保護者「限定品のニット帽が盗まれた！」学校へ怒りの電話…クラス総出で探した結果、判明した“ありか”に絶句

2025.12.16

こんにちは。元小学校教員ライターの、みずいろ文具です。
学校では、忘れ物や落とし物は日常茶飯事。
しかし時々、“忘れ物”が“事件”に発展してしまうことがあります。

今日は、冬に起きた「限定品のニット帽紛失事件」についてお話しします。

「限定品の帽子がないんです！」怒りの電話

1年生を担任していた時のことです。

12月のある日、クラスのB君のお母さんから学校に連絡がありました。

「うちの子の○○（人気キャラクター）のニット帽がないんです。
先週、絶対に被せて登校させました。でも、帰って来た時にはかぶっていませんでした。
限定の物なので、教室で盗まれたのではないでしょうか？」

電話口の声は不安というより、やや強い調子。
大事にしている物が見つからないのだから、保護者の方の気持ちは理解できます。

ただ、「盗まれたのでは？」と学級の子どもたちを疑われてしまったことで、胸の奥がずしんと沈むのを感じました。

とにかく、翌日クラスで状況を共有し、全員で探す時間をとることにしました。

クラス総出で大捜索。しかし…

翌日の朝の会で、Bくんの帽子がなくなったこと、そしてその特徴を説明しました。
子どもたちはすぐに
「それ知ってる！」「探してあげるよ！」
と、口々に反応。

ロッカー、机の中、廊下、靴箱…。
授業時間を使って、全員で探しましたが、結局、帽子は見つかりませんでした。

放課後、重い気持ちで報告のお電話をしたところ、
電話口では、「学級でのモノの管理が行き届いていないのではないか」というご指摘を受け、返す言葉もありませんでした。

胸が痛みましたが、これ以上なすすべがありませんでした。

そして数週間後、驚きの展開に

2週間ほど経ち、冬休みも近づいてきたころ。

朝教室で子どもたちを待っていると、見覚えのあるニット帽をかぶって登校してきたB君が目に入りました。

「あれ？その帽子…」

声をかけると、本人はケロッとした様子で、

「これ？僕の部屋にあったよ！おもちゃの下に隠れてたんだ！」

まるで宝物を見つけたような顔で話すB君に、思わず苦笑してしまいました。

「…そ、そう。よかったね。クラスのみんなも一生懸命探してくれたから、朝の会で報告してもいいかな？」

と、必死に笑顔を作りながらそう反応するのが精一杯でした。

「見つかってよかった」。でも、本音は…

もちろん、見つかったこと自体は本当に良かったです。

でも正直なところ、

「一言、知らせてほしかった…！」

と思ってしまいました。

あの日、授業時間も削り、子どもたちも必死に探してくれたのです。

「モノの管理ができない学級ですね」とまで言っておいて、保護者の方も連絡しづらかったのかもしれません。
結局あの後も連絡はなく、もやもやが残った出来事でした。

「なくして困るもの」は、学校へは最小限に

この経験から改めて感じたのは、

「なくなったり、破損したりして困る高価な物は、学校には持たせないでほしい」

ということ。

もちろん親としての気持ちも理解できます。

・本人が喜ぶから持たせたい
・限定品だから大切にしている
・自分で管理する練習をさせたい

などの思いもあるでしょう。

ですが、日々さまざまなことが起こる学校では、物が破損・汚れてしまったり、紛失したりしてしまうこともあります。

「子どもだからしょうがない」と割り切ることができればいいのですが、そうではないものは学校への持ち込みは最小限にしてほしいな、と思います。

子どもも大人も、完璧ではないからこそ

大人も子どもも、学校も家庭も、物事はいつも完璧にはいきません。

今回のような小さな困りごとが起きたときこそ、

「うちの子がなくしたのかもしれませんが、探してもらえると助かります」
「うちにありました、ご心配をおかけしました」

「いえ、見つかってよかったですね！」

一言でいい、そんな言葉を交わせる関係でありたいものです。
子どもたちにとって安心できる環境は、大人同士が穏やかにつながるところから生まれるのだと思います。

ライター：みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。

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