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「すごい女優が出てきたと思った」当時18歳、日曜劇場『VIVANT』活躍女優が12年前のドラマで魅せた存在感

  • 2025.12.29

2013年7月期に日本テレビ系水曜ドラマ枠で放送された『Woman』。夫を事故で亡くしたシングルマザー・小春(満島ひかり)が、貧しいながらも愛する2人の子どものため、強くたくましく生きる姿を描くヒューマンドラマだ。満島ひかりにとって本作は、民放連続ドラマ初主演作となる。小春の姿を通して、シングルマザー・貧困・病気などをリアルに描いた社会派ドラマとして、当時大きな話題を呼んだ。

満島ひかりの「心に刺さる演技」に視聴者が大絶賛

小春(満島ひかり)は、夫の信(小栗旬)を不慮の事故で亡くし、2人の子ども・望海(鈴木梨央)と陸(高橋來)と3人で暮らしている。仕事を掛け持ちして必死に働くが、家計は非常に苦しい状況だ。小春の父親はすでに亡くなっており、母・紗千(田中裕子)は、20年前に小春と父から離れ、自分の好きな男、植杉健太郎(小林薫)のもとへ行ってしまった。紗千とは20年も絶縁状態であったが、生活保護の申請をきっかけに再会する。

ある日、小春は仕事中にめまいを起こし、倒れてしまう。検査の結果、“再生不良性貧血”と診断を受けた。小春は、もし自分に何かあった時のことを考え、これまでずっと憎んできた母に「感謝しています」と本心ではない言葉を口にし、一緒に住まわせてもらいたいと頼む。

どんなに疲れていても、子どもたちの前ではいつも明るく振る舞う小春の姿に毎回胸を打たれる。第1話で小春は、望海に「お父さんは隠れているだけでそばにいるの」「いつも笑ってたら、“お父さんもまぜて!”って、来るの」「だからお母さん泣かないよ」と言い聞かせていた。実際はたまらず泣いてしまうこともあるが、「絶対この子たちを幸せにしてみせる」という思いが小春を強くさせている。

多くの視聴者が「表情や仕草での感情の伝え方が半端なくて心が締め付けられる」「自然体の演技が心に刺さる」など、満島ひかりの演技を絶賛。民放連続ドラマ初主演となった本作で迫真の演技が高く評価され、満島ひかりは放送文化基金賞を受賞した。

「闇を抱えた役が合ってる」「苦手になりそう」危うい栞を演じた二階堂ふみの存在感

当時18歳だった二階堂ふみが演じる栞は、紗千と健太郎の一人娘で、小春の父親違いの妹にあたる。第4話で、小春の夫・信が亡くなるきっかけをつくったのは、栞だったことが判明。その真相をカラオケボックスで母・紗千に告白する。

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二階堂ふみ (C)SANKEI

栞は、小学校の頃からずっといじめられていて、学校にはいつも居場所がなかった。栞が高校生になり、人生に絶望を感じていた頃、家に信がやってきた。両親と信との3人の会話をこっそり聞いていると、母にもう1人娘がいることを知る。もし信がその人を連れて来たら、栞は家でも居場所がなくなると不安になった。信が家を出た後をつけ、同じ電車に乗り込む。そして、信の手を掴み、彼を痴漢に仕立て上げた。次の駅で、信は周りの人たちに電車から引きずり降ろされ、誰かに背中を押されてホームに落ち、電車にひかれて亡くなったのだ。

母からこのことは誰にも言わないよう言われていたが、信が書いた小春宛の手紙を読んで感傷的になり、自分の罪を小春に告白した。そして後日、植杉家から出て行く。栞の唯一の居場所だった場所すら失うかもしれないという恐怖が、取り返しのつかない行動へと彼女を追い込んだ。ネット上では、「すごい女優が出てきたと思った」「役が凄まじい」「嫌いになりそうだった」といった声が多く届いている。

栞を演じた二階堂ふみは、16歳の時に映画『ヒミズ』(2012年)で、ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を受賞。その後も数多くの映画やドラマに出演し、シリアスな役から映画『翔んで埼玉』シリーズ(2019/2023年)のようなコメディタッチの演技まで、幅広い役をこなしている。また、大きな話題を呼んだ日曜劇場『VIVANT』の続編(2026年)への出演も発表されており、今も勢いの止まらない女優だ。当時18歳の彼女は、本作でも田中裕子や小林薫など実力派俳優たちにも負けない高い存在感を放っていた。

「涙なしには見られない」社会派ドラマ『Woman』

本作は、2人の子どもを抱えるシングルマザーという設定に加え、貧困や病気といった現実的な問題を真正面から描き、社会的にも大きな注目を集めた。放送当時、「毎回辛くて重い」「涙なしには見られない」といった感想が数多く寄せられた。

確かに物語の内容は辛いものではあるが、心に刺さる描写やセリフの数々が、生きる強さや意味を教えてくれる。ドラマ『Woman』は、人と人とのつながりによる優しさが丁寧に描かれた、たくさんの愛に満ちた温かな作品だ。