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世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名

  • 2025.10.31
世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名
世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名

Text by 石井彰(編集部)

1950年代にフランスのジャーナリストであったガブリエル・アノが創設したバロンドール。今もなお「サッカー界でもっとも栄誉ある個人賞」としての権威を持っているタイトルだ。

ただ、投票によって決められるため、しばしば小さな不公平をもたらすこともあり、最高の選手が見落とされるケースも。

今回は『Sportsmole』から「バロンドールを獲得するはずだったが、獲得できなかった5名の選手」をご紹介する。

1956年:アルフレド・ディ・ステファノ

世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名
世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名

当時のクラブ:レアル・マドリー

代表:スペイン

1957年、1959年にバロンドールを獲得したアルフレド・ディ・ステファノ。レアル・マドリーの伝説的な選手として知られる彼であるが、実は1956年にもトロフィーに近づいていた。

当時29歳だったディ・ステファノは、1955-56シーズンに全公式戦で29ゴール、1956-57シーズンに43ゴールを決め、ヨーロッパカップも制覇した。

しかしながら、この1956年にバロンドールを獲得したのはスタンリー・マシューズであった。それは世界的にも奇妙な選択だと話題になり、事実マシューズはイギリスの表彰「FWA年間最優秀選手賞」でもトップに選ばれなかった。

そしてこの悔しさを抱えたディ・ステファノは、次年度にレアル・マドリーを再びヨーロッパカップ優勝に導き、圧倒的な得票数で1957年のバロンドールを獲得している。

1972年:ゲルト・ミュラー

世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名
世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名

当時のクラブ:バイエルン・ミュンヘン

代表:西ドイツ

1972年のバロンドールを獲得したのは、西ドイツ代表の「皇帝」フランツ・ベッケンバウアーであった。しかしながら、それはチームメイトであったゲルト・ミュラーが手にしていてもおかしくはなかった。

「デア・ボンバー(爆撃機)」ミュラーは、1971-72シーズンに公式戦通算50ゴールを決めており、バイエルンのブンデスリーガ優勝に大きく貢献。

さらに1972年の欧州選手権でドイツに優勝をもたらし、ゴールデンブーツ(大会得点王)に輝く。ベルギーとの準決勝、ソビエト連邦との決勝戦でもそれぞれ2ゴールを決める活躍を見せていた。

しかしながら、バイエルンでも代表でもともにプレーしていた偉大なキャプテンにバロンドールが渡り、彼は自身2度目の受賞を逃している。

1974年:フランツ・ベッケンバウアー

世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名
世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名

当時のクラブ:バイエルン・ミュンヘン

代表:西ドイツ

1972年にはゲルト・ミュラーを僅かに上回ってバロンドールを獲得したフランツ・ベッケンバウアーであるが、1974年では逆に惜しくも手が届かなかった。

バイエルン・ミュンヘンのキャプテンとしてブンデスリーガとヨーロッパカップを優勝し、さらに1974年のワールドカップでは西ドイツ代表を世界王者に導いた。まさにすべてのタイトルを総なめにしたといえる。

しかしながら、そのワールドカップで準優勝に終わったオランダのヨハン・クライフが最終的にバロンドールを手にした。

当時のサッカーに革命を起こした「トータルフットボール」の申し子であったクライフは、非常に輝かしいスタイルの選手で、高い人気を誇った。そのため、わずか11票の差でベッケンバウアーはバロンドールを逃している。

2010年:ヴェスリー・スナイデル

世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名
世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名

当時のクラブ:インテル

代表:オランダ

2010年にバロンドールを獲得したのはリオネル・メッシだった。このときの彼が世界最高の選手だったことに疑いの余地はないものの、スナイデルの活躍も見逃せないものだった。

ジョゼ・モウリーニョ監督が率いたインテルにおいて重要なプレーをし、チャンピオンズリーグ準決勝ではメッシがいるバルセロナを撃破し、決勝ではバイエルン・ミュンヘンを相手にディエゴ・ミリートのゴールをアシストした。

さらに南アフリカで開催されたワールドカップでも素晴らしいプレーを見せ、ブラジル戦とウルグアイ戦でゴールを決め、大会得点王の一人になった。

この時の1位はメッシだったが、2位のイニエスタ、3位のチャビ・エルナンデス、4位のスナイデルと非常に激戦だった。実際、記者票の1位はこのスナイデルで、2位はイニエスタだった。

2020年:ロベルト・レヴァンドフスキ

世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名
世界最高の個人賞バロンドールを「寸前で取り逃した」5名

当時のクラブ:バイエルン・ミュンヘン

代表:ポーランド

レヴァンドフスキはバロンドールの歴史上「最も不運な男」だった。新型コロナウイルスの影響下にあった2020年であるが、3月から5月下旬を除けばほとんどの期間で開催されていた。

しかしながら、バロンドールの表彰については「開催しない」と決定が下された。活躍度合いを考えれば、レヴァンドフスキの受賞は確実だと言える状況だったにもかかわらずだ。

バイエルン・ミュンヘンで三冠を達成し、全公式戦を通して47試合で55ゴールを記録し、ブンデスリーガとチャンピオンズリーグで得点王になった彼が、バロンドール獲得のチャンスを奪われたのである。

2021年もリオネル・メッシがアルゼンチン代表でコパ・アメリカを制覇したことからレヴァンドフスキはバロンドール投票2位となってしまい、再び受賞を逃している。

※選出基準は、各選手の実績に基づきながら筆者またはメディアの主観的判断も含んでおります。

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