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「5年間で“596件”の火災事故」NITEが警告…暖房器具よる“事故”を未然に防ぐ8つのポイント

  • 2025.11.12
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

寒さが厳しくなりつつある中で、暖房器具の使用頻度が増えた方も多いかもしれません。部屋の中を暖めてくれるありがたい存在ではあるものの、使う際はくれぐれも注意が必要です。

毎年、暖房器具による火災事故が多数発生しています。そのため、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)は「シーズン初めや日々の点検が必要不可欠である」と注意を呼び掛けています。

はたして、暖房器具による火災事故の発生を防ぐためにはどうしたら良いのでしょうか?NITEが紹介している点検方法や使用方法のポイントを踏まえながら、詳しく紹介します。

5年間で約600件!暖房器具による火災事故の危険性

独立行政法人製品評価技術基盤機構・NITEの公式Webサイトによると、2020年から2024年までの5年間にNITEに通知された製品事故情報では、主な暖房器具の事故が596件あったと報告されています。そのうち、電気ストーブ・ファンヒーターと石油ストーブ・ファンヒーターの事故が約8割を占めています。

石油暖房器具の事故で多いものとしては、カートリッジタンクに給油した際の灯油漏れ、洗濯物等の可燃物の接触、ガソリンの誤給油による事故が挙げられます。

冬季は洗濯物が乾きにくいため、石油ストーブの近くで部屋干しを行う方もいるかもしれません。しかし、ストーブ近くに干した洗濯物が落下するなどして、火災の原因となる可能性があります。

また、スプレー缶を近くに置いていたり、近くで使用したりしてガスに引火したという事故も確認されています。暖房器具を使用する際は、周囲に可燃物を置かない注意が必要です。

電気暖房器具による火災事故を防ぐための対策とは?

電気暖房器具による火災事故を防ぐために、私たちはどのような点に気を付ける必要があるのでしょうか?

NITEは、下記のように「『電気』暖房器具の4つの点検ポイント」を挙げています。

1、電源コードや電源プラグが変形・破損していないか、コンセントがたこ足配線になっていないか

電源コードの場合、被覆に破れや亀裂がないか、硬化していないか、電源コードを少し曲げたりして確認すると良いでしょう。特に、本体側やプラグ側の根元付近を確認するのが適切です。

また、電源プラグについては、変形していないか、変色していないか、溶けていないか確認が必要。コンセントを差した際に、抜けやすくなってないか確認するのも有効です。

なお、電気暖房器具の中には、消費電力が大きいため延長コードの使用が禁じられているものもあります。そのため、使う際は延長コードの最大消費電力を超えないよう注意が必要です。

2、本体に変色や変形等の異常がないか

電気暖房器具を使用する際に、もし異常が確認される場合、すぐに電源プラグを抜いてメーカーに相談しましょう。本体の一部が変形・変色していたり、バチバチという異音が聞こえたりしたら要注意。また、ヒーターの加熱や首振り動作が時々停止したり、焦げ臭いや異常に熱くなっている箇所があれば、すぐに使用を中止しましょう。

3、転倒時オフ機能(転倒時オフスイッチ等)が正常に作動するか

転倒オフ機能とは、地震で製品が転倒した際やぶつかって製品が倒れてしまった際に、ヒーターの加熱をとめる安全機能のこと。作動を確認する際は、ヒーターが点いている状態でヒーター側を上向きに倒し、ヒーターの加熱が停止するかをチェックしましょう。

また、2017年7月以降に製造された製品については、ヒーター側を上向きの状態で製品底面の転倒時オフスイッチを押してもヒーターの加熱が開始されないか、確認する必要があります。

4、製品がリコール対象製品ではないか

電気暖房器具に関しては、リコール対象製品での事故が増えています。事業者、消費者庁、経済産業省及びNITEでリコール対象製品を確認できるため、こまめにチェックするよう心がけましょう。

石油暖房器具による火災事故を防ぐためには?

また、NITEは「『石油』暖房器具の4つの点検ポイント」として、下記のように説明しています。

1、ほこりがたまっていれば取り除く

石油暖房器具を使用する場合、定期的に掃除をする必要があります。特に、石油ストーブの置台や燃焼部位の近くなどにほこりが溜まっていたら要注意。燃焼状態が悪化したり、炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる「吹き返し現象」が発生し、ほこりに引火する危険性があります。

また、石油ファンヒーターでもほこりで空気取込口が閉塞し、異常燃焼する事故が起きているため気を付けましょう。

2、対震自動消火装置が正しく作動するか確認する

機体を前後に揺らした際に、石油ストーブの場合は「芯を上げた状態から芯が下がりきること」、石油ファンヒーターの場合は「使用状態から停止すること」という動作が正常に行われているか確認しましょう。

なお、製品ごとに確認方法は異なるため、取扱説明書に従うよう注意しましょう。

3、燃料は新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油を使用しない・誤給油を防ぐための対策を徹底する

燃料の灯油は劣化します。昨シーズンの灯油を使い回すと、異常燃焼や過剰な一酸化炭素の発生につながる可能性があります。

誤って“ガソリンや混合燃料”を給油すると、少量の混入であっても火災のリスクがあります。そのため、NITEは別の容器や場所での保管、ラベル表示で区別するなど、誤給油を防ぐための対策の徹底を求めています。

4、カートリッジタンクの給油口ふたが確実に閉まっていること、漏れがないかを確認する

給油後は、給油口がしっかり閉まっている事を確認してから本体にセットしましょう。また、給油する際は必ず消火してから行うよう注意が必要です。

もし灯油が機器本体にこぼれてしまったら、内部に侵入している可能性があるため使用してはいけません。その上で、販売店やメーカーに相談する必要があります。

上記のほか、暖房器具全般を使用する際、NITEは、暖房器具と壁や可燃物との距離が十分に確保できているかを確認する(洗濯物は乾かさない)よう注意を呼び掛けています。適切な距離は製品の取扱説明書に記載されているため、使用する前に必ず確認するようにしてください。

無理は禁物!火災時の避難・消火の目安

NITEは、火災が発生した場合、炎が背丈を超えていたり、天井まで達していたら、避難するよう呼び掛けています。実は、火元の高さにかかわらず、炎が背丈を超えていたり天井まで達している場合、初期消火は困難なのです。そのため、無理をせずにすぐに避難する必要があります。

また、石油ストーブで火災が起きた場合は、B火災(油火災)用の消火器を使って消火するようにしてください。なお、初期消火をする前に、絶対に「安全確保」「避難経路の確保」を行ってから実施するよう呼び掛けています。

さらに、すぐに消火器を取りに行けるよう、あらかじめ使いやすい場所にあるか確認しておくことが重要です。

暖房器具を使用する際は気を付けて!

これからますます寒くなっていく中で、暖房器具を使用する頻度も増えることでしょう。しかし、使う際はくれぐれも要注意。

点検を怠ると火災事故が生じるリスクが高まるため、NITEのアドバイスを参考に、自分の使用している暖房器具に問題がないかチェックするよう心掛けましょう。


参考:
ストーブとの程よい距離感が大切です~『電気』『石油』暖房器具の事故を防ぐ4+1のポイント~(NITE)
石油ストーブ「16.火災時の避難、消火の目安」(NITE)
火災などの事故を起こさないために(JHIA)


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