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最終回目前で暴かれた“芸能界の闇”「まさかの関係性」「切り込んだ作品」魂を削った“告白”の行方『スキャンダルイブ』

  • 2025.12.22
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(C)AbemaTV, Inc.

芸能界の闇に鋭く切り込むABEMAオリジナルドラマ『スキャンダルイブ』。第5話では、茅島みずき演じる莉子の過去が明らかになる。被害者が実の妹であることを知り、その悲痛な告白を受けた記者・奏(川口春奈)と、事務所の代表として立ち向かう咲(柴咲コウ)が、それぞれに苦しみながらも一歩を踏み出す姿まで描かれた。夢と現実の狭間で翻弄された莉子の魂の叫びは、画面越しに観る者の心を突き刺す。茅島の透明感と繊細な表現力が際立った第5話。深まる事件の謎とともに、傷ついた側を守るという決意の連鎖が、物語を大きく動かし始めている。

※以下本文には放送内容が含まれます。

莉子の告白が突き刺す“絶望の深さ”

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(C)AbemaTV, Inc.

第5話の最大の見どころは、やはり茅島みずき演じる莉子の過去と、そのなかで吐き出された痛みだろう。芸能界の末端で夢を追いかける過程で、予想外の地獄に足を踏み入れてしまった少女が、その後に背負った絶望の重さを、茅島は言葉以上の表現で伝えてくる。

震える声、こわばる指先、怯えて焦点の定まらない瞳。茅島の演技には、まさに被害者という匿名性を超えた、ひとりの人間としてのリアリティが宿っていた。

単に泣き崩れるだけではない。感情を抑えながら、言葉を選び、なおも姉の前で告白しなければならない……葛藤が見える。その姿は見る者に、どうして誰も彼女を救えなかったのだろうと、問いを突きつける。

莉子の告白を受けて、記者として冷静に真実を追い続けてきた奏もまた、ひとりの姉として感情の渦に飲み込まれていく。なぜ、気づいてあげられなかったのか。なぜ、もっと話を聞かなかったのか。そんな自責の念が、彼女の心を苛む。

しかし、だからこそ彼女は諦めない。正義感と姉妹愛がぶつかり合うその狭間で、書くことでしか妹を守れないと決意を固める姿は、第5話のもう一つの大きなハイライトだ。川口の、張りつめた声色と苦悩に満ちた視線が、それを説得力のある芝居として成立させていた。SNS上では、川口と茅島が姉妹役を演じていることに対し「まさかの関係性」「切り込んだ作品」と驚きの声も挙がっている。

繊細さと、芯の強さの同居

今回の莉子役は、まさに茅島みずきという女優の現在地を象徴する役柄だ。モデル出身の長身と端正な顔立ちが、被害者としての静かな存在感を際立たせつつ、その内に潜む怒りや諦めを内在している。

彼女の芝居の真骨頂は、泣きや叫びなどわかりやすい感情の発露ではなく、むしろ言葉にできない痛みを瞳で表現する力にある。今回も、目を逸らさずに姉を見つめる一瞬や、言葉に詰まりながらも過去を語る時間の流れに、その強さと脆さが同時に漂っていた。

そして印象的だったのは、事件の回想シーンで見せた、希望に満ちた表情との対比だ。その落差が、失われた時間の深さをより鮮烈に印象づけた。

芸能界という“現実のフィクション”見過ごされてきた痛みを描く

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(C)AbemaTV, Inc.

『スキャンダルイブ』が提示するテーマの一つは、華やかに見える芸能界の裏側に潜む構造的な暴力である。莉子のように、夢を叶えたいと願った若者が、巧妙に仕組まれたシステムのなかで“選ばれた”と思わされ、ただ傷ついていく。そして、その出来事は口外することすらタブーとされてきた。

第5話では、莉子の物語を通じて、その闇に光を当てようとする者たちの葛藤と決意が描かれた。記者として、姉として、事務所の代表として、それぞれの立場で声を上げる者たちの姿に、視聴者はきっとどこかで心を揺さぶられるはずだ。

莉子が勇気を出して過去を告白したことで、また誰かが真実に向き合うきっかけが生まれるはず。ドラマ『スキャンダルイブ』第5話は、そうした声の連鎖の尊さを教えてくれる、稀有なエピソードだった。

茅島の演技は、傷ついた若者の弱さと強さを、一体として描き切る力に満ちていた。次回の最終話で奏や咲がどう動くのか、物語がどんな決着を見せるのか。いま、このドラマは、ただのスキャンダルドラマではなく、静かな希望の物語へと変貌しつつある。


■ABEMAオリジナルドラマ『スキャンダルイブ』
2025年11月19日(水)夜10時より無料配信(全 6 話)
トップページ URL:https://abema.tv/video/title/90-2042
特報映像URL:https://abema.tv/video/episode/90-2042_s1_p700

<第1話>
放送日時:11月19日(水)夜10時~
放送チャンネル:「ABEMA SPECIAL」チャンネル
放送URL:https://abema.tv/video/episode/90-2042_s1_p10

(C)AbemaTV, Inc.

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_