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老後の『賃貸暮らし』は本当に安心?それともリスク?→お金のプロが教える“選び方のポイント”とは

  • 2025.10.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

年齢を重ねるにつれて、住まいのあり方について考える方が増えています。特に「老後は賃貸で暮らすのが安心?」といった疑問は、多くの人に共通するテーマです。持ち家か賃貸か、それぞれにメリット・デメリットがあり、判断に迷うケースも多いでしょう。今回は、お金のプロの視点から賃貸暮らしのリアルな実態とリスク、そしてどう選べば後悔しないのか、そのポイントをわかりやすく解説します。

賃貸暮らしの魅力と見落としがちなリスク──多角的に考える老後の住まい選び

老後に賃貸で暮らすメリットとしては「初期費用が比較的抑えられる」「住宅維持の負担が軽い」「住み替えやすく自由度が高い」といった点が挙げられます。とくに固定資産税や大規模修繕の心配がないため、予算の管理もしやすく、柔軟な生活設計が可能です。

一方で見逃せないのが、その安定性に関するリスクです。賃貸契約は基本的に期間限定で、更新時期に家賃が上がる可能性や、大家側の都合で退去を求められるケースがあります。このため老後に長く安心して住み続けたい場合、その不確実性は大きな不安材料となるでしょう。住み替えが必要になったとき、体力的・経済的な負担も重くのしかかります。

さらに賃貸では資産形成ができないため、資産面での「持ち家」との違いも意識すべきポイントです。老後に「安心」を求めるならば、単に現時点の家計負担だけでなく、将来的な生活の安定や資産形成計画も含めて総合的に判断することが重要となります。

後悔しない家選びと注意点

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

たとえば、高齢になっても賃貸暮らしを続ける場合、バリアフリー対応や生活支援サービスの充実した物件を選ぶことが非常に大切です。自治体によっては高齢者向けの賃貸住宅の提供や家賃補助も行われているので、これらを上手に活用すれば経済的負担の軽減につながります。

また、契約条件の細部まで確認し、「長期入居に適した賃貸契約」を選ぶこともポイント。例えば更新料が無い、一定年数までは解約不可、など安心材料のある賃貸物件は存在します。これらの条件を知識として持たないまま契約を進めると、思わぬトラブルや引っ越し費用の増大に直面するリスクがあります。

さらに、持ち家の売却と賃貸住まいの組み合わせも賢い選択肢です。持ち家は資産として売却し、その資金を老後資金や賃貸の家賃に充てる方法なら、資産流動性と住み替え自由度のバランスを取れます。加えて、老後の資金計画には社会保険や年金収入、不動産収入等多方面からの収入も考慮し、無理なく賃貸暮らしを支える仕組み作りが望ましいでしょう。

「自由」と「安心」できる家を探すために

老後の賃貸暮らしには「住み替えの自由」や「初期費用の低さ」といった魅力がありますが、同時に「契約更新の不安」や「資産形成ができない」というリスクもあります。お金のプロが伝える正しい選択とは、単に賃貸か持ち家かを決めるだけでなく、将来のライフプランや健康状態、資産状況を踏まえた上で、柔軟かつ安心できる住まい環境を整えること。必要に応じて専門家に相談し、長期的な視点で検討するのが賢明です。

老後の住まいは「今の快適さ」と「将来の安心感」を両立させ、自分らしい生活ができる選択をすることが何よりも重要です。持ち家との組み合わせも視野に入れて、安心の老後設計を進めていきましょう。


監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。