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ミセス事務所「身元を特定し、法的措置をとった」ついに厳重警告…ファンの“悪質行為”に「やっと言ってくれた」「感謝です」

  • 2025.11.8
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

SNSや動画サイト、音楽配信などの普及により、気軽にアーティストの情報を共有できる時代になりました。

そんな中、2025年11月3日、人気バンド・Mrs. GREEN APPLEの所属するユニバーサルミュージック合同会社が、著作権やプライバシー侵害を含む悪質行為への法的対応を発表し、「やっと言ってくれた」「感謝です」とSNS上でも話題になっています。

そこで今回は、主にSNSで「推し活」を楽しむ上で「違法」となり得る行為について、弁護士に詳しく話を伺いました。

Mrs. GREEN APPLEが発表した「悪質行為」とは?

ユニバーサルミュージック合同会社の声明では、無断アップロードやライブ映像の盗撮・販売、誹謗中傷、なりすましなど6つの悪質行為が具体的に挙げられています。実際に法的措置が取られた事例もあり、今後も弁護士や各機関と連携して厳正に対応するとしています。

Mrs. GREEN APPLEは、「歌ってみた」「踊ってみた」など一部の動画で音源使用を認める独自ルールを設けていますが、対象外の音源もあり、詳細は公式ガイドラインを確認する必要があります。

また、これらのルールはほかのアーティストにも適用するわけではなく、音源や映像を動画で使用することを禁止している事務所・レーベルもあるので、注意が必要です。

“推し活ルール”を弁護士が解説「どこから違法?」

今回は、NTS総合弁護士法人札幌事務所の寺林智栄弁護士に詳しくお話を伺いました。

---今回示されているような行為について、Mrs. GREEN APPLEに限らず他のバンドやアイドル、著名人などについても、どのような罪になる可能性があるか、教えてください。

1、アーティストの映像・音源の無断アップロードや交換・販売

寺林弁護士:

アーティストの映像や音源を無断でSNSにアップしたり、交換・販売したりする行為は、「著作権法違反」という犯罪になります。最悪の場合、10年以下の拘禁刑や1,000万円以下の罰金が科されることもあります。

アーティストが作った音楽や映像は、「著作物」と呼ばれ、法律で守られています。この著作物を守るルールが「著作権法」です。著作権とは、作った人が「自分の作品をどう使うか」を決める権利のことを言います。

たとえば、アーティストのライブ映像や音源は、メンバーや関係者が一生懸命作った「作品」です。だから、勝手にSNSにアップしたり、他人にあげたり売ったりするのは、作った人の権利を奪う行為になります。

以下のようなことは、すべて著作権法に違反する可能性があります。

  • アーティストのライブ映像を録画して、X(旧Twitter)やTikTokに投稿する
  • CDやDVDの音源を録音して、LINEで友達に送る
  • 映像や音源をフリマアプリなどで売る・交換する
  • 「歌ってみた」や「踊ってみた」動画に、許可されていない原曲を無断で使って投稿する

2、ライブの盗撮・盗聴とその拡散

寺林弁護士:

ライブ映像や音源を盗撮・盗聴し、SNSに無断アップロード・交換・販売する行為は、やはり著作権法違反にあたり、最大「10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金」が科される可能性があります。

テレビ・ラジオ・インターネット番組には、以下のような権利が複雑に絡んでいます。

  • 著作権(脚本・構成・音楽などの創作部分)
  • 著作隣接権(出演者=実演家、放送局、レコード会社などの権利)

これらの権利は、著作権法第21条(複製権)や第96条・98条(隣接権)などで保護されており、無断で録画・複製・頒布することは違法です。

「少しだけ」「加工したからOK」「ファン同士の交換だから問題ない」と思っても、著作権者の許可がなければ違法です。ライブ配信や映像には、利用規約で録画・転載を禁止している場合も多く、契約違反として損害賠償請求されることもあります。

また、法人が関与した場合は、最大3億円の罰金が科されることもあります。

3、出演番組の録画データや音源の交換・譲渡・販売

寺林弁護士:

アーティストが出演したテレビ・ラジオ・ネット番組の録画・音源・画像などを、無断で交換・譲渡・販売する行為も、同様に著作権や著作隣接権の侵害にあたります。最大「10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金」が科される可能性があります。

以下のような行為は、著作権法違反となる可能性があります。

  • 番組を録画・録音し、そのデータを他人に渡す(譲渡・交換)
  • 録画した番組をDVDやBDに焼いて販売する
  • 番組の画像や音源をSNSやフリマアプリで公開・頒布する

「家庭内で楽しむための録画」は認められていますが、それを他人に渡す・売る・見せるといった行為は「私的使用の範囲」を超え、違法になります。

SNSにアップする行為自体も違法

---そもそも、アーティストが出演したテレビ・ラジオ・インターネット番組の撮影・録画データ・画像や音源をSNSにアップロードする行為自体も違法でしょうか?

寺林弁護士:

原則として著作権法違反です。公式が許可している動画の切り抜きとは別で、権利元が異なるため、勝手にアップすることは違法になります。

テレビ・ラジオ・インターネット番組には、放送局や出演者、レコード会社など、多くの権利者が関わっています。これらの権利者の許可なく、録画・録音した番組をSNSにアップする行為は、「公衆送信権」や「送信可能化権」の侵害にあたり、著作権法違反となります。

4、アーティストの肖像を使った無許諾グッズの制作・販売

寺林弁護士:

アーティストの肖像を使ったグッズを、本人や所属事務所の許可なく制作・販売する行為は、「肖像権の侵害」や「パブリシティ権の侵害」にあたり、民事上の損害賠償請求や販売差し止めの対象になります。また、著作権や商標権も絡む場合は、刑事罰(最大10年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金)を受ける可能性もあります。

肖像権とは、人が自分の顔や姿を勝手に使われないようにする権利のこと。これは、一般人にも認められます。一方、パブリシティ権とは、芸能人や有名人が持つ「顔や名前の商業的価値」を守る権利のこと。アーティストの写真や似顔絵を使ったTシャツやキーホルダーを、無許可で販売するのはNGです。

以下のような行為は、肖像権・パブリシティ権の侵害になる可能性があります。

  • アーティストの写真を使ったグッズを販売
  • 雑誌の切り抜きやブロマイドを加工して販売
  • 似顔絵やイラストを描いて販売(本人と認識される場合)
  • SNSで「販売中」と宣伝する

「ファン友達に配る」も「原則NG」

---例えばライブ会場などで、ファン同士で手作りグッズなどを無料であげる・交換するということもありますが、こういった行為についてはいかがでしょうか?

寺林弁護士:

販売目的でなくても、アーティストの写真やロゴを使ったグッズを「ファン友達に配る」行為は、著作権や肖像権の侵害にあたる可能性があり、法的にはグレーではなく「原則NG」なので注意が必要です。

安全に楽しむためには、以下のことを守りましょう。

  • オリジナルデザインで作る(自分で描いたイラストなど)
  • 公式ガイドラインを確認する(ファンアートのOKの範囲が明記されている場合もある)
  • 配布せず、自分だけで楽しむ

5、アーティストへの誹謗中傷

寺林弁護士:

アーティストへの誹謗中傷を含む投稿は、内容によって「名誉毀損罪」「侮辱罪」「業務妨害罪」などの犯罪に該当する可能性があります。また、民事上の損害賠償請求や投稿削除請求の対象にもなります。

名誉毀損罪は、「公然と事実を摘示して、他人の社会的評価を下げる行為」で、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。

侮辱罪は、「事実を示さずに、悪口や罵倒などで他人を侮辱する行為」で、拘留または科料という刑罰の対象となります。

業務妨害罪は、「虚偽の情報などでアーティストや事務所の活動を妨害する行為」で、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。

具体例としては以下のように考えるとよいでしょう。

  • 「○○は不倫している」など、事実かどうかにかかわらず社会的評価を下げる投稿→名誉毀損罪
  • 「○○はキモい」「消えろ」など、悪口だけの投稿→侮辱罪
  • 「○○のライブは中止になるらしい」というウソなど、業務に影響を与える投稿→業務妨害罪

6、なりすましアカウントの作成・運用

寺林弁護士:

アーティストやスタッフになりすましたアカウントを作成・運用する行為は、内容によって「名誉毀損罪」「侮辱罪」「詐欺罪」「業務妨害罪」「信用毀損罪」などの犯罪に該当する可能性があります。また、民事上の損害賠償請求やアカウント削除命令の対象にもなります。

具体的には以下のような行為が問題となります。

  • アーティスト本人を装ってSNSで投稿する
  • スタッフになりすましてライブ情報や裏話を発信する
  • 偽アカウントでファンにDMを送り、金品を要求する
  • なりすましアカウントで誹謗中傷や虚偽情報を流す

法律とルールを正しく理解して楽しい推し活を!

好きなアーティストを「布教」したい、良さをもっと多くの人に知ってもらいたい!という気持ちは、多くのファンが持つものでしょう。ですが、「推しのためになれば」という気持ちでおこなったことでも、著作権や肖像権を侵害してしまえば、アーティストを守るどころか傷つける行為になってしまいます。

アーティストの活動を支えるためには、公式が定めたルールを守ることが何より大切です。

例えばMrs. GREEN APPLEの場合、公式サイトやSNSで具体的なガイドラインが示されています。他のアーティストでも、「これはOK」「これはNG」とルールを提示しているケースもあるので、迷ったときは、まず規約(ルール)を公式Webサイトなどで確認しましょう。


参考:
著作権侵害およびプライバシー侵害を含む悪質な行為に対する弊社の取り組みについて(Mrs. GREEN APPLE オフィシャルサイト)
『Mrs. GREEN APPLEオリジナル音源』動画利用、及び写真・映像等の使用に関する注意事項(2024年5月9日(木)改定版)(ユニバーサル ミュージック合同会社)


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