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「早く出してよ…」バス停でなかなか発車しないバスにイライラ。運転士が“わざと”発車しなかった切実なワケ

  • 2026.1.4
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「バス停で待つバスが、なかなか発車しない…」

そんな光景を見たことがある人は多いことでしょう。

各バス停の発車時間よりも早く通過する「早発」は、バスの運転士にとって厳禁です。そのため、時間が余ったときはバス停で時間調整し、早発をしないよう運行時間を操作しています。

私も、バスの運転士として勤めていた際は、よく時間調整をしたものです。しかし、なかには予期しない渋滞で、誤算が生じた経験もあります。

今回は、バス運行中の時間調整で大幅な遅延を発生させてしまったお話です。時間を操作しながらの運行は、本当に難しいものだと感じたトラブルでした。

「早発」を防ぐために時間をうまく使う「時間調整」

バスの運行で注意しておきたいのが「早発」です。

しかし、交通量が少ないときは、時刻表よりも早くバス停に到着してしまいます。いくらゆっくり走行しても、減速しすぎると他車に迷惑がかかり、思わぬ事故を招いてしまいます。

そのため、バス停の発車時刻より早く到着してしまったときは、バス停で停車し時間調整が必要となるのです。たとえ、その先の道路が渋滞し、次のバス停で延着するとわかっていても、時刻表がある限り先を急ぐことはできません。

慣れた運行ルートなら、運転士はバス停間の所要時間を把握しています。交通量から考えて、時間が余りそうな区間なら前もって少し多めに停車して時間調整をするなど、毎日工夫しているのです。

時刻表どおりの運行が難しいルートも…

「一体この時刻表は誰が作ったのか…」

私がバスの運行に携わり運転士をしていた10年ほど前、声には出さないものの、運転士の誰もが思っていた運行ルートがありました。

こうした実態との時間差をいかに乗りこなし、定時運行を実現するかが、私たちバス運転士の腕の見せ所でもありました。

渋滞しているときには、時刻表の時間がありがたい。しかし、快適な道路状況だと時間が余って仕方がない…

そんな時刻表の微妙な時間差を、うまく味方にできるのが「時間調整」です。私も、次のバス停が長く停車できない場所のときは、早めの時間調整に入ることが多くありました。

次のバス停まで、時刻表どおりなら所要時間は5分。しかし、実際は3分で次のバス停に到着するため、2分多めに停車して、時間調整したときのことです。

発車して間もなく目にし、思わず声に出てしまったのは…「車が動いていない。事故渋滞だ。」でした。

大誤算!!まさかの渋滞に余裕の運行が大幅な遅れに…

渋滞していたとしても、バスに迂回という選択肢はありません。目の前の渋滞に、ただただ並ぶばかりです。

そのとき、私には後悔しかありませんでした。時刻表どおりに発車していれば、5分あったのに、時間調整したことによって、次のバス停まで3分しかありません。

カーブによって、先の渋滞が予測できなかったことがまずかったのか…
余裕ぶって時間調整したのがまずかったのか…

しかし、次のバス停で早発を防ぐため、長く停車すると他の車の邪魔になることも事実です。渋滞のなかで私は、ただ自分の行動を思い返すばかりでした。

渋滞が解消され、次のバス停についたのは前のバス停を出発してから10分後…結果的に大幅な遅延が発生しました。

その後も、渋滞解消によって起きた交通量の増加に、各バス停で遅延を繰り返しました。終点に到着後も束の間、次の運行ルートの出発時間は目前です。

運転席から離れることなく次の運行へと入り、休憩までもが消滅してしまう大誤算となりました。

何度経験しても難しい!バス運転士の道路状況の予測

慣れた運行ルートでも、突発的な渋滞はプロの運転士でも予測しにくいものです。私自身も、何度おなじ路線を運行しても、道路状況の予測は難しいものでした。

遅延が乗客に迷惑であることも理解していても、バスの運転士はまず早発を避けなければなりません。

バスを利用するとき、時間調整後に渋滞に巻き込まれ、バスが遅延することもあるでしょう。プロの運転士であっても、予測間違いはあるものです。

そのような場面に遭遇しても、運転士を責めるような姿勢は避けたいものだと、今では心を広く持ってバスを利用するようにしています。


ライター:Venus☆トラベル

近畿地方でバスの運転に関わる仕事に携わって約12年、多くの送迎バスを運転しました。幼稚園や自治体、企業や施設など、それぞれの場所で学ぶことが多くありました。その反面、運転士視点で感じた心の声をリアルにお届けします。


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