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【六本木】「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)」11月3日(月・祝)まで@泉屋博古館東京

  • 2025.10.8

巨匠ハインツ・ヴェルナーの世界が誘う、メルヘンの旅へ

「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)」が2025年11月3日(月・祝)まで、泉屋博古館東京(六本木)で開催されています。ヨーロッパを代表する名窯・マイセンの磁器芸術を紹介する本展では、詩的で幻想的な装飾を施した作品群が一堂に会しています。

出典:リビング東京Web

創立250年を迎えたマイセン磁器製作所は、5人のアーティストにより新たな時代を切り拓きました。中でも巨匠ハインツ・ヴェルナー(1928-2019)は、夢幻的なデザインで現代マイセンを代表する数々の名品を生み出しました。本展は、《アラビアンナイト》《サマーナイト》《ブルーオーキッド》などの代表作を通じて、ヴェルナーの魅力あふれる磁器芸術の世界が堪能できる展覧会です。

出典:リビング東京Web

会場展示風景※主催者側の許可を得て撮影しています。

名窯:マイセンとは

マイセン磁器は、東洋美術に魅せられたアウグスト強王の夢から誕生しました。 本展のプロローグでは、佐賀・有田の「柿右衛門様式」に影響を受け、1710年に王立磁器製作所が設立。 マイセンの原点ともいえる「柿右衛門様式」の作品と、現代にも継承されるマイセンの柿右衛門写しが紹介されています。

出典:リビング東京Web

《色絵美人人形置物》(独立ケース)肥前有田 1670-90年代愛知県陶磁美術館

現代マイセンを魅了した“幻想の語り部” ハインツ・ヴェルナーとは

出典:リビング東京Web

会場展示風景

ハインツ・ヴェルナーは1928年、ドイツ・マイセン近郊に生まれ、15歳でマイセン養成学校に入学。50年代にはすでに絵付師として認められ、60年代には「芸術の発展を目指すグループ」の一員として活躍しました。彼の作品は、鮮やかな色彩、詩的な装飾、そして物語性に富んでおり、まるで磁器が語り出すかのような魅力があります。

特に1970年代に発表された《アラビアンナイト》シリーズは、幻想文学を思わせるビジュアルで多くの人を魅了しました。

出典:リビング東京Web

《アラビアンナイト》コーヒーサービス マイセン 1967年頃~ 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー

歴史と革新が交差する、マイセン磁器の奥深さ

展覧会は全5章構成。プロローグではマイセン窯の誕生から紹介され、日本の「柿右衛門様式」に影響を受けた初期マイセンの作品にも触れられます。第1章からエピローグまでは、ヴェルナーがデザインを手がけたシリーズを中心に、時代別に紹介しています。

会場はマイセンのすばらしい食器やティーセットが数多く展示されており、さながらマイセンのショールームのようです。《アラビアンナイト》「月夜の船出」陶板画は繊細な筆致と深い色彩で描かれ、ヴェルナーの詩的な感性が存分に感じられる作品です。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

第2章では代表作《サマーナイト》《アラビアンナイト》など、夢あふれるシリーズが登場。

《サマーナイト》ティーサービスは、やわらかな色調と幻想的な絵柄が調和する、シェイクスピアの「夏の夜の夢」をモチーフにした優美なティーセット。絵画のような世界観が器に広がります。

出典:リビング東京Web

《サマーナイト》ティーサービス マイセン 1974年頃~ 個人蔵 装飾 ハインツ・ヴェルナー 器形 ルードヴィッヒ・ツェプナー、人形造形:ペーター・シュトラング

食器の繊細な柄や独特な色使いが大きな魅力のひとつです。見ているだけでティータイムの様子まで目に浮かび、とてもわくわくする展覧会です。

出典:リビング東京Web

《ほら吹き男爵》コーヒーサービス マイセン 1964年頃~ 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:エアハルト・グローサー、アレクサンダー・シュトルク、ルードヴィッヒ・ツェプナーの共作

エピローグ 受け継がれる意志

1990年代になると、ヴェルナーは若い芸術家たちの育成に力を注ぎます。1993年に65歳で定年退職した後も創造へのエネルギーは衰えを見せず、翌年には《ドラゴンメロディ》を発表し、さらに1998年には後輩芸術家たちと新作を発表しました。

出典:リビング東京Web

《祝祭舞踏会》コーヒーサービス1998年 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ザビーネ・ヴァックス

エピローグでは、ヴェルナーの晩年とその意志を継ぐ現代作家たちにもスポットが当たります。伝統と革新が交差する、マイセン磁器の芸術性の高さを再発見できる展示です。

出典:リビング東京Web

《ドラゴンメロディ》コーヒーサービス、プレート マイセン 1994年 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー

ハインツ・ヴェルナーの日本の風景をモチーフにした絵皿も展示されており、遠く離れた文化への眼差しが感じられます。

出典:リビング東京Web

特別出品《飾り皿》ハインツ・ヴェルナー 1970年代 個人

こちらの展示室では、実際のテーブルアレンジとともに食器と大燭台が展示されており、芸術性と実用性の調和が体感できます。撮影も可能です。

出典:リビング東京Web

《森の木の葉》ディナーサービス、1973年 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー 《狩り》大燭台 マイセン 1973年 個人蔵 装飾:ハインツ・ヴェルナー、ルディ・シュトレ 器形:ペーター・シュトラング

ハインツ・ヴェルナーが描き出す幻想的なメルヘンの世界は、まるで磁器の上に広がる一篇の物語。 彼の作品を通して、マイセン磁器が単なる“高級洋食器”という枠を超えた芸術であることを改めて感じさせられました。 とりわけ、日本の柿右衛門様式の影響を受けた絵付けには、遠いドイツと日本との不思議な縁を思わずにはいられません。 格式と伝統に支えられながらも、柔らかな空想の世界を映し出す現代マイセン。 その魅力を、ぜひ会場で体感されてみてはいかがでしょうか。

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