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グサッときた、、「ママのお腹にも赤ちゃんいる?」不妊治療を経て授かった娘からの質問。『母の答え』は

  • 2025.12.3

筆者友人C子の話です。
ある日、友達の家で赤ちゃんに触れた我が子から「ママのお腹にもいる?」と純粋に質問されました。不妊治療の経験から言葉を失いましたが、夫婦で話し合い「今の家族の形を慈しむ」という結論に至り……? どのように心が解放されていったのか、体験談を伺いました。

画像: グサッときた、、「ママのお腹にも赤ちゃんいる?」不妊治療を経て授かった娘からの質問。『母の答え』は

静かな午後に響く、無邪気な質問

週末の午後、友達の新築祝いを兼ねて、生後三ヶ月の赤ちゃんに会いに行きました。
友達の家のリビングは、ミルクの優しい匂いと、大人たちの和やかな笑い声に包まれていました。
我が家の四歳の娘は、小さな赤ちゃんの手足をそっと触り、興味津々。
「ちっちゃいね、かわいいね」と目を輝かせていました。

そんな娘の姿を、私は夫と二人で微笑ましく見つめていました。
この穏やかな時間は、私にとって何物にも代えがたいもの。
しかし、その和やかな風景の中で、私はふと、過去の記憶の影を感じていました。
それは、私たち夫婦が不妊治療という道のりを経て、この子を授かるまでどれだけの時間と涙を費やしたのか、心の奥底で知っているからです。

一瞬世界が止まった、子供の一言

娘は赤ちゃんに何度もハグをしたり、手を握ったりして満足した後、突然私の方を振り返りました。満面の笑顔で、何の悪気もない、ただ純粋な好奇心から発せられた一言。
「ねぇママ。ママのお腹にも赤ちゃんいるの?」

その瞬間、世界は一瞬でスローモーションになり、周りの音全てが遠ざかりました。
友達の「あら、どうだろうね〜」という声も、夫が固唾を飲んだ気配も、全てが遠いことのように感じられました。
私は言葉を失い、喉の奥がツンと熱くなるのを感じました。
「いないよ」とすぐに返すのが、この時の私にはなぜかできませんでした。
娘の純粋な笑顔を曇らせたくなくて、精一杯の笑顔を返すのがやっとでした。
私は、不妊治療の過酷な道のりを乗り越え、やっと授かったこの子を心から大切にしている。
それでも、再度の治療の大変さや経済的負担、年齢の壁を考えると、二人目にもう一度踏み出す勇気が出せずにいたのです。

夫婦で向き合った、未来への正直な答え

帰宅後、私は夫に正直に打ち明けました。
「今日、〇〇(娘の名前)に言われた一言が、本当に辛かった」と。

娘が寝静まった後、私たちは久しぶりにじっくりと話し合いをしました。
これまで避けてきた、二人目に関する話題。
夫は優しく私の手を握り、「あの時、どれだけ頑張ってくれたか、僕が一番よく分かっている」と言ってくれました。
治療の大変さ、経済的な負担、そして何より、今この子と過ごす幸せな時間の尊さ。
全てを正直に分かち合った結果、私たちの答えは明確になりました。
無理をして未来の「理想の家族」を追うのではなく、「今の家族を大切にしながら、自分たちにできる形で愛を広げていこう」と心に決めたのです。この決断は、子供への責任を持つ大人として、とても正直で大切な一歩でした。

手放せた焦りと、感じる今ある幸せ

翌日、私は娘と二人きりの時を選び、昨日の質問について答えました。
「ママのお腹には赤ちゃんいないんだよ。でもね、あなたがいてくれるから、ママとパパは毎日とっても幸せだよ」。
そう伝えると、娘は何かを理解したようになんとなく照れくさそうに笑ってくれました。
その笑顔を見た瞬間、私の心の奥に貼り付いていた「二人目を持たなければならない」という義務感のようなものが、すうっと溶けていくのを感じました。
未来を焦って形を探す必要はなかった。今目の前にある、この温かい家族を慈しむこと。それが二人目の理想を追う焦りから解放され、この選択こそが、私たち夫婦にとって、何にも代えがたい確かな希望であると知りました。

未来を焦る必要はありません。
今この瞬間に与えられた、愛する家族の存在こそが、最高の宝物だと思うのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

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