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『お金の不安が消えないおひとりさま』が陥ってしまう…“自己投資の落とし穴”とは?

  • 2025.11.18
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

近年、独り暮らしや単身世帯が増えるなかで、「お金の不安」を感じる人が以前よりも増えています。特に“おひとりさま”と呼ばれる独身で生活する人たちは、将来の生活費や老後資金の心配から自己投資に力を入れるケースも多いのです。一方で、その自己投資が思わぬ不安を生むこともあるようです。

今回は、お金の不安が消えない“おひとりさま”が陥りやすい自己投資の落とし穴について掘り下げてみます。

自己投資のメリットと、見えにくいリスク

「自己投資」と聞くと、資格取得やスキルアップのための講座受講、健康管理のための運動や食生活改善、さらには趣味や教養を深めるための活動など、自分の価値を高めるために行う支出が思い浮かびます。確かに自己投資は自分の成長を促し、仕事や生活の幅を広げ、精神的な満足感も得られるという良い側面があります。

しかし一方で、自己投資に充てるお金が固定費のように重くのしかかり、一度に多額の資金を使う場合は「支出が増える=貯蓄が減る」というシンプルな事実も見逃せません。特におひとりさまは、自分の収入のみでやりくりしなければならないケースも多いため、自己投資のための支出が経済的プレッシャーになりやすい面も。

また、自己投資が「いつか成果を出す」という未来の期待をベースにしている以上、成果が実感できなかったり、すぐに収入増につながらなかったりすると、不安感が増すこともあり得ます。このように、自己投資は可能性を広げる一方で、間違った使い方をすると重荷となり不安を消しにくくなるのです。

自分に合った自己投資でお金の不安を軽減するヒント

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

具体的な自己投資の事例は、資格取得のための通信講座受講料やセミナー費用、ジムや英会話教室、自己啓発系の書籍購入など多岐にわたります。少額で始めて継続しやすいものもあれば、一括で高額な費用が発生するケースもあるため、自身の収支に合っているかを見極める必要があります。

一方で、自己投資をしているのに将来的な収入向上につながっている実感が薄い場合、心理的に「投資は無駄だったのではないか」というマイナス思考に陥りやすいものです。これがさらに将来への金銭的不安を引き起こす連鎖になることも指摘されています。

おひとりさまが自己投資でお金の不安を少しでも和らげるポイントとしては、まず「無理のない範囲での支出設定」が挙げられます。月々の収支を見直し、余裕のある金額を自己投資に回すことで「使いすぎ」を防げます。

次に、自己投資の優先順位や目標設定を明確にすることもポイント。どうなりたいか、どの分野に力を注ぎたいかを整理すると、むやみにあれこれ手を出すのではなく、必要なものに絞った投資が可能になります。自己投資を通じて自己肯定感が上がれば、不安軽減にもつながるでしょう。

さらに、成果を短期間で求めすぎず長期的な視点を持つことも、期待と現実のギャップによる不安を減らすコツとされています。自己投資は即効性が示しにくい場合も多いため、少しずつ積み重ねる気持ちで取り組むのが良いかもしれません。

無理のない範囲で自己投資をしよう

おひとりさまのお金の不安を和らげるには、自己投資だけに頼らず、生活全体のバランスを見直すことが大切です。貯蓄や支出のバランス、社会保障の活用、緊急資金の確保なども並行して考えることで、日々の安心感が高まっていきます。

自己投資は魅力的ですが、支出の全体像を見極めることなく行うと、逆に経済的ストレスの原因になる可能性もあると認識するのが賢明です。将来を見据える中で、心身の健康や趣味の充実、人間関係づくりなど、自己投資の幅を適切に広げることが、お金の不安を軽くする助けになるかもしれません。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。