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「私の何がいけないの?」子どもができず自己嫌悪と不安が積み重なっていく…33歳女性のリアルな心情を綴った物語【書評】

  • 2026.3.16

【漫画】本編を読む

当たり前のことと思っていたことが、いざ当事者になってみると思い通りにならないと焦りや自己嫌悪に陥り、自分を卑下してしまう。『33歳という日々 子なし夫婦、エリの場合』(鈴木みろ/KADOKAWA)は、結婚して子どもを産み育てていくことが月並みなことと思っていた女性のままならない心情を描いたコミック。YouTubeで配信され大きな話題となった作品を単行本化したものだ。

主人公のエリは結婚して3年、毎日同じことの繰り返しで大したイベントも起こることなく淡々と続く生活に、不自由はないものの小さなストレスを積み上げていっていた。それは子どもができないことだ。34歳の誕生日を目前にしているということもあり、その焦りが不安となって、だんだんエリの中で大きくなっていく。自分一人ではどうにもならないことをわかっているために本音も不安もうまく夫に伝えることができず、それゆえに夫が考えていることもわからなくなっていき、思わず彼の言動に対して粗探しをするようにもなっていくのだった。

本作は基本的にエリが心の内を独白する形で展開していく。「私の何がいけないの?」「私の何が足りないの?」「私はどうすればよかったの?」と自問自答する姿が痛々しい。そして他人に対してはそんな悩みなんて持っていないフリをし続け、腹の中にあるものは正反対というまさに裏腹な心情はリアリティーがある。同じ悩みと苦しみを持つ人は共感できる部分がとても多いはずだ。言葉にできないこと、誰かに聞いてほしいことをエリが代弁してくれるために「自分だけではない」という救いにもなるのではないだろうか。

エリはやがて、自分とは異なる人生を歩んでいる友人や、夫とのあらためてのコミュニケーションなどを経て自分なりの答えを見出していくのだが、それはぜひ本書を手にとって確認してほしい。これから結婚する夫婦はもちろん、今一緒に妊活している男性の手にも届いてほしい一冊だ。

文=287XR

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