ちで背中を押した一言が、思わぬトラブルや人間関係の悪化につながることもあります。

今日は、知人を不動産会社へ紹介したことがきっかけで、わずかな副収入と引き換えに信用を失ってしまった会社員のエピソードをご紹介します。

軽い気持ちの「紹介」がきっかけだった

数年前、知り合いの会社員のAさん(30代男性)が経験した話です。

Aさんは副収入に興味があり、知人を不動産会社へ紹介することで謝礼を受け取る仕組みに関心を持っていました。営業活動や契約手続きに関わるわけではなく、あくまで知人と不動産会社をつなぐだけ。成約すると紹介料が支払われるというものです。

ある日、大学時代の友人Bさん(30代)が賃貸物件を探していると相談してきました。そこでAさんは、以前から付き合いのあった仲介会社を思い出します。

「知り合いの会社があるから、一度相談してみたらどう?」「いい物件を紹介してくれると思うよ」

そのように伝え、Bさんを仲介会社へ紹介しました。

数週間後、Bさんは駅から徒歩8分のマンションに入居。契約も問題なく進み、Aさんには紹介料として10万円の謝礼が振り込まれました。紹介するだけで収入になるのかと、Aさんは少し驚いたといいます。

ところが、問題が起きたのは入居してしばらく経った頃でした。

入居後に起きた設備トラブル

入居から2ヶ月ほど経った頃、BさんからAさんへ連絡が入りました。少し相談したいことがあるという内容でした。

話を聞くと、給湯器が故障してお湯が出なくなっているとのことです。Bさんはすでに管理会社へ連絡していましたが、交換まで数日かかると言われ、不便な状況が続いていました。

Bさんは不満そうにこう言いました。

「こんなトラブルがあるとは聞いていないよ」

Aさんは戸惑いました。物件の契約や設備の管理は、仲介会社や管理会社が担当する業務です。Aさん自身は契約にも管理にも関わっていません。

しかし、Bさんの認識は違いました。紹介してくれた人がAさんだったため、トラブルの相談先としてAさんに連絡してきたのです。Bさんにとっては「Aさんが勧めた物件」という意識が強く残っていたといいます。

「勧めた責任は?」と言われ始めた

給湯器のトラブルが落ち着いた後も、Bさんの部屋では小さな不具合が続きました。例えば、次のような内容です。

  • エアコンの効きが弱い
  • 共用廊下の騒音が気になる
  • ポストの鍵の調子が悪い

本来であれば、これらは管理会社へ相談する内容です。しかしBさんは、そのたびにAさんへ連絡するようになりました。

ある日、Bさんはこう言いました。

「紹介したのはAだよね?少しは責任があるんじゃない?」

Aさんは困ってしまいます。仲介会社に相談すると、返ってきた答えはこうでした。

「契約後の設備や建物の管理は、管理会社の対応になります」

Aさんは契約の当事者ではありません。それでもBさんにとっては、物件を紹介した「知人」という立場が強く残っています。

結果としてAさんは、Bさんと仲介会社との間に立つ形になり、対応に悩むことになりました。

10万円の副収入と引き換えに失ったもの

最終的に設備トラブル自体は解決。給湯器は交換され、生活に支障が出るような問題はなくなりました。

しかし、人間関係は元に戻りませんでした。

BさんはAさんに対して距離を置くようになり、共通の友人の間でも次のような話が広がったそうです。

  • 紹介でお金をもらっているらしい
  • 紹介で儲けているらしい

事実としてAさんは紹介料を受け取っていましたが、そのことが周囲の印象を変えてしまいました。

その結果、Aさんの周囲では物件探しの相談や紹介の依頼がまったく来なくなりました。以前のように気軽に相談されることもなくなったそうです。

Aさんはこう話していました。

「悪気はまったくなかったのに、まさか人間関係を失うとは思いませんでした…」

紹介ビジネスで得られる収入は一度きり。一方で、信用は長い時間をかけて築くものです。

一度のトラブルがきっかけで、その信用が揺らいでしまうこともあります。

こうならないために気をつけたいこと

知人に不動産会社や物件を紹介する場合は、次の点に注意が必要です。

  • 紹介はあくまで参考情報と伝える
  • 契約やトラブルの相談は不動産会社へ直接してもらう
  • 物件を断定的に勧めない
  • 謝礼を受け取る場合は人間関係への影響を考える

特に注意したいのは「いい物件だと思うよ」と断言してしまうことです。その一言が、後から責任を求められる原因になることがあります。

紹介で得られるお金は一度きりです。しかし、信用や人間関係は長く積み重ねていくものです。

副収入を考える前に、その紹介が本当に自分の信用を使う価値があるのか、一度立ち止まって考えてみることが大切です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる